黄金の鍵と曖昧な君

pino

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4章

25.フリージア様の授業

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 他の守護隊達にもリアルと同じように光の塊が胸にスゥッと入って行き、しばらくしてからリアルに異変が起こった。
 頭を振って一生懸命に何かに耐えてるみたいだけど、一体どうしたんだ?


「クソッ何なんだいきなりっ」

「効きはじめましたね。もっと素直になりなさい」

「うっせぇ!催眠かっ!」

「さすがは悪魔と言った所でしょうか。どうも効き目が薄いようですね。他の者達は素直で真っ直ぐな心を持っているのですぐに受け入れましたよ」


 催眠術は魔法の一つだと習った事がある。
 リアルはまだ辛そうにしてるけど、リアルよりも後に光の塊を体の中に入れた守護隊達は頭をこっくりこっくりしている。目を閉じている守護隊もいた。

 それを見てフリージア様は指を鳴らして大きな鳥を数羽呼び出した。その鳥はとても神秘的な見た目をしていて、大きく煌めく翼や長くてしなやかな尾はうっとりしてしまう程に美しかった。


「この者達を安全な場所まで連れて行って下さい。そうですね、気持ち良く眠れる場所がいいでしょう」


 鳥達はフリージア様の言う事を聞くように、それぞれ背中に眠ってしまった守護隊達を乗せてどこかへ優雅に飛んで行ってしまった。
 凄い!何だかんだ守護隊を片付けてしまったぞ!


「とても綺麗な鳥だったなぁ♪また会えるかなぁ♪」

「あれは私が作った幻鳥です。今度紹介しますよ」

「本当ですか!?やったぁ♪」

「フリージア様、リアルの様子がおかしいです」


 フリージア様と楽しく会話をしていたらユディが心配そうに入って来た。
 そしてリアルを見て見ると、左手で頭を押さえて右手を真っ直ぐに伸ばしていた。
 何をしてるのか見ていたら、次の瞬間リアルの右手がナイフのような刃物に変わった。
 
 何今の!?手品!?


「わ!凄い!手が刃物になった!」

「くっ……催眠なんか効くかよっ」

「まさか」


 相変わらず辛そうにしてるリアルは、そのまま刃物に変わった右手を自分の胸に持って行き、それを思い切り突き刺した。
 あまりに衝撃的な事が目の前で起こり、俺は言葉を失ってユディの腕をギュッと強く握った。

 自分で自分を刺すなんて!
 なんて恐ろしい光景だろう……

 ナイフが刺さった場所から血がジワリと浮かび、ポタポタとしたたった。


「愚かな」

「へっ!さっき俺の中に入れた玉を掻き出してやるよ!」

「物理的に出せる物ではありません。むしろ今の貴方にその行動は逆効果でしょう」

「は?何で……あ……」


 リアルは胸を刺した刺激で一度は目が覚めたように見えたけど、また様子がおかしくなって、自分の胸から右手のナイフを抜いて、そのまま後ろにガクッと倒れた。
 その時に黒くてコウモリのような翼は折り畳まれていた。


「聖の力を初めて受けたのでは?貴方の捻じ曲がった心に効くのは時間が掛かりましたが、その深い胸の傷には即効性があったようですね。私の放った聖なる光は受けた者を癒し眠りへと誘う効果があります。深手を負っていればいる程深い眠りにね。大丈夫です♪治癒効果もありますよ♪」

「フフフ、フリージア様ぁ!リアルもう寝てます!てか落ちちゃいます!早くあの幻鳥を出してあげて下さい!」


 フリージア様は淡々と自分が何をしてリアルがどうなったかを説明してるけど、リアルは既に気を失っていて、正に地面に向けて落下中だった。
 俺が助けを促すと、フリージア様はニコッと笑って俺にこう言った。


「さぁエリム、私の授業はまだ続いてますよ。今度は実技です。眠りにつきながら落ちていくリアルを救え。今度は貴方なりにリアルを助けなさい」

「えええ!?いきなりぃ!?」


 突然の無茶振りに俺はパニックになった。
 いやいや、俺だよぉ?ユディのように賢くもなければ、フリージア様のような素敵な魔法が使える訳じゃないんだよ?

 それなのに、今度は俺がリアルを助けるだなんてどうしたらいいんだ!?
 今の俺に出来る事は前より速く飛べるようになった事……


「そんなのっ!追い掛けるしかないだろぉ!!」

「エリム!」


 もう考えるより動いてしまえ!
 眠りながら落ちて行くリアルよりも速く!
 普段は羽ばたかせている翼に角度を付けて、目的まで更にスピードアップ!
 いや、もう飛ぶって言うより俺も落ちてるに近い。下手したら俺も地面に激突するぞ。しかも猛スピードでな。

 それでもリアルに追いつこうと一生懸命に急降下した。

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