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1章 出会い
1.若者開拓作戦
しおりを挟む俺の名前は夏川伊吹。今年で25歳になる立派な男だ。そこそこ良いマンションに住んでいるけど、フリーターだ。
良い歳して親に金を出してもらってるのかだって?それは違うな!たまに米や食料を送ってもらってはいるが、家賃や光熱費は全て自腹だ!
これでも俺は親孝行な息子だからバイト代でなんとかやり繰りをしているんだ。
俺がしてるバイトってのは会員制の高級デートクラブだ。またの名をパパ活逆バージョン!これがまた稼げるんだ♪
元々大学を中退している俺は、まともな就職先を見つける事が出来ずに、とりあえずの繋ぎで見つけたバイトだったんだ。
だけど、どうやら昔から顔だけは良いと言われていた俺。かなりの数の人達からお声が掛かる掛かる♪セレブな奥様から、若い女子大生まで幅広く、俺はそんな事をして生活費を稼いでいる。
中には同性からのデートの申し込みもあるんだ。俺は金になればと男女どちらでもOKを出しているんだけど、金持ちのおっさんだとお小遣いを弾んでくれるから喜んで引き受けていた。
ただし、そんなおっさん達は必ずと言って良い程延長してホテルに連れ込みたがる。生憎俺はそっちには興味がないので、貰えるもん貰ったら相手になんかせずに時間には帰っていた。
ちなみに同性の場合は、友達感覚で遊びたいって人もいたりする。
きっとホテルの誘いを受ければ更に稼げるんだろうけど、俺にそこまでの勇気はなかった。何か問題になっても解決出来るような頭も持ち合わせていないし、殴り合いの喧嘩に勝てるような腕っぷしも無い。
本当に恵まれているのはこの自他共に認める綺麗な容姿だけ。
お前は喋らなければと何度も言われて来ているから耳にタコだ。
とにかく俺は、基本的には寂しがりな女性の相手をして満足させて、貰える時はお小遣いを受け取り、たまにおっさんとお茶をして、なんとか食い繋いでいた。
「うーん、最近若い子が多いよな~」
俺はスマホを見ながら予約状況を確認していた。
デートの申し込みがあると、店専用のアプリから通知が入る。そして、俺がその予約を承諾して相手にもその旨が伝えられてデート成立となる。
希望日時や集合場所など、細かく言えば、相手が希望するどんなデートがしたくて、時にはどんな服装で来て欲しいのかまで事細かく書かれていた。俺にエスコートして欲しい場合は何も書いてない事もあるけど、希望が書いてあればそれ通りにすればいいので楽でもあった。
そして最近、20歳前後から予約が入る事が増えたんだ。一応18歳以上なら利用出来る事になってるけど、俺は未成年とか何かと面倒だし、場合によっては俺の負担が大きくなりそうだから20歳以上って決めてやってるんだけど、どうにも若い子からの予約が多い為、選んでる場合じゃないなと思えて来ている。
俺ももう25歳だし、いつまでも年上に相手にされる年齢じゃなくなって来たって事かぁ?
だからここらで若者開拓をしようと試みているのだ。
とりあえず若者に付いて行けるような知識を得なくてはならない。ところがどっこい、俺はこんなバイトをしてるせいもあって友達が少ない。いたとしても変わった奴らばかりでとても参考にはならないだろう。
ここで予約欄のリストに男の名前があるのに気付く。
「20歳の大学生か……」
若い男からの申し込みはイタズラなどが多いから全部却下していたけど、ちょっと勉強させてもらうか。
相手の顔写真は無い。まぁそこはみんなそうだからいいんだけど、名前は「谷岡尚輝」って書いてある。だけど、こういうのを利用してるのを隠したい人が多いからあだ名や仮の名前を使う人が多いからあまり気にしてない。
後は簡単なプロフィールが載っていて、メモ欄に一言あるんだけど、そこには「こう場所は初めて利用します。よろしくお願いします」と書いてあった。
テンプレのようなそんな挨拶。真面目っぽいな~。
まぁ参考にならなかったら予定通り過ごしてバイバイすればいい。
俺は週末の土曜日に入っていた予約を承諾してデート成立となった。
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