18 / 48
3章
17.アンビシャス様からの命
しおりを挟む休憩しながらフリージア様から詳しい話を聞く事が出来た。
あの後、アスとアンビシャス様に何が起きたのか。ずっと気になっていたから俺は真剣に話を聞いていた。
「私はアンビシャス様に隠し子がいる事は前から聞いておりました。それがアスなのです」
「隠し子だったんですね!アンビシャス様の子供だなんて凄いなぁ。でもどうして隠していたんです?」
「アンビシャス様の子供と言ってもアンビシャス様自身お会いするのはあの時が初めてでした。まさか会えるとは思っていなくてとても感動なさってました」
そうだよね。だってアンビシャス様泣いてたもん。アスに会えてとても嬉しかったんだね。
天使の親子ってあまり聞かないけど、子供を作るには伴侶の誓いをしなきゃいけないし、その相手がいないと作れない。
と言う事は、アンビシャス様にはお相手がいるって事になる。一体もう一人のアスの親は誰なんだろう?
「アンビシャス様の伴侶の誓いの相手って誰なんですか?やっぱり同じく偉大な方ですか?」
「偉大と言えばそうなるのでしょう。ですが、我々天界に住む者にとっては理解出来ないようなお方です。だからアンビシャス様もアスの事を隠して生きて来たのです」
「まさか……」
「ユディ分かったの?」
フリージア様のまるでなぞなぞのような話を聞いていると、ユディが何かに気付いたような反応をして青ざめた顔をしていた。
まだ分からない俺に、ユディは俯きながら口を閉じた。
「ユディは賢いですね。そうです。アスのもう一人の親、そしてアンビシャス様のお相手は魔界に住む悪魔なのです」
「悪魔ぁ!?あ、だからアスから悪魔の反応が出たって事?え、でもアンビシャス様の子供でもあるんですよね?」
「ええ、アスからはどちらの反応も見受けられました。限りなく悪魔の血の方が濃いのですが、間違いなくアンビシャス様の血も受け継いでます。簡単に言うとアスは天使と悪魔の間に生まれた子。ハーフになりますね」
「ハーフ!そう言えばアスの翼は真っ黒だったよ。そっかぁ、悪魔の血が混ざってるから真っ黒だったんだね」
「あの、アンビシャス様は追放され、アスはどうなるのですか?」
ここでユディがやっとの思いで言葉を発した。アスの正体を知ってショックだったんだね。
俺は平気だけど、普通の天使なら嫌悪感を抱くよね。だって、悪魔は俺達とは真逆の事をする悪い奴らだから。
でも、アスはとても悪さをするような悪魔には見えなかった。俺達と何も変わらない男の子。それは天使の血も流れていたからかもだけど、一緒に遊んでいてアスが悪い事をするのなんて見た事がないよ。
だからユディにも、アスにちゃんと会わせたい。会って話せばユディも暗い顔しなくなると思うんだ。
「アスの処分はまだ決まってませんでした。そろそろ決まる頃かと。少しでも天使の血が通っているのでそれを考慮しても幽閉されるのではないかと」
「幽閉!?どこに!?」
「それは私にも分かりかねます」
「助けなきゃ!今ならアスがどこに捕まってるのか分かるんですよね!?教えて下さい!」
「落ち着きなさい。まだ体力も回復していないでしょう?今行っても反逆罪で捕まります」
「でもっ早くしないとフリージア様でも分からない場所に連れて行かれちゃうよ!」
「エリム……」
「ねぇユディからもお願いしてよ!フリージア様に教えて下さいって!」
「いや、フリージア様の言う通りだよ。今の俺達には何も出来ない」
ユディまで……
早くしないとアスが知らない所に幽閉されちゃう。こうなったら俺一人でも助けに行かなきゃ!
俺の考えてる事が分かったのか、フリージア様が大きなため息をついて俺に手を伸ばして来た。
「エリム、貴方はすぐ目先の事に飛び付く習性がある。時には必要な事ですが、今回の場合には無謀と言えるでしょう。そして話には続きがあります。これはアンビシャス様からの伝言です」
「何ですか!?」
「アンビシャス様はこうなる事を予知していろいろ準備されていました。まず、自分が処分を免れたらそれはそれでアスも受け入れてもらえたと言う事なのでそのまま過ごす。だけど今回は予想していた追放と言う処分を受けました。その時は私、フリージアがアンビシャス様の代わりを務める事。そして希望であるエリムを立派に鍛え上げてアスを支えられる天使にする事。それともう一つ、近々別の悪魔達が侵入して来るでしょう。その時はその悪魔達と合流して手を貸す事。アンビシャス様から命じられたのは以上です」
「悪魔達が侵入して来るって、一大事じゃないですか!しかも手を貸すだなんて、何を考えていらっしゃるのですか?」
ユディが必死に聞き返していた。確かにこの天界に悪魔達がやって来たら大騒ぎになるだろうね。でも今の俺にはそんな事はどうでも良かった。それよりもアスの事が心配で仕方がなかったんだ。
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
うちの魔王様が過保護すぎる
秋山龍央
BL
主人公・折本修司(オリモトシュウジ)は転生恩恵女神様ガチャにはずれて異世界に転生して早々、つんでいた。
「異世界で言葉が分かるようにしてくれ」と頼んだところ、相手の言葉は分かるが自分は異世界の言葉は喋れない状態となり、
「平和な国に転生したい」と頼んだところ、平和で治安のいい国に転生をすることはできたものの、そこは人間のいない魔族だけの国だったのである。
困っていた主人公の元に、異世界の"魔王"である紅の髪と角を持つ男があらわれて――
「まさか――そっくりだとは思ってたけれど、お前、本当にシュウなのか?」
異世界転生魔王様×異世界転生主人公
幼馴染年下攻めだけど年上攻めです
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
壁乳
リリーブルー
BL
ご来店ありがとうございます。ここは、壁越しに、触れ合える店。
最初は乳首から。指名を繰り返すと、徐々に、エリアが拡大していきます。
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。
じれじれラブコメディー。
4年ぶりに続きを書きました!更新していくのでよろしくお願いします。
(挿絵byリリーブルー)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる