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4章 鈴木時光の心を掴め!
侑士達を納得させる為だ!
しおりを挟む場所を視聴覚室へ戻して、俺はみんなの前に立って思い付いた作戦を説明した。
もうほぼ完成している俺達の課題をちと変える事になるから反対されるかもだけど、桃山のやる気アップと、丸橋のメンツ、そして俺のクラスのモブ共にとっても何とかなるかもしれない作戦だ。
上手くいきゃ盛り上がって俺らの課題の評価にも良い意味で響くかもだしな。
「まず先に俺らの発表を始める。動画を流して俺とトモがメッセージを喋って、そんで俺らのリーダー桃山の番。ここでいつもの桃山っぷりを炸裂させるんだ」
「いつもの俺ぇ?」
「貴哉くん、それはマズいって。桃山に暴れろって言ってるようなもんだろ?鈴木先生の怒りを買いかねないよ」
「まぁ最後まで聞いてくれ。桃山が暴れ出そうとした時に丸橋チームが登場するんだ。まだ俺らのが終わってないけど、それでいい。丸橋達は歌う予定だったらしいから、歌で桃山を大人しくさせるんだ」
「歌なんかで俺が大人しくなると思ってんのか?ましてや丸橋なんかの歌でよぉ」
「だから~、桃山も反撃すんの♪歌でな♪お前上手いから絶対ウケるって♪」
「やだ。何で鈴木の前で歌わなきゃなんねぇんだ」
桃山は嫌がると思ったよ。だから餌を用意しようと思う。桃山がやる気を出してくれるような餌をな。
これは自分の身を犠牲にするけど、こうなったら仕方ねぇ。
それは後で桃山と二人の時に提案するとして、今は何とか侑士達を説得させなきゃだ。
「桃山、今日は一緒に帰ろうぜ。そこでゆっくり話そう」
「何企んでんだぁ?まぁいいけどよ。でもやるとは言ってないからな」
「貴哉くん、それは面白い話だとは思うよ。だけど、上手くいくかな?歌で撃退するにはそれなりの歌唱力が必要だと思うんだ。演出が込んでるから尚更ね。グッと心を引くような歌が歌えないと」
「おい丸橋、お前上手いんだよな?」
「えっ歌は好きだけど……」
「ちょっと歌ってみてくんね?」
「はぁ!?今!?」
「侑士達を納得させる為だ!漢見せやがれ!ほら、今なら我男になっていいから!」
怖気付く丸橋をけしかけて、俺の隣に立たせる。
ずっと緊張したような顔をしていたけど、俺の「我男」ってワードにスイッチが入ったみてぇだ。
俺を見ていた目が自信の無さそうな目からキリッとした物に変わり、口の端を上げてニヤリと笑った。おっ我男降臨か♪
「我を呼び起こすとは貴様は本当に面白い男だな。いいだろう、我の真の力見せてやろう」
「いいぞ我男~♪」
「我の名はダークネスキング!皆の者我の美声に酔いしれるがいい!」
丸橋の厨二病っぷりに騒めく視聴覚室。
ノリノリになって来たとこでみんなに歌を披露する事になったけど、やべぇぐらい音痴とかだったらどうしよ?
俺の計画は丸潰れだけど、まぁそん時はゴリ押せばいいか。
俺はそのまま丸橋の横に立って皆んなの顔を見ていた。
コソコソ隣の奴と話してる奴や、引いた目で見てる奴、桃山や侑士なんかは呆れていた。
そしてそんなアンチばかりの中、丸橋は大きく息を吸って堂々と歌い始めた……
「~♪~♪」
「!?」
「えっ!?」
「へー」
「みんな静かに!」
丸橋が歌い始めた途端にこの場にいた誰もが驚き狼狽えた。この狭くない視聴覚に響き渡り、侑士が止めるのも分かるぐらいの綺麗な歌声だった。
凄い声量だな。まさかマジで上手かったなんて俺もビックリだわ。
丸橋が歌ってるのは俺でも聞いた事がある、「翼をください」だった。
闇属性が綺麗な声でそんな歌うのかよ。
「~♪……はぁ、ど、どうだ!?我の歌声は!?」
歌い切った後、期待の目で見てくる丸橋。
俺はすぐに駆け寄って褒めてやった。
「凄ぇよダークネス!お前、俺が出会った中で一番歌上手いわ!」
「本当か!?あ……」
俺に褒められて嬉しそうに笑った後、丸橋は不安そうな表情を浮かべて生徒会や広報部達の様子を伺っていた。
そしてどこからか拍手の音が聞こえて来た。侑士だった。
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