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4章 まさかの目覚め!?
63.気の合う友達だから
しおりを挟むタイガーの住むアパートはワンルームだった。入って右手にトイレ、左手に洗面所と風呂があり、入った突き当たりのドアがもう部屋で、キッチンと一緒の空間になっていた。
学生なら十分だと思う。だけど、タイガーの部屋はテレビ、テーブルの他にいろんな物で溢れ返っていた。敷きっぱなしの布団にあちらこちらに落ちている洋服達。乱雑に積み重なる本達は学校には関係無い物だろう。
男の一人暮らしだからとかそう言う問題じゃねぇ。男でも俺みたいに綺麗にしてる奴はいるし、掃除ぐらいするだろ。
俺はタイガーの部屋だからとかじゃなく、生理的に部屋に入る事が出来なかった。
「汚ねぇなぁ!こんな部屋に良く俺を入れようと思ったな!」
「そう?これ綺麗な方よ。昨日ゴミ捨てしたばっかだから」
「まだ捨てきれてねぇだろ!落ちてるのほとんどゴミだろうが!」
「そうでもねぇよ。ほら、これとかまだ使える♪あはは!これ友達とふざけて買ったんだけどさ~、マジあん時は面白かったな~!」
タイガーは落ちてた鼻メガネを付けて一人でゲラゲラ笑っていた。
どうでもいいからスルーする事にした。
「おいタイガー、尚輝くんと何を話したんだ?」
「え?ナオキング?あー、まぁいろいろとね~」
「ナオキング……随分仲良いみたいだな」
「初めはペンギンがきっかけだったんだ。伊吹と同じペンギン付けてる奴が前を歩いてたから声掛けたんだ」
俺のキーケースに付いてるペンギンのキーホルダーか。確かに尚輝くんもいつも鞄に付けてるって言ってたもんな。まさか二人が同じ大学だったなんてな。
立ったままタイガーの話を聞いていた。
「俺も伊吹とお揃い欲しかったから探してたんだけど、なかなか見つからなくてよ~。そんで、同じの持ってる奴ならどこで手に入れたのか教えてくれるかもーってさ。水族館って言ってたな」
「……それで?尚輝くんは俺の事なんて?」
「ナオキングとは良く恋バナしてたんだけどさ、お互いゲイで、片想い中って言う共通点があって。そんで月曜日にナオキングに会った時に何か暗い顔しててさ~。どうしたんだって聞いたら教えてくれたんだよ。伊吹の事を」
「何て言ってたんだ?」
「すげぇ言いにくそうだったけど、素直に教えてくれたよ。自分も高級デートクラブの会員で、伊吹と会ってるってな。いきなりだったから頭真っ白になったけど、すぐに理解したわ。あいつの話に出てくる好きな奴って確かに伊吹だったなぁって」
タイガーは怒ってる訳じゃないのか、特にうるさくなる訳でもなく、いつものように普通に話している。
きっと尚輝くんなりに悩んだんだと思うんだ。悩んだ結果、大切な友達であるタイガーに隠し続ける事が出来なかったんだ。
真面目な性格の尚輝くんらしいな。
「で、お前はそれを聞いて何て言ったんだ?」
「正直、イラッとした。だけど、ナオキングは本当に良い奴だから、俺は友達を続ける事にしたよ」
「へー、お前にしては大人な判断だな」
「だろー?なんつーか、ナオキングと一緒に恋バナしてるのが楽しいからさぁ~♪俺の話を真面目に聞いてくれる事が嬉しくてよ~♪」
それじゃあ尚輝くんと仲が悪くなった訳じゃないんだな。それを聞いてホッとしていた。
「あ、話してたらナオキングからメッセージ来たー。今日は学校来ないの?だって~。最近じゃ一緒にランチしてるから今日とか寂しかったんじゃん?」
スマホをいじりながら報告してくるタイガー。
尚輝くんからそんなメッセージが来るとか羨ましいんだけど。
ゲッ、俺ってばタイガーに嫉妬してどうすんだよ。
「そんじゃ行ってやれよ。てかこんな時間まで寝てるとか遊び過ぎだろ」
「遊んでねぇよ。バイトだったんだって~」
「は?焼肉屋がそんな遅くまでやってるかよ」
「そっちじゃないない。コンビニの方~」
「あ!?お前バイト何個やってんだよ!」
「焼肉屋の後にコンビニの深夜始めた~。ちなみに今回入った給料は前やってたクラブの受付な」
「体大丈夫なの?そんなんで昼間寝てるとか学校どうするんだよ」
「伊吹の為だから余裕~♡いっぱい稼いで俺も伊吹を独占するんだ~♡」
「そうかよ、程々に頑張れよ。そんじゃそろそろ金返してくんね?もう帰るわ」
尚輝くんとの事も聞いたしもうこんなゴミ屋敷に用は無い。
早く帰って自分の部屋の掃除でもしよう。
俺が部屋の入口に立ったまま手を出して言うと、タイガーは鼻メガネをポイっと捨てて、敷きっぱなしの布団の下から長方形の封筒を取り出した。
うわ、そんなとこに金隠してるのかよっ!
友達とか来た時に盗まれても知らねぇぞ。
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