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わたくしのお嬢様(Sideリリー)
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……最近、お嬢様の様子が変わられた。
いえ、お嬢様がというよりは、元を辿れば変わったのは、あの男の方ですね。あの男がお嬢様への態度を、まさに掌を返すように変えた日以降、お嬢様もまた、少しずつ変わっていったのです。
あの男とはもちろん、わたくしの大切なお嬢様、ルナリア・フォスターシュ様の婚約者……ベルダ・ラングストンのことです。
思えば、お二人が幼少期に婚約を結んだ当初は、まだ良かったのです。お二人はお互いに歩み寄る様子を見せており、なかなか相性は悪くないのではと、わたくしも思っておりました。
むしろ、あの男は当然ながらわたくしの完璧で愛らしいお嬢様を気に入ったようで、顔を赤くしながら積極的にお嬢様へ話しかけに来ていました。多少頭が足りないところがあり、忙しいお嬢様を困らせている時もあったものの、そこまでならばお嬢様を想う故と、許容できなくもなかったのですが。
いつからか、あの男はお嬢様へ冷たい態度を見せ始めました。
一体何のつもりなのかとしばらく様子を見ていたのですが、終いには他の令嬢に現を抜かしているとの噂が立ち始めました。その時点で、わたくしはあの男に愛想を尽かし、心の中では名前を呼んでやることさえ止めました。
……わたくしの美しくて努力家でお優しい、完璧なお嬢様の婚約者になっておいて、大事にしないとは一体どういう了見だあのクソ男。
お嬢様が、婚約者との関係を上手く築けなかったと悲しげにされているのを見れば、いっぺん死んでこいと思ったのは当然のことでしょう。伯爵子息に不敬だとか知りませんが、何か。
しかし、あの男は本当にいっぺん死んで生まれ変わったのかもしれません。そう思うほどに、以前とはお嬢様への態度も違いますし、聞く限り、普段の生活態度も変わったらしいのです。
筋骨隆々な伯爵殿の、あの硬そうな拳で頭を思い切り殴られていましたが、きっとあの男の脳みそにとっては、奇跡的に良い刺激になったのでしょう。伯爵殿は、本当にいい仕事をなさってくださいました。
わたくしは内心まだ以前のお嬢様への仕打ちを許してはいませんが、掌を返してお嬢様を褒めそやすあの男の賛美の言葉には多少共感せざるを得ませんし、お嬢様が許すと言っているからには、表向きは何も言わずにいることにしました。時々、そっと後ろから睨み付ける程度に留めておいて差し上げます。わたくしは、きちんとお嬢様の意を汲める、優秀な専属メイドですからね!
話が逸れました。
つまり、あの男が変わったことによって、どうしてお嬢様まで変化があるのか。それは、あの男ともっとしっかり向き合う必要があったと反省されたお嬢様が、あの男との時間を増やした結果、どうやら……なんと、奴に心を奪われかけている様子なのです。
……いえ、悪あがきはやめましょう。恐らく、すでにお嬢様は、恋に落ちていらっしゃる。あぁ、あの小さかったお嬢様が、恋をなさるなんて!!
しかし、お嬢様はそれを自覚されてないといいますか……むしろ、認めたくないのではないかと思われます。それも当然でしょう。わたくしも認めたくはありません。
だって、あの男は一度、お嬢様を傷つけているのですから。
またあの男が以前のように冷たい態度に戻らないと、誰が保証できるでしょう。心を寄せないただの婚約者に冷たくされるのと、愛する恋人に冷たくされるのとでは、心のダメージは全く違います。お嬢様が恋心をお認めになるのを躊躇う気持ちがわからないほど、わたくしは馬鹿ではありません。
お二人は婚約者なのだから、お互いに好意を持つことは、悪いことではありません。むしろ良いことだと言えるでしょう。しかし、それはあの男がお嬢様の信頼を得ることができればの話です。
しかし、一度失った信頼を取り戻すことは、容易ではありません。ある程度は、時間も必要でしょう。信頼とは、一つ一つ積み上げていくしかないものなのですから。
もしもあの男が再びお嬢様を傷つけることがあれば、その時はわたくしの全てをもって、奴に目にものを見せてやりましょう。えぇ、こう見えてわたくし、お嬢様をお守りするために、少々特殊な技術も嗜んでおりますから。
……そんな日が来ないことを、一応、わたくしは願っておりますよ。お嬢様のためだけにね。
しっかりなさってくださいね、お嬢様の婚約者殿!
