どいつもこいつもかかって来やがれ9th season

pino

文字の大きさ
109 / 151
5章 新しい恋達の行方

※ 春野も嫌味な事するね~(類side)

しおりを挟む

 ※類side

 俺がまだちーちゃんを好きになる前の話。そうだな、ちーちゃんが双葉にちょっかい出してウザかった時かな。
 俺がいつもいたグループの一人がちーちゃんの事を気に入っててその時にたまたま聞いた話だ。

「吾妻って小さくて可愛いよな~」
「山田ってロリコン?」
「ちげぇわ!あ、でも幼い見た目の方が好きかも~」
「名前も千尋で可愛いよな」
「可愛い♡なぁ類って吾妻と話してたよな?俺も話したい♪」

 ちーちゃんの事で盛り上がる会話が俺にも飛んで来たけど、この時の俺はちーちゃんの事なんてこれっぽっちも良いとは思わなかったから適当に聞いていた。
 今思えばこの時の山田ムカつくな。

「同じクラスなんだから普通に話せばいいじゃん」
「えー、ウザいと思われねぇ?ほら俺ら目立ってっし」
「あ、そういや春野も話してたよ~」
「何!?」
「俺も見た~。春野って謎のオーラあるよな!いつも一人でいて大人しいけど決して目立たない訳じゃない!」
「分かる分かる。スタイル良いしなんかかっこいいよな」

 そうかぁ?前髪で顔隠れてるし、ただ暗くてただ細いだけだろ。俺はみんなが言う事をそんな風に思いながら教室の隅にいる春野を見る。
 この時の俺は、確かにスタイルは良いけど俺程じゃないなとそれぐらいに思っていた。
 心の中ではそう思っても俺は周りには良い人で通ってるから無難な回答をしてやり過ごしていた。

「そもそも吾妻は誰とでも話すっしょ。山田がそんな身構える理由が分からないんだけど」
「えー、まさか本気で好きなのかぁ?」
「バカ!まだ好きとかじゃねぇよ!いいなぁってだけだっ」
「春野に先越されないようにしろよ~」

 みんなに茶化されて慌てる山田。
 山田にしろ春野にしろ吾妻は貴哉狙いなんだから無理だろ。
 
 そしてそれからしばらく経って俺がちーちゃんにちょっかいを出すようになった時、みんなが言っていた事が本当なんだと思う出来事が起こったんだ。
 俺がちーちゃんの体操着を隠して遊んでた時がある。ちーちゃんは体育の授業はやたら張り切ってる。参加出来ないと困るだろうなぁって離れた自分の席から、自分の体操着を探し回るちーちゃんを見て楽しんでいたんだ。
 みんな着替え終わって移動を始めた頃、俺がそろそろ茶化しに行こうとした時、俺よりも先にちーちゃんに声を掛ける男がいた。
 春野翠だった。

「吾妻、どうしたの?」
「どうしたのこうしたも、絶対持って来た筈なのに体操着が無いんだよ~!誰にも貸してないし、おかしいんだ」
「ロッカーは探した?」
「探したよ~。中身全部出したけど無かった~。今日バスケなのに最悪だよ~」
「あの、俺ので良かったら使って?ちゃんと洗濯してあるから……嫌だったら断って……」

 何それ?
 てか何助けようとしてんの?
 てか自分だって無いと困るんじゃねぇの?
 てか吾妻も他のクラスに借りに行けば良くね?
 二人のやり取りを見ていてイライラしたのを良く覚えている。この時はまだ気付かなかったけど、既にちーちゃんの事を好きだったのかもしれない。

「いいのか!?」
「う、うん。俺体調良くなくて、休むつもりだったから」
「春野マジ神!そんじゃ早速!」

 キラキラした笑顔で喜ぶちーちゃんは春野から体操着を受け取ると、制服を脱いで着替え始めた。
 その時に俺は見たんだ。目の前で制服を脱ぐちーちゃんから目を逸らして顔を赤くさせてる春野を。
 ふーん。吾妻の事良いと思ってるのって山田だけじゃないんだ~。
 この時はちーちゃんへの気持ちに気付く前だったからその程度にしか思ってなかったけど、同時に心にモヤモヤする物があって俺は二人の仲を割くように歩き出した。

「ちーちゃんまだ着替えてんのー?体育遅刻しちゃうよー?」
「うわぁ!?その声は石原か!?やめろ!!」

 横で悶々としてる男の前で堂々と白い肌を見せるちーちゃんの脇腹をくすぐると、身を捩りながら急いで春野の体操着を着た。
 うわ、サイズ合わな過ぎて彼女が彼氏の借りましたみたいになってんじゃん!

