黄金の鍵と曖昧な君

pino

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4章

26.リアルと一緒に急降下

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 もう少し!あと少し!
 必死で手を伸ばしながらリアルに近付いて行く。

 もう地面はすぐそこで、今リアルに追い付いても二人共激突しかねない。

 だけど俺は精一杯の力を振り絞ってリアルを両手で受け止めた。

 やった!追い付いた!
 リアルを離すまいとギュウっと抱き締めて、目を瞑る。

 もう間に合わないからだ。


「うわぁぁぁ!リアルごめぇん!!」

「…………」


 相変わらず気を失ってるリアルに謝りながら俺はリアルと一緒に地面に激突した。

 大きな衝撃音が聞こえた後、しまったと思ったのはリアルを下にして落ちてしまった事。
 助ける筈なのに、これじゃ俺の重さでより苦しみを与えてるだけじゃないか!

 俺もかなりの高さから猛スピードで落下した事によって意識が朦朧としていたけど、リアルがクッションになってくれたからかろうじて意識はあった。

 
「うう……リアルっごめんっ助けられなくてごめんねぇっ」


 フリージア様から与えられた授業を無事にこなせなかった悔しさと、リアルを助けてあげられなかった悲しみで俺はリアルを抱いて泣いた。

 すると俺の腕の中にいたリアルが少し動いた!


「いってぇなぁ……」

「リアル!生きてた!」

「勝手に殺すな!こんな事ぐれぇで死ぬ訳ねぇだろ!」

「良かった!本当に良かったぁ!」


 さっきまでぐったりとして、上からここまで落ちていたリアルとは打って変わってとても元気で口の悪い、いつものリアルに戻っていた。

 俺はそれが嬉しくてもう一度リアルを抱き締めて喜びを噛み締めた。


「テメェ気安く抱き付いてんじゃねぇよ!」

「だってぇ~♪嬉しいんだもん♪」

「……お前って本当変な奴だな」

「良く言われる~♪」

「アスを助けるとか言ったり、俺を助けるとか言ったり、お前本当に天使かぁ?」

「失礼な!この立派な白い翼を見たまえ!」


 バサッバサッと元気に翼を羽ばたかせると、リアルはニッと笑った。
 本当に無事で良かったぁ。

 落ちた事もだけど、リアルの胸を見ると白いシャツに血は滲んでるけど、傷は塞がっているようだった。
 フリージア様の魔法が効いたんだな。


「エリムー!!大丈夫かい!?」

「あ、ユディ♪」


 リアルの無事を喜んでいると、ユディも来てくれた。心配そうに、地に足をつけた後すぐに駆け寄って来てくれた。
 

「俺もリアルも無事だよ~♪良かったね~♪」

「そう……でもそれは……」


 ユディはホッとした顔を見せずに、眉間に皺を寄せて嫌そうな顔をした。
 チラチラとリアルを見て何か言いたそうにしてるけど、もしかしてまだリアルの事を敵と思ってるのかな?
 どうしたら分かってくれるかな?


「ユディ、リアルは口が悪くて乱暴者だけど、良い所もあるんだよ!今はまだどこが良いとは言えないけど……きっとこれから一緒にいれば見つかるから!」

「あはは!お前それ俺に失礼~」


 ここでリアルは声を出して笑い出した。
 俺が言った事が失礼だと言うけど、その笑顔は嫌な物じゃない気がして俺は嬉しかった。


「ごめん!でも俺には分かるよ♪リアルは良い奴♪てかこうして一緒にお話が出来る人で悪い人なんていないよ~」

「エリム、それは……」

「どこまでもお花畑だな。でも悪くねぇ。お前の事気に入った♡エリムつったな?」

「エリムだよ~♪仲良くしよ~♪」

「エリム♡お前アス見つけたら魔界に来いよ♪俺様がいろいろ案内してやるから♪」

「本当~?楽しみだな~♪」


 実は魔界には行ってみたいと思っていたんだ。天界とは違う世界ってのは授業や資料で見た事があるけど、やっぱり実際行ってみたいよね♪
 アスが住んでいた場所なら尚更だ。

 リアルがやっと心を開いてくれたと思ったら、ユディが俺を引っ張ってリアルから引き剥がされた。


「ユディ?」

「魔界に行くなんてダメだ。そもそも禁止されてるだろう?」

「それな!俺が魔王になったらそんなの廃止させてやるよ。頭でっかちの天界のトップを頷かせりゃいいんだろ?」

「リアルそんな事も出来るの!?凄ーい!」

「魔王になったらな!そんぐれぇ魔王ってのは凄ぇ存在なんだ。だから何が何でも他の悪魔達より先にアスを見付けるぞ!」

「わーい♪やるぞー♪」


 今の魔王ってリアルとアスのお父さんだよね?凄い人なんだなぁ~。
 俺とリアルが盛り上がる中、ユディはまだ納得出来ないみたいで声を荒げた。


「エリムをたぶらかすな!」


 ユディがこんなに大きな声で怒ってるのなんて初めて見たよ……そこまでリアルの事が許せないのかな。
 俺は悲しくなった。


「ユディ、怒らないでよ。リアルも慣れない天界で頑張ってるんだから、俺達が支えてあげようよ」

「エリム、フリージア様に言われただろ?エリムは疑う心を持った方がいい。何でも誰でも受け入れるのは立派な事だけど、明らかにやましい気持ちのある者を庇うなんて必要のない事だよ」

「やましいって、リアルが悪魔だから?それは酷いだろ!やましい気持ちを持っているのは俺達天使だって同じじゃないか!」

「そうなの?お前らもやましい気持ち持ってんの?」

「あるよ!俺はね、毎日遊んで暮らしたーい♪本当は立派な天使になる為に頑張らなきゃいけないんだけど、どうにも楽しい事があるとサボっちゃうんだ~」

「へー、なんだ、俺らと同じじゃん♪俺とエリム上手くやって行けそうだな♪」

「本当だね♪」

「でもさ、こっちの天使さんは俺の事が気に入らないみたいだし?俺消えた方がいいのかもなー?」

「そんな事ないよ!ユディ!大丈夫だよね!?」

「……そうだね。エリムが言うならね」


 あ、絶対思ってないな。
 俺はユディのように心は読めないけど、表情で分かった。

 はぁ、でもリアルが無事で本当に良かった♪
 ユディともこれから一緒に過ごしてゆっくり仲良くなれればいいな。

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