【完結】取り柄は顔が良い事だけです

pino

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2章 2回戦目

15.2回目のデート

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 今日は土曜日。そう、20歳の大学生の尚輝くんとの2回目のデートの日だった。
 出勤した11時から20時までフルで予約を入れてくれた太客。こう言う客は大事にしないとだけど、俺は少しだけ迷っていた。
 尚輝くんは金持ちだ。だから20歳とは思えないようなデートをしたり、プレゼントしたりしてくる。
 さすがにロレックスを貰ったのにはビックリよ。
 俺は客から貰ったアクセサリーとかはあえて身に付けないようにしている。理由は、好みじゃなかったり、服装と合わなかったりってのが大半だけど、もし間違えて他の人から貰った物とかだった場合、印象が悪くなるからだ。
 可愛いくこの前はプレゼントありがとう♡なんて言っといて見せた指輪が全く違う物だったら最悪だろ?
 だから俺はその自分ルールはずっと守ってやって来た。
 
 てか俺がロレックスとか付けるか?
 そりゃかっこいいし、付けてみたいとは思うよ?
 でも、客から貰った物だし自分で買った訳じゃないから今回も付けずにデートに来たんだ。

 約束の待ち合わせ場所である駅近のコンビニの前に、やっぱり尚輝くんはいた。今日の俺は5分前に着くように来たんだ。
 尚輝くんはかなり早く来て待ってるから、あまり早く合流しちゃうと俺が損だからな。

 俺の姿を見付けると、嬉しそうに歩み寄って来る尚輝くん。そして満面の笑みで挨拶をされる。
 今日もキリッとした好青年だ事。


「伊吹さん♪こんにちは!今日もよろしくお願いします」

「待たせちゃってごめんね?よろしくね~♪」


 俺も接客用の笑顔で対応して、当たり障りのないようにする。
 だけどやっぱり気になっちゃうよな。
 だって、尚輝くんはゲイであって、俺の事をそう言う目で見てるんだもんな。

 女からそう言う目で見られてるってのは何となく勘で分かるけど、男相手に免疫は無いからイマイチどうしたらいいのか分からない。
 女も男も一緒。店長とミカさんが言ってたけど、どうにも俺はその思考には至らなかった。

 
「今日も尚輝くんがエスコートしてくれるんだよね?」

「はい♪今日は少し遠出になります、疲れたりしたら言って下さいね」

「わーい♪楽しみだなぁ」


 遠出ってどこまで行くのかなー?
 少し不安になりながらも愛想笑いでその場をやり過ごす。
 今日も尚輝くんは俺の時間を買う為にうん十万年って金を既に払ってると思うんだ。
 そう考えれば演技ぐらい出来るさ。

 今までの客もそう考えてやって来たんだ。
 だけど、尚輝くんが年下だからかな?少し気が進まないような気もしていた。

 あー、ダメダメ!一応尚輝くんだって成人してるんだし、情とか湧かせたら逆に俺が飲まれる!
 客とキャスト!これはいつ何時でも忘れずにいなきゃ!


 俺と尚輝くんは電車に乗ってしばらく移動する。
 どんどん離れる街、この路線、方向でこの先にあるデートスポットと言えば遊園地か水族館か。
 若い女の子が行きたがるから何度かは客を連れてった事はあるけど、どっちも目的が決まってるから楽っちゃ楽。ただアミューズ施設を回って楽しむだけで時間は過ぎて行くからな。
 少し遠いから帰りの時間さえ気を付ければ俺にとっては楽なデートコースだ。


「ねぇ、尚輝くんってサークルとかやってんの?」

「いえ、特には」

「ふーん、じゃ学校以外で普段は何してんの?」

「勉強ですかね~、本を読んだりもします」


 真面目かっ!って、尚輝くんは見た目からして真面目だけどっ!
 髪だって今まで色抜いたり染めりした事ないだろってぐらい綺麗な黒髪だし、服装もちょっと大人っぽい大学生って感じ。
 ちょっと話題作りにと思って聞いたんだけど、俺本とか読まないから正直興味ない。


「友達と遊んだりしないの?大学生だし飲み会とかあるんじゃない?」

「俺は参加しませんね。お酒は苦手なので」

「あ、飲まないんだ」

「尚輝さんは飲まれるんですか?」

「好きー♡強くはないけど、ビールとか好き」

「ビールがお好きなんですね!意外です」

「良く言われる。俺、安い居酒屋とかで飲むのが好きなんだよね。何でか驚かれるからあんま言わないけど~」

「教えてくれてありがとうございます!今日プランに無かったので取り入れてみます!」

「あはは、無理しなくていいから。で、これは遊園地に向かってるのかな?水族館かな?」

「水族館です♪伊吹さんは好きですか?」

「好きだよー♪プカプカ泳いでる魚見てると癒されるよねー」


 別に普通だった。だけど、あまりにも尚輝くんが楽しそうに話してるもんだから合わせたよ。
 なんかさ、尚輝くんって一生懸命俺に好かれようとしてるのがよーく分かるんだよね。
 大袈裟に言うと、ボスの機嫌を取る手下みたいな。
 居酒屋が好きって話したのは素だった。
 少しだけ、尚輝くんには素でいても平気な気がしたんだ。


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