「それ春野に借りたの?」
「そうだよ!急いでんだから邪魔するなよ!」
「へー、春野も嫌味な事するね~」
「何言ってるんだよ?春野は貸してくれたんだぞ」
「ちーちゃんてば気付いてないの?そんな大きな体操着着せて、チビだって馬鹿にされてるんだよ?かわいそうに」
「ちがっそんなつもりはっ」

 春野のイメージを下げようと俺がそう言うと、ちーちゃんは春野を見てニコッと笑った。

「何でもいいよ!バスケやりたかったから助かったのは事実だし!てか俺を馬鹿にしてるのはお前だろ!春野のせいにするなよ!」
「吾妻……」

 ムカつく。
 俺はちーちゃんと春野を離したくて、わざとちーちゃんの体を抱き抱えるように張り付いて歩き出した。

「それなら急ごう♪なんなら俺がおんぶしてあげるよー♪」
「いらないから!てか歩きにくいっての!あ!春野!貸してくれてサンキューな♪」
「ほら早く行くよ~」

 春野に笑顔でお礼を言うもんだから本当にお姫様抱っこしてやろうかと思ったよ。
 
 とまぁこんな感じでこの時から俺は春野に対してはキツく当たりマウントをとっていた。
 その効果からかその後春野がちーちゃんに近付く事は無くなったけど、春野がちーちゃんを見てるのは同じ教室にいて嫌でも分かる。

 幸いなのはちーちゃんが鈍感だって事。貴哉に夢中で周りからの好意なんてどうでもいいだけかもしれないけどね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

趣味で乳首開発をしたらなぜか同僚(男)が近づいてきました

ねこみ
BL
タイトルそのまんまです。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は未定 ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い ・本格的に嫌われ始めるのは2章から

【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ6th season

pino
BL
秋山貴哉は口悪し頭悪しのヤンキーだ。 出席日数は崖っぷち、テストの順位は毎回最下位、学年主任からの呼び出しは日常の一部と、退学すれすれの学園生活を送るが、着々と襲い掛かる問題を乗り越えて行きとうとう冬休みに突入!が、ここでも貴哉にとって更なる難題が待ち受けていた。「お前最近周りから評価されてるようだか調子に乗り過ぎだ」まさかの親睦を深めたと思っていた担任からの言葉に貴哉はどう出るのか!? そしておかしな関係になってしまった元恋人達、伊織と空とは相変わらずな関係を続けているが、貴哉の事を好きなのは二人だけじゃなかった。迫り来るクリスマスに貴哉争奪戦が今始まる! 果たして貴哉は誰とクリスマスを過ごし、誰と年を越すのか? そもそも貴哉に冬休みは訪れるのか? 6th seasonスタートです! 基本コメディ多めですが、性的描写も有ります。 BLです。 今回の表紙は奇人変人男、桃山湊(5thのその後の後の姿)です。 こちらは6th seasonとなっております。 前作の続きとなっておりますので、より楽しみたい方は、完結している『どいつもこいつもかかって来やがれ』から『どいつもこいつもかかって来やがれ5thのその後』までを先にお読み下さい。 貴哉視点の話です。 ※印がついている話は貴哉以外の視点での話になってます。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

僕たち、結婚することになりました

リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった! 後輩はモテモテな25歳。 俺は37歳。 笑えるBL。ラブコメディ💛 fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。

ビッチです!誤解しないでください!

モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃 「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」 「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」 「大丈夫か?あんな噂気にするな」 「晃ほど清純な男はいないというのに」 「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」 噂じゃなくて事実ですけど!!!?? 俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生…… 魔性の男で申し訳ない笑 めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!

処理中です...