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5章 新しい恋達の行方
※ 春野も嫌味な事するね~(類side)
しおりを挟む※類side
俺がまだちーちゃんを好きになる前の話。そうだな、ちーちゃんが双葉にちょっかい出してウザかった時かな。
俺がいつもいたグループの一人がちーちゃんの事を気に入っててその時にたまたま聞いた話だ。
「吾妻って小さくて可愛いよな~」
「山田ってロリコン?」
「ちげぇわ!あ、でも幼い見た目の方が好きかも~」
「名前も千尋で可愛いよな」
「可愛い♡なぁ類って吾妻と話してたよな?俺も話したい♪」
ちーちゃんの事で盛り上がる会話が俺にも飛んで来たけど、この時の俺はちーちゃんの事なんてこれっぽっちも良いとは思わなかったから適当に聞いていた。
今思えばこの時の山田ムカつくな。
「同じクラスなんだから普通に話せばいいじゃん」
「えー、ウザいと思われねぇ?ほら俺ら目立ってっし」
「あ、そういや春野も話してたよ~」
「何!?」
「俺も見た~。春野って謎のオーラあるよな!いつも一人でいて大人しいけど決して目立たない訳じゃない!」
「分かる分かる。スタイル良いしなんかかっこいいよな」
そうかぁ?前髪で顔隠れてるし、ただ暗くてただ細いだけだろ。俺はみんなが言う事をそんな風に思いながら教室の隅にいる春野を見る。
この時の俺は、確かにスタイルは良いけど俺程じゃないなとそれぐらいに思っていた。
心の中ではそう思っても俺は周りには良い人で通ってるから無難な回答をしてやり過ごしていた。
「そもそも吾妻は誰とでも話すっしょ。山田がそんな身構える理由が分からないんだけど」
「えー、まさか本気で好きなのかぁ?」
「バカ!まだ好きとかじゃねぇよ!いいなぁってだけだっ」
「春野に先越されないようにしろよ~」
みんなに茶化されて慌てる山田。
山田にしろ春野にしろ吾妻は貴哉狙いなんだから無理だろ。
そしてそれからしばらく経って俺がちーちゃんにちょっかいを出すようになった時、みんなが言っていた事が本当なんだと思う出来事が起こったんだ。
俺がちーちゃんの体操着を隠して遊んでた時がある。ちーちゃんは体育の授業はやたら張り切ってる。参加出来ないと困るだろうなぁって離れた自分の席から、自分の体操着を探し回るちーちゃんを見て楽しんでいたんだ。
みんな着替え終わって移動を始めた頃、俺がそろそろ茶化しに行こうとした時、俺よりも先にちーちゃんに声を掛ける男がいた。
春野翠だった。
「吾妻、どうしたの?」
「どうしたのこうしたも、絶対持って来た筈なのに体操着が無いんだよ~!誰にも貸してないし、おかしいんだ」
「ロッカーは探した?」
「探したよ~。中身全部出したけど無かった~。今日バスケなのに最悪だよ~」
「あの、俺ので良かったら使って?ちゃんと洗濯してあるから……嫌だったら断って……」
何それ?
てか何助けようとしてんの?
てか自分だって無いと困るんじゃねぇの?
てか吾妻も他のクラスに借りに行けば良くね?
二人のやり取りを見ていてイライラしたのを良く覚えている。この時はまだ気付かなかったけど、既にちーちゃんの事を好きだったのかもしれない。
「いいのか!?」
「う、うん。俺体調良くなくて、休むつもりだったから」
「春野マジ神!そんじゃ早速!」
キラキラした笑顔で喜ぶちーちゃんは春野から体操着を受け取ると、制服を脱いで着替え始めた。
その時に俺は見たんだ。目の前で制服を脱ぐちーちゃんから目を逸らして顔を赤くさせてる春野を。
ふーん。吾妻の事良いと思ってるのって山田だけじゃないんだ~。
この時はちーちゃんへの気持ちに気付く前だったからその程度にしか思ってなかったけど、同時に心にモヤモヤする物があって俺は二人の仲を割くように歩き出した。
「ちーちゃんまだ着替えてんのー?体育遅刻しちゃうよー?」
「うわぁ!?その声は石原か!?やめろ!!」
横で悶々としてる男の前で堂々と白い肌を見せるちーちゃんの脇腹をくすぐると、身を捩りながら急いで春野の体操着を着た。
うわ、サイズ合わな過ぎて彼女が彼氏の借りましたみたいになってんじゃん!
「それ春野に借りたの?」
「そうだよ!急いでんだから邪魔するなよ!」
「へー、春野も嫌味な事するね~」
「何言ってるんだよ?春野は貸してくれたんだぞ」
「ちーちゃんてば気付いてないの?そんな大きな体操着着せて、チビだって馬鹿にされてるんだよ?かわいそうに」
「ちがっそんなつもりはっ」
春野のイメージを下げようと俺がそう言うと、ちーちゃんは春野を見てニコッと笑った。
「何でもいいよ!バスケやりたかったから助かったのは事実だし!てか俺を馬鹿にしてるのはお前だろ!春野のせいにするなよ!」
「吾妻……」
ムカつく。
俺はちーちゃんと春野を離したくて、わざとちーちゃんの体を抱き抱えるように張り付いて歩き出した。
「それなら急ごう♪なんなら俺がおんぶしてあげるよー♪」
「いらないから!てか歩きにくいっての!あ!春野!貸してくれてサンキューな♪」
「ほら早く行くよ~」
春野に笑顔でお礼を言うもんだから本当にお姫様抱っこしてやろうかと思ったよ。
とまぁこんな感じでこの時から俺は春野に対してはキツく当たりマウントをとっていた。
その効果からかその後春野がちーちゃんに近付く事は無くなったけど、春野がちーちゃんを見てるのは同じ教室にいて嫌でも分かる。
幸いなのはちーちゃんが鈍感だって事。貴哉に夢中で周りからの好意なんてどうでもいいだけかもしれないけどね。
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