【完結】取り柄は顔が良い事だけです

pino

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1章 出会い

2.初めましての挨拶

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 土曜日の朝、俺はいつも通りに支度をして客との待ち合わせ場所に少し早めに待機しようと家を出る。
 相手によって少し変えるけど、特に指定が無い場合は、自分の好きな服を着て行く。今日は白のデカTとベージュの細めのサルエルパンツにした。
 相手も少し早めに来る事が多いからそれよりも早く着くように気を使っている。その方が印象が良いからな♪
 電車から降りて改札を抜けて、駅前の待ち合わせ場所で相手を探す。

 今日は新規開拓の為に同性である男と、それも20歳の子とのデートだ。
 容姿の事は書いてなかったけど、一応任意のプロフィールには身長182cm体重70kgと書いてあった。まぁ殆ど嘘が多いから当てにはしないけど、170しかない俺からしたら180あるとか羨ましい話だ。この情報が本当ならスタイルは良さそうだな。

 駅前のコンビニ前が待ち合わせ場所だからそこへ行くと、老若男女様々な人々があちこちへ行き交う中一人の若い男が立ってスマホを見ていた。

 俺より背が高くて、黒髪でキリッとした顔の至って普通な男だった。
 事前にやり取りしたメッセージにあった服装と照らし合わせる。白のワイシャツに、紺色のカーディガン。下は黒のジーンズ。帽子やメガネは無し。うん、この男っぽいな。

 
「あの~、尚輝、くん?俺、伊吹だけど」

「!!」


 俺が声を掛けると、男はハッとして顔を上げて俺の顔を見て固まっていた。
 うわ、近くで見たらますます顔面強っ!肌とか綺麗だし、まつ毛も長ーい!切れ長の目とか男らしくて羨ましいんだけど!


「あっ、谷岡ですっ!初めまして!」

「あはは、初めまして♪今日はよろしくね♪」


 俺が顔面チェックをしてると、慌てて挨拶をして来た。
 緊張してるっぽいな~。俺より大きい男のそんな姿が面白くて思わず笑うと、尚輝くんは頬を赤らめてチラチラと見て来た後、両腕を体の横にピシッと下げてペコリと頭を下げた。


「よろしくお願いしますっ!」

「緊張してる?そんな畏まらなくていいから~。てか早いね!俺より早いとかなかなかやるじゃん♪」


 客を待たせるのは印象良く無いから大抵俺のが先に待ってる事が多いんだけど、尚輝くんはそんな俺よりも先にいた。
 11時待ち合わせで15分前には着くようにしていたけど、それより早いとかどんなけ真面目なんだよって感じ。
 まぁ見た目普通そうだから声掛けたけど、これで面倒くさそうなおじさんとかだったら時間ギリギリまで声掛けなかったわ。


「俺からお誘いしたので、遅刻は失礼かなと……あの、まだ時間じゃないですけど、大丈夫でしょうか?」

「ん、そうね!その気持ちは大事よね♪尚輝くん良い子そうだから大丈夫だよ~♪」

「ありがとうございますっ!改めて今日はよろしくお願いします!」

「だから堅くならなくていいってば~。俺なんてただのフリーターだし、気使わなくていいよ」

「いえ、そう言う訳には……あの、何てお呼びしていいでしょうか?」

「普通に伊吹でいいよ。ちなみに本名ね」

「伊吹さんですね!写真通り綺麗で驚きました!」

「そう?やっぱ尚輝くんも俺の事写真で選んだ感じ?それだったらガッカリさせちゃうかもな~」

「どう言う事ですか?」


 まず見た目を褒められるのは慣れっ子だ。こういうバイトしてると必ずと言って良い程写真で選ばれるからな。

 でも俺にとってはちょっと申し訳ない事だった。
 なんせ俺は、落ち着いていて綺麗なお人形さんのような顔とは裏腹に、中身は立派な男だからだ。
 それも普通の男よりもガサツだと自分でも思う。
 どんな相手とでも話せる性格はこのバイトをするに当たって助かってるけど、どんな地位の相手にも同じように接してしまうのは時々失敗したりもするんだ。

 だから良く新規の指名は入るけど、思ってたのと違うと勝手な事を言われて2回目は誘われない事も多かった。

 まぁ尚輝くんとは若者の事をリサーチする為に会うから、今日時間までに若者の事をいろいろ聞ければそれでいいけど。
 何より若くて大学生とかだとあまり金にならないからな。
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