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1章 写真ばら撒き事件
※おはようございます
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俺は朝から倉持を連れて生徒会室に来ていた。
倉持の件で生徒会長とは連絡先を交換していたから、朝起きてすぐに倉持の事を話したら朝一で二人で生徒会室へ来るようにって言われたんだ。
それにしても倉持が学校に来てくれて良かったぜー。来てくれなかったら生徒会長に引っ張って連れて来いとか言われそうだったもんなぁ。
中には生徒会長が一人だけだった。
「おはようございます」
「ああおはよう。君が倉持か」
「は、はい……倉持瑛二です……」
「うむ。大体の話は早川から聞いているが、改めて聞くが、屋上から写真をばら撒いたのは倉持、お前で間違いないな?」
「……はい。俺がやりました。ごめんなさいっ」
「生徒会長、この通り倉持はとても反省してます」
「そのようだが、犯した罪は消えない。それを背負って今後どう振る舞うかが大事だ」
「はい。どんな罰でも受けます。だから、秋山くんを助けて下さい!」
「それとこれとは話が別だ。あいつの事はちゃんと考えている。今はお前の話だ。今回の件、お前単独でやった事か?」
「いえ、命令されてやりました」
「ほう、誰に?」
「…………」
ずっと生徒会長の威圧的な質問攻めにあってた倉持はここで不安そうに俺を見て来た。
「大丈夫だ倉持。全部話しな」
「うん……二年生の一条さんに命令されてやりました……」
「……そうか」
この反応だと、やっぱり生徒会長は予想していたんだ。生徒会長は初めて倉持から視線を逸らして窓の外を見た。その表情は無表情にも見えてどこか寂しそうにも見えた。
「倉持、お前の事は私から教頭に話そう。秋山の件で今日行こうと思っていたんだ。悪い事をして呼び出される覚悟でいろ」
「はいっ」
「生徒会長、これ預かってくれません?一条さんが倉持に口止めする為にあげたカメラです。これで二人の跡を付けて隠し撮りするようにも命じたんです。データは全部一条さんが持ってるそうです」
俺が持って来た紙袋を渡すと、生徒会長は何も言わずに受け取った。
ふぅ、これで肩の荷が降りたぜ~。
「早川、ご苦労だったな。良くやってくれた」
「いえ、貴哉の為なんで」
「そうか。もう行っていいぞ。倉持お前も」
「はい。失礼しました」
「失礼しました」
俺と倉持はペコっと頭を下げて自分達の教室へ向かった。
この事を知ってるのは俺と倉持と生徒会長だけだから周りを歩く人達は誰も知らない。
だから俺達の事なんか気にも止めていないけど、倉持はどこか不安そうな顔をしていた。
「倉持、良く言ったな。後は生徒会長に任せよう」
「早川くん、何から何までありがとう……ごめんね、俺のせいで」
「気にすんなって。俺昨日貴哉からご褒美貰ったし~♪」
「そうなの?何を貰ったの?」
「ヒミツ♪」
全校が知ってるぐらいだし、倉持も俺と貴哉の事は知ってるだろうけど、何となく秘密にしたかった。
頭にハテナを浮かべてる倉持はさっきまでとは違って晴れた顔をしているように見えた。
ずっと一人で抱え込んでて辛かっただろうな。
やっと誰かに打ち明けられたから少し気持ちが紛れたんだろうな。
でも本当に辛いのはこれからだろうな。
噂ってのはひでぇもんで、悪いもんなら尚更あっという間に広がるからな。
あの写真ばら撒き事件の犯人だなんておいしいネタ、噂にならない訳がない。
倉持がそれに耐えられるかだな。
俺も貴哉の事があるし付きっきりで見てられる訳じゃねぇから本人にしっかりしてもらわねぇと。
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