いえ、お嬢様がというよりは、元を辿れば変わったのは、あの男の方ですね。あの男がお嬢様への態度を、まさに掌を返すように変えた日以降、お嬢様もまた、少しずつ変わっていったのです。
あの男とはもちろん、わたくしの大切なお嬢様、ルナリア・フォスターシュ様の婚約者……ベルダ・ラングストンのことです。
思えば、お二人が幼少期に婚約を結んだ当初は、まだ良かったのです。お二人はお互いに歩み寄る様子を見せており、なかなか相性は悪くないのではと、わたくしも思っておりました。
むしろ、あの男は当然ながらわたくしの完璧で愛らしいお嬢様を気に入ったようで、顔を赤くしながら積極的にお嬢様へ話しかけに来ていました。多少頭が足りないところがあり、忙しいお嬢様を困らせている時もあったものの、そこまでならばお嬢様を想う故と、許容できなくもなかったのですが。
いつからか、あの男はお嬢様へ冷たい態度を見せ始めました。
一体何のつもりなのかとしばらく様子を見ていたのですが、終いには他の令嬢に現を抜かしているとの噂が立ち始めました。その時点で、わたくしはあの男に愛想を尽かし、心の中では名前を呼んでやることさえ止めました。
……わたくしの美しくて努力家でお優しい、完璧なお嬢様の婚約者になっておいて、大事にしないとは一体どういう了見だあのクソ男。
お嬢様が、婚約者との関係を上手く築けなかったと悲しげにされているのを見れば、いっぺん死んでこいと思ったのは当然のことでしょう。伯爵子息に不敬だとか知りませんが、何か。
しかし、あの男は本当にいっぺん死んで生まれ変わったのかもしれません。そう思うほどに、以前とはお嬢様への態度も違いますし、聞く限り、普段の生活態度も変わったらしいのです。
筋骨隆々な伯爵殿の、あの硬そうな拳で頭を思い切り殴られていましたが、きっとあの男の脳みそにとっては、奇跡的に良い刺激になったのでしょう。伯爵殿は、本当にいい仕事をなさってくださいました。
わたくしは内心まだ以前のお嬢様への仕打ちを許してはいませんが、掌を返してお嬢様を褒めそやすあの男の賛美の言葉には多少共感せざるを得ませんし、お嬢様が許すと言っているからには、表向きは何も言わずにいることにしました。時々、そっと後ろから睨み付ける程度に留めておいて差し上げます。わたくしは、きちんとお嬢様の意を汲める、優秀な専属メイドですからね!
話が逸れました。
つまり、あの男が変わったことによって、どうしてお嬢様まで変化があるのか。それは、あの男ともっとしっかり向き合う必要があったと反省されたお嬢様が、あの男との時間を増やした結果、どうやら……なんと、奴に心を奪われかけている様子なのです。
……いえ、悪あがきはやめましょう。恐らく、すでにお嬢様は、恋に落ちていらっしゃる。あぁ、あの小さかったお嬢様が、恋をなさるなんて!!
しかし、お嬢様はそれを自覚されてないといいますか……むしろ、認めたくないのではないかと思われます。それも当然でしょう。わたくしも認めたくはありません。
だって、あの男は一度、お嬢様を傷つけているのですから。
またあの男が以前のように冷たい態度に戻らないと、誰が保証できるでしょう。心を寄せないただの婚約者に冷たくされるのと、愛する恋人に冷たくされるのとでは、心のダメージは全く違います。お嬢様が恋心をお認めになるのを躊躇う気持ちがわからないほど、わたくしは馬鹿ではありません。
お二人は婚約者なのだから、お互いに好意を持つことは、悪いことではありません。むしろ良いことだと言えるでしょう。しかし、それはあの男がお嬢様の信頼を得ることができればの話です。
しかし、一度失った信頼を取り戻すことは、容易ではありません。ある程度は、時間も必要でしょう。信頼とは、一つ一つ積み上げていくしかないものなのですから。
もしもあの男が再びお嬢様を傷つけることがあれば、その時はわたくしの全てをもって、奴に目にものを見せてやりましょう。えぇ、こう見えてわたくし、お嬢様をお守りするために、少々特殊な技術も嗜んでおりますから。
……そんな日が来ないことを、一応、わたくしは願っておりますよ。お嬢様のためだけにね。
しっかりなさってくださいね、お嬢様の婚約者殿!
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