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1章 出会い
3.真面目な20歳
しおりを挟む立ち話も何だし、とりあえず近くのカフェで少し話をする事にした。
俺はアイスティー、尚輝くんはホットコーヒーを頼んだ。
「ほら俺ってこんな顔でしょ?だから勘違いされる事が多いんだよね~。もっとおしとやかだと思ったとか、もっとクールだと思ったとか、はたまたもっと身長あるかと思ったとか直しようの無い事まで言われた事もある!そりゃ相手によっちゃ俺も多少は気を使うけどさ~、俺嘘とかつけないからボロがでるぐらいなら素を出した方が楽だな~って思ってるんだ」
「そうだったんですね。確かに想像していたよりはたくさん話してくれますけど、俺は楽しくて好きです♪こういうのは初めてなので凄く緊張してましたが、伊吹さんのおかげで気持ちが和らぎました♪」
キリッとした顔を緩めて笑顔を見せる尚輝くん。
はて、尚輝くんは何故デートクラブなんて使おうと思ったのか?見た感じは真面目そうでスタイルも良いから女の子にモテそうだ。
しかも指名したのは男である俺。もしかしたら尚輝くんも俺と同じような理由なのかもな。
好きな女性がいるけど、年上で相手にされないから年上の心を知りたくて俺を頼った。だとしたら納得いくよな~。
だって、俺が所属しているデートクラブはちょっとリッチな人たち御用達の高級デートクラブだ。ただの学生がちょこちょこ使えるようなとこじゃないんだ。
「そ?それなら良かった♪あ、今日はどうする?一応デートするってのが目的なんだけど、普通に遊ぶ感じでいいかな?何か希望があれば合わせるけど」
「あの、俺がエスコートしてもいいでしょうか?」
「あ、尚輝くんがしてくれるの?それ嬉しいわ~♪」
それなら自然と若者がしそうな事とか、行きそうなとことかリサーチ出来るもんな♪
わーい♪今日は楽そうでラッキー♪
しかも尚輝くんは、この時間から20時までの予約を入れてくれてる言わば太客だ。会員のランクにもよるけど、デートする時間は長ければ長い程高額になる。勿論、俺にバックされる金額もデカくなる。
それがねちっこいおっさんやおばさんだと地獄のような1日になるけど、こんな風にフレッシュな20歳の、それも同性と過ごせるなんて俺からしたら楽して金貰えると言う、非常にありがたい事だった。
「伊吹さんを満足させられるように俺、頑張りますっ♪」
「おー、前向き良いね~。そういや20歳ってホント?たまに偽ってる人もいるから一応確認ね!別に嘘なら嘘でもいいけど」
「本当ですよ。あ、身分証見せます!」
「え、別にそこまでしなくてもいいよ。ホント、話す上で歳いくつか知ってた方が楽だからさ~」
いいって言ってるのに、財布から免許証とわざわざ学生証までテーブルの上に出して見せて来た。チラッと見てみると、顔写真や名前、生年月日も本当らしかった。この身分証が偽造した物じゃなければな。
俺はニッコリ笑って軽く「ありがと♪」と言って返した。
すると、尚輝くんは心配そうに眉を下げて聞いて来た。
「あの、年下は嫌ですか?」
「全然!むしろ俺みたいなおっさんでいいの?って感じ」
「おっさんだなんて!伊吹さんは素敵なお兄さんですっ。失礼ですが、プロフィールに載ってた年齢って本当ですか?」
「あはは、ありがとー♪うん、ホントだよ。俺が載せてる情報って殆ど真実だよ。俺って頭良くないから嘘書いても話しててバレちゃうからさ~」
「素直な方なんですね♪」
俺の話を聞いてホッとしたように笑顔を見せる尚輝くん。
今時の子にしては真面目そうでしっかりしていて良い子。
第一印象はそんな感じかな?
緊張してるらしいからこの後夜まで一緒に過ごしたらもう少し素が出るだろう。
俺はそんな風に思いながらいつも通り仕事をこなす事にした。
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