【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ8th season

pino

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4章 鈴木時光の心を掴め!

丸橋ぃ!お前かっけぇぞ!

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 ヤバいヤバいヤバい!
 桃山に抱き付かれてんの見られた!
 しかも厨二病の丸橋我男に!!

 俺は慌てて桃山を引き剥がそうとするけど、相変わらずの腕力で逃してはもらえなかった。


「桃山!マジで離れろ!人見てるから!」

「んだよ丸橋じゃねぇか。何見てんだよ?」


 俺の声に桃山がこちらを見ている丸橋をギロリと睨んで威嚇する。
 丸橋は狼に睨まれた兎のように体をビクッとさせてその場で固まっていた。
 ああダメだ。丸橋じゃ桃山には敵わねぇよ。


「丸橋っ!この事は誰にもっ……」

「秋山を離せ!!」

「お?」


 桃山にビビって固まってた丸橋は、キッと睨み付けながら俺達の方へ向かって来た。そして桃山の肩を掴んで俺から引き離そうとしていた。
 こいつマジか!やるじゃん!


「うぜぇ~、テメェ如きが触ってんじゃねぇよ」

「秋山っ!今助けるからな!」

「丸橋ぃ!お前かっけぇぞ!」

「はい?貴哉ってば目ぇ腐ってんじゃん?こいつがかっこいいだぁ?」

「ああ!丸橋は闇属性なんだぞ!おまけに風属性もかじってんだ!凄ぇんだからな!」

「へー、そんじゃ俺は全属性オールマイティーだ!」


 桃山はニヤリと笑って俺を離したと思ったらトンと押した。よろけた俺は丸橋にぶつかって、肩を支えられた。
 た、助かった?


「大丈夫か?」

「なんとか……あ、さっきのは誰にも……」

「丸橋、お前なんかが貴哉に相手されると思ってんのか?」

「っ……」


 桃山は腕を組んで丸橋を睨みながら言った。また訳の分からない事を!丸橋がまた黙っちゃったじゃねぇか!


「貴哉は面食いだぞ?今彼は勿論、元彼はいーくん。そんで俺の顔がタイプなんだ」

「おい!タイプとは言ってねぇぞ!」

「お前みたいなモブ顔がどの面下げて貴哉に近付いてんだって話」

「桃山さ、何か勘違いしてるみてぇだけど、俺と丸橋は友達だぞ。確かに丸橋はモブ顔だけど、別に顔は関係ないだろ。なあ?丸橋?」

「…………」


 あれれぇ?丸橋ってば何でうんって言わないの?
 何で気まずそうな顔して目逸らしてんの?

 
「お前は本当に鈍いな。丸橋、お前も貴哉と抱き合いたいと思ってんだろ?さっき俺の事羨ましいって見てたんだろ?」

「…………」

「丸橋、否定しろよ……」

「思ったよ」

「おい……」 

「羨ましいって思ったさ!俺も秋山とイチャイチャしてぇってな!」

「認めたー!!」


 丸橋は顔を真っ赤にさせて廊下で大きな声でそう言った。これに桃山は楽しそうにケラケラ笑っている。
 いや、俺どうしたらいいの?面倒くせぇのが一人増えただけじゃん。

 ここで、丸橋の大きな声を聞いて視聴覚室の中から侑士が出て来た。
 何事かと言う顔をしていたけど、丸橋がいるのに驚いていた。


「騒がしいと思ったら、丸橋までこんな所で何をしてるんだ?」

「前田!!」

「侑士~!助けてくれよぉ!こいつら面倒くさ過ぎんだ!」

「桃山!また貴哉くんを困らせていたのか!」


 ここで侑士は天敵である桃山を睨んだ。
 うわー、この二人も相性悪いんだった!
 これじゃ桃山の分が悪くなって余計に面倒くさくなりそうだ!

 俺はもういっその事逃げて帰ってしまおうかと考え始めた時、丸橋が侑士に向かって頭を下げた。
 あ、廊下で叫んだ事を謝る気か?


「前田!頼む!俺にも力を貸してくれ!」

「お?」

「あ?」


 突然の丸橋のセリフに、俺含め丸橋以外の三人は一瞬固まった。


「……力を貸してって、どう言う事だ?」


 ただ一人、侑士だけは丸橋の言葉をちゃんと聞こうとしていた。
 それに対して丸橋は顔を上げて必死な顔で頼み込んでいた。


「俺が独断で課題の内容を決めて後輩達を不安にさせちゃったんだ……そんな俺に付いて来てくれる人は一人もいなくて……でも、先輩として俺のチームの後輩達もちゃんと課題に参加させてあげたいんだ。でも、俺にはもうどうしたらいいのか分からなくて……」


 ここで丸橋はチラッと俺を見て来た。
 もしかして丸橋がここにいた理由って、それを頼みに来たのか?
 確かに俺のクラスにいる丸橋チームのモブ共はもう諦めてる感じだったけど、丸橋は諦めてなかったのか。


「そっか。丸橋の気持ちは分かったよ。だけど期限は明日の朝までだろ?さすがに生徒会にも限界があるんだ。貴哉くん達の方もやっと完成したところで、それを明日完璧にこなせるかって所なんだ。丸橋は丸橋で出来る限りの事をやって少しでも成果を上げる事が最善だと思うよ」


 侑士は申し訳ないと言った感じでそう提案した。そりゃそうだわな。ただでさえ忙しい生徒会が俺らの授業の課題に付き合ってくれるだけでも奇跡なのにさ。
 それを聞いた丸橋は唇を噛んで何かを我慢しているような感じだった。

 仕方ねぇよ。こればっかりは俺も侑士の肩を持つしかねぇ。丸橋もせめてもう少し早く気付いていれば良かったのにな。


「丸橋、明日の朝時間を作るから、チームのみんなを一緒に説得しよう。どんな結果になっても努力すれば報われるから」

「前田……ありがとう……」


 侑士は優しいな。生徒を想う気持ちは神凪と変わらないんだろうけど、やり方が全然違うよな。
 侑士の方が分かりやすい感じ。

 侑士にお礼を言うけど、丸橋はすっかり元気を失くしていた。

 んー、なんかな~。
 丸橋って悪い奴じゃないんだよな。こうやって一人で生徒会長様に直談判にも来てるし、モブ顔だけど、話してて面白ぇし。

 俺は桃山の隣に移動してコソッと耳打ちをした。


「ようリーダー」

「んー?」

「お前丸橋と勝負してみねぇ?」

「何の?」

「歌自慢♪」

「ぶはっ!何それ?ウケるんだけど」


 桃山の反応に、侑士と丸橋も俺の方を見て来た。

 俺は丸橋にもチャンスをやりたかった。
 だけど、侑士にも出来ない事は俺にも出来ねぇ。
 だから俺なりに何とかならないか考えてみたんだ。
 上手く桃山をけしかけりゃ引っ掛かってくれて桃山もやる気を出すだろう。
 そして丸橋も課題に参加出来るようになるかも?

 俺は一か八かの作戦を提案してみる事にした。


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