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4章 鈴木時光の心を掴め!
味方が出来た分もう好き勝手は出来ねぇぞ?
しおりを挟む丸橋の驚くべき歌声に、一番先に反応したのはあの侑士だった。とても安らかな顔で笑っていて、一人で拍手を挙げていた。
「素晴らしいね!まさか君にこんな特技があったなんて……おっと失礼!丸橋、君は一人で俺へ協力を頼みに来た所を見ると根性はあるみたいだな。さっき貴哉くんが提案していた案も含めてプランを変えてみよう♪それと、今回の発表を遅らせてもらえるかも交渉してみるよ。これはもうF組のクラスだけで収めるには勿体無い気もするんだ。より多くの先生方や生徒達にも見てもらいたいな。それでもいいかな?」
スラスラと機嫌良く喋る侑士はとてもやる気に満ち溢れていた。前向きな事には積極的だからか、今回の丸橋の姿勢を見て感動してくれたみたいだな。悪にはとことん厳しいけど、善にはとことん優しいのが侑士だ。
なにはともあれ丸橋もなんとかなりそうだな。
侑士の言葉に周りのみんなも嫌な顔をする奴はいなかった。少し笑顔でみんなの前で歌い切った丸橋の事を見ながらパチパチと拍手を送っていた。
それに対して丸橋は、棒立ちのまま固まっていた。でも隣にいた俺には分かったぜ。少し震えてたんだ。
「良かったな丸橋♪侑士がいりゃ百万力だぜ♪」
「……あ、ごめ……こんなの初めてで……俺、認めてもらえたのか?」
俺が声を掛けるとハッとした顔をして俺を見た。
いつも白い目で見られて来たからかまだ不安なんだろうな。
それは俺にも分かる事だった。周りとは違うからって意味で避けられたり陰口叩かれたりして来た奴にしか分からない気持ちだ。
でもさ、俺知ってるぜ?もし認めてもらえたのが本当だったらさ、めちゃくちゃ嬉しい事だよな♪
「当たり前だろ~♪ここにいる奴らは全員お前の味方だよ。だけど、味方が出来た分もう好き勝手は出来ねぇぞ?最後まで責任持ってやり遂げろよ」
「うん!ありがとう秋山!あ、前田!俺の意見を受け入れてくれてありがとう!俺、もう一度同じチームの子達を説得してみる!」
「いや、いいんだよ。今回声を掛けてくれてありがとう。頼りにしてもらえるのは嬉しいんだけど、どうにも俺だけだと困っている生徒を助けるのにも限界があって」
「侑士は忙しいもんな~。よし、丸橋はやれる事はやろうぜ♪一緒に頑張ろうな♪」
「ありがとうっ本当にありがとうっ」
俺と侑士の言葉に丸橋は今にも泣きそうな顔して何度もお礼を言って来た。
周りも笑顔の中、ただ一人つまらなそうな顔をしている男を俺は見逃さなかった。
桃山だ。
文句こそ言わないけど、ずっと机に肘をついて今にも暴れ出しそうな雰囲気を醸し出していた。
後は桃山か。
空には理由を話して今日は桃山と二人にしてもらうか。
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