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2章
13.困惑する誓い
しおりを挟むその後俺とユディは再び竜の谷を目指した。竜の谷について調べたユディから聞いたけど、竜の谷に住むドラゴンは神秘的な力を持っていて、自分が認めた相手にしか姿を現さないらしい。俺が知っていた話とは少し違ったけど、やっぱり会えたらラッキーみたいな生き物って事に変わりは無かった。
「だから黄金の鍵もそのドラゴンが持っているんじゃないかなと思ったんだ。選ばれた者にしか手に入らない特別な鍵をね」
「おおー!さすがユディ♪絶対そうに違いないね♪」
「いや、絶対とは言い切れないけどね。でも行ってみる価値はあるだろ?それに竜の谷は人気の無い切りだった崖にあるから、何かあった時の為にも二人の方が安心だからね」
「それで俺に声を掛けてくれたの?よし分かった♪ユディに何かあったら俺が助けるね!って、逆か~。あはは~」
「ううん。エリムの事、頼りにしてるよ」
優等生のユディに頼られるなんて俺ってば幸せ者だな~。黄金の鍵探しの相方に選ばれたのは俺だけど、きっと誰もが羨むに決まってる。
ユディはそれぐらい周りから信頼されていて、期待されているんだ。
「そろそろ着く頃だね。降りたら一度休もうか」
「うん♪俺ね、おやつ持ってるよ♪一緒に食べよう♪」
ユディと一緒に地面に着地した後、まだ芝の生えている場所に腰を下ろして二人で休憩を取った。
ここまで長距離を飛ぶ事は滅多にないから少し疲れたな。学校でやる飛行テストぐらいじゃない?
俺はポシェットからクッキーを取り出して一枚ユディに差し出す。
「はいユディの分♪」
「ありがとう。アスとも分け合ったんだよね。本当に仲が良いんだね」
「えっ!そんな事まで読んだの!?なんか恥ずかしいな~」
「俺にも分からないけど、エリムの気持ちだけは良く分かるんだ。さっきみたいに触れているとより鮮明にね。それとエリムは俺に伝えようとした?だからかな、こうして会話をするようにアスとの思い出が俺の中に入って来たんだ」
「うん。ユディに教えようと思っていろいろ考えてたよ。でもどうして俺の気持ちだけ良く分かるんだろうね?不思議だね~」
いつか俺にも出来るようになるのかな。その時はユディにやり方を教えてもらおう。
そうすればあまり言葉を発さないアスの気持ちも分かってあげられるからね。
「エリムにとってアスは特別なんだね」
「うん!なんかね、アスの事を考えると幸せになれるんだ♪毎日会うのを楽しみにしてたし、会って一緒に遊ぶのが何よりも好きだったの♪」
「……あまり言いたくはないけど、もしアスが悪魔だったら?」
「関係ないね♪アスが悪魔だったとしても俺は変わらず好きでいるよ」
「…………」
「ユディも悪魔は悪い奴だと思う?」
「直接は会った事がないけど、あまり良い印象はないかな。悪魔が仕出かす行いで起きた災いや惑わされた人間を正すのが俺達の役目だし、だからね、そうやって胸張って言えるエリムは凄いなと思うよ。俺は昔からエリムのそう言うところに憧れているんだ」
「ええー!ユディに憧れられるとか俺って凄ーい♪」
ユディは本当に褒め上手だよ。俺は間に受けて調子に乗っちゃうんだから。
素直に喜んでいると、ユディは俺の手を取って手の甲に自分の唇を当てて敬意を示す行動を取った。
まさかあのユディにされるなんて!ユディは本気なんだ!
「エリム、俺はこの身がどうなろうとも君の剣となり盾となる事を誓う。だからどうかこれからも側にいさせてくれないか?誰よりも近しい距離で君を護りたい」
「あ、あの、それって……」
「天使見習いの癖にかっこつけすぎかな?エリムを取られそうで焦っているのかも」
俺が慌てると、ユディは手を離してクッキーを食べ始めた。
ちょっと待って?今のユディの行動って、「従者の誓い」か!?
でもそれって、目上の人や心から尊敬する相手にやるもので、俺達のような天使見習い同士でやるのは聞いた事がないぞ。
しかも手の甲にキスしながらとか……まさか「伴侶の誓い」じゃないよな?
「はは、俺はどちらに取られても構わないよ。エリムへの誓いは間違いないから」
「あー!心読んだなぁ!」
声に出して無いのに悟られたから、俺が声を荒げるとユディは楽しそうに笑っていた。
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