27 / 48
4章
26.リアルと一緒に急降下
しおりを挟むもう少し!あと少し!
必死で手を伸ばしながらリアルに近付いて行く。
もう地面はすぐそこで、今リアルに追い付いても二人共激突しかねない。
だけど俺は精一杯の力を振り絞ってリアルを両手で受け止めた。
やった!追い付いた!
リアルを離すまいとギュウっと抱き締めて、目を瞑る。
もう間に合わないからだ。
「うわぁぁぁ!リアルごめぇん!!」
「…………」
相変わらず気を失ってるリアルに謝りながら俺はリアルと一緒に地面に激突した。
大きな衝撃音が聞こえた後、しまったと思ったのはリアルを下にして落ちてしまった事。
助ける筈なのに、これじゃ俺の重さでより苦しみを与えてるだけじゃないか!
俺もかなりの高さから猛スピードで落下した事によって意識が朦朧としていたけど、リアルがクッションになってくれたからかろうじて意識はあった。
「うう……リアルっごめんっ助けられなくてごめんねぇっ」
フリージア様から与えられた授業を無事にこなせなかった悔しさと、リアルを助けてあげられなかった悲しみで俺はリアルを抱いて泣いた。
すると俺の腕の中にいたリアルが少し動いた!
「いってぇなぁ……」
「リアル!生きてた!」
「勝手に殺すな!こんな事ぐれぇで死ぬ訳ねぇだろ!」
「良かった!本当に良かったぁ!」
さっきまでぐったりとして、上からここまで落ちていたリアルとは打って変わってとても元気で口の悪い、いつものリアルに戻っていた。
俺はそれが嬉しくてもう一度リアルを抱き締めて喜びを噛み締めた。
「テメェ気安く抱き付いてんじゃねぇよ!」
「だってぇ~♪嬉しいんだもん♪」
「……お前って本当変な奴だな」
「良く言われる~♪」
「アスを助けるとか言ったり、俺を助けるとか言ったり、お前本当に天使かぁ?」
「失礼な!この立派な白い翼を見たまえ!」
バサッバサッと元気に翼を羽ばたかせると、リアルはニッと笑った。
本当に無事で良かったぁ。
落ちた事もだけど、リアルの胸を見ると白いシャツに血は滲んでるけど、傷は塞がっているようだった。
フリージア様の魔法が効いたんだな。
「エリムー!!大丈夫かい!?」
「あ、ユディ♪」
リアルの無事を喜んでいると、ユディも来てくれた。心配そうに、地に足をつけた後すぐに駆け寄って来てくれた。
「俺もリアルも無事だよ~♪良かったね~♪」
「そう……でもそれは……」
ユディはホッとした顔を見せずに、眉間に皺を寄せて嫌そうな顔をした。
チラチラとリアルを見て何か言いたそうにしてるけど、もしかしてまだリアルの事を敵と思ってるのかな?
どうしたら分かってくれるかな?
「ユディ、リアルは口が悪くて乱暴者だけど、良い所もあるんだよ!今はまだどこが良いとは言えないけど……きっとこれから一緒にいれば見つかるから!」
「あはは!お前それ俺に失礼~」
ここでリアルは声を出して笑い出した。
俺が言った事が失礼だと言うけど、その笑顔は嫌な物じゃない気がして俺は嬉しかった。
「ごめん!でも俺には分かるよ♪リアルは良い奴♪てかこうして一緒にお話が出来る人で悪い人なんていないよ~」
「エリム、それは……」
「どこまでもお花畑だな。でも悪くねぇ。お前の事気に入った♡エリムつったな?」
「エリムだよ~♪仲良くしよ~♪」
「エリム♡お前アス見つけたら魔界に来いよ♪俺様がいろいろ案内してやるから♪」
「本当~?楽しみだな~♪」
実は魔界には行ってみたいと思っていたんだ。天界とは違う世界ってのは授業や資料で見た事があるけど、やっぱり実際行ってみたいよね♪
アスが住んでいた場所なら尚更だ。
リアルがやっと心を開いてくれたと思ったら、ユディが俺を引っ張ってリアルから引き剥がされた。
「ユディ?」
「魔界に行くなんてダメだ。そもそも禁止されてるだろう?」
「それな!俺が魔王になったらそんなの廃止させてやるよ。頭でっかちの天界のトップを頷かせりゃいいんだろ?」
「リアルそんな事も出来るの!?凄ーい!」
「魔王になったらな!そんぐれぇ魔王ってのは凄ぇ存在なんだ。だから何が何でも他の悪魔達より先にアスを見付けるぞ!」
「わーい♪やるぞー♪」
今の魔王ってリアルとアスのお父さんだよね?凄い人なんだなぁ~。
俺とリアルが盛り上がる中、ユディはまだ納得出来ないみたいで声を荒げた。
「エリムをたぶらかすな!」
ユディがこんなに大きな声で怒ってるのなんて初めて見たよ……そこまでリアルの事が許せないのかな。
俺は悲しくなった。
「ユディ、怒らないでよ。リアルも慣れない天界で頑張ってるんだから、俺達が支えてあげようよ」
「エリム、フリージア様に言われただろ?エリムは疑う心を持った方がいい。何でも誰でも受け入れるのは立派な事だけど、明らかにやましい気持ちのある者を庇うなんて必要のない事だよ」
「やましいって、リアルが悪魔だから?それは酷いだろ!やましい気持ちを持っているのは俺達天使だって同じじゃないか!」
「そうなの?お前らもやましい気持ち持ってんの?」
「あるよ!俺はね、毎日遊んで暮らしたーい♪本当は立派な天使になる為に頑張らなきゃいけないんだけど、どうにも楽しい事があるとサボっちゃうんだ~」
「へー、なんだ、俺らと同じじゃん♪俺とエリム上手くやって行けそうだな♪」
「本当だね♪」
「でもさ、こっちの天使さんは俺の事が気に入らないみたいだし?俺消えた方がいいのかもなー?」
「そんな事ないよ!ユディ!大丈夫だよね!?」
「……そうだね。エリムが言うならね」
あ、絶対思ってないな。
俺はユディのように心は読めないけど、表情で分かった。
はぁ、でもリアルが無事で本当に良かった♪
ユディともこれから一緒に過ごしてゆっくり仲良くなれればいいな。
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
うちの魔王様が過保護すぎる
秋山龍央
BL
主人公・折本修司(オリモトシュウジ)は転生恩恵女神様ガチャにはずれて異世界に転生して早々、つんでいた。
「異世界で言葉が分かるようにしてくれ」と頼んだところ、相手の言葉は分かるが自分は異世界の言葉は喋れない状態となり、
「平和な国に転生したい」と頼んだところ、平和で治安のいい国に転生をすることはできたものの、そこは人間のいない魔族だけの国だったのである。
困っていた主人公の元に、異世界の"魔王"である紅の髪と角を持つ男があらわれて――
「まさか――そっくりだとは思ってたけれど、お前、本当にシュウなのか?」
異世界転生魔王様×異世界転生主人公
幼馴染年下攻めだけど年上攻めです
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
壁乳
リリーブルー
BL
ご来店ありがとうございます。ここは、壁越しに、触れ合える店。
最初は乳首から。指名を繰り返すと、徐々に、エリアが拡大していきます。
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。
じれじれラブコメディー。
4年ぶりに続きを書きました!更新していくのでよろしくお願いします。
(挿絵byリリーブルー)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる