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5章
うるせぇ裏切り者が。さっさと行けや
しおりを挟む俺はすこぶる機嫌が悪かった。
なぜならば二学期最後の授業で、担任から大量の宿題を出されたからだ。俺だけに特別なやつ!
それと、今日はクリスマスイブで空からは前からしつこく一緒にケーキ食べようって言われてたのに、昼休みに突然「兄貴が店が回らないから学校終わったら手伝えって~!断ったんだけど、小遣い弾むらしくて~」とか言われたんだ。
らしくて~じゃねぇよ!確かに今日とかどの店も混雑するだろうよ!小遣いに釣られてんじゃねぇよ!
そして、急過ぎて他に一緒にケーキ食ってくれる奴探しても誰も捕まらないって言う悲劇。
そりゃそうだろうよ!当日に誘ったってみんな今日は予定あるだろうよ!
しかも母ちゃんは友達と昼間から出掛けるとか言ってるし、父ちゃんはいつも通り遅くまで仕事だし、帰っても一人じゃん!
はぁ、もういいや。帰りにケーキ買って帰って一人で寂しく食おう。
「貴哉!終わったら絶対行くから!少しでも一緒に過ごそう!」
「うるせぇ裏切り者が。さっさと行けや」
兄貴の手伝いがある空は猛ダッシュでチャラ男号走らせて帰って行った。
せっかくのイブなのにって気持ちがあって素直に送り出せなかったけど、兄貴の手伝いだし仕方ねぇかなって思う。だってあいつが学校通えてんのって雪兄が稼いでくれてるからだろ?だからあいつも断れなかったんだと思うしな。
だから俺もそこまで怒りとかは無かった。ただ寂しいなと思うだけ。
「せっかくだからケーキ屋のが良かったけど、店入るの面倒くせぇな」
一人でボソッと言いながら途中にあったケーキ屋を通り過ぎる。最悪ケーキは明日でもいいしな。
そのまま家まで帰るけど、母ちゃんがいないからやたら静かに感じた。
暗い部屋に電気を点けると誰もいない風景が、今の俺の状況をより煽る。そしてテーブルの上に置いてある母ちゃんからのメモと、千円札を手に取って見る。「今日は遅くなる。夕飯用意出来ないからこれで空と美味しい物でも食べな」って二人分で千円!?いやいや、母ちゃんてば男子高校生舐めてんだろ?こんなの絶対足りねぇじゃん。美味しい物とか言ったら一人分も怪しいぞ。
まぁ空いねぇし、俺だけだからいいけど、結局買いに行かなきゃじゃん!
だったらどっか寄って買ってくりゃ良かったわ!
俺はバタバタと階段を駆け上がり、腹が減ってたから急いで着替えて近くのコンビニへ走った。
コンビニの中は結構混んでいて、カップルが多く感じた。へーへー、これからお楽しみですか!俺ですか?ええ、どうせ一人ですよ!いいですねー!皆さんは楽しそうで!
あー!本当今日はついてねぇなぁ!
俺は一人でそんな事を考える事が虚しくなって、コンビニのケーキが置いてある前まで早足で向かう。が、なんと!ここでも俺に悲劇が襲う!
「くそー、チーズケーキ売り切れなのかよ!それならまだチョコの方がマシか~!?」
思わず声に出して言っちまうぐらいショックだった。気分は完全にチーズケーキだった。だけど置いてあったのは大量のイチゴのショートケーキと、少量のチョコレートケーキ。後は小洒落た少し高めのケーキだった。
「貴哉、一人なのか?」
「わ!……って楓じゃん♪」
俺が悩んでると、近付いて来た背の高い男に声を掛けられた。ケーキに集中し過ぎて驚いて振り向くとそこには何と、近所に住む同じ中学だった親友の楓がいた!
相変わらず可愛いピンク色の髪してんな~。何かちょっと色薄くなった?すっかりお洒落を楽しんでるな。
「一人だよ。お前こそ一人なのか?」
「うん。俺も一人。さっき恋と別れて来たんだ」
「マジ!?別れられたのか!?」
「まぁ、意外と綺麗に終われたかな」
別れただと?今の俺にとって救いになるかもしれないセリフに思わず食い付いてしまった。
友達の不幸を喜ぶのは良くねぇけど、ぼっちの俺に仲間が出来るのかと内心喜んでいる。
楓からは恋人とうまく行ってない事は聞いていたけど、まさかイブの日に別れるとはな~。
てか万年モテ期の楓が今日と言う日にぼっちだと!?
「なぁ、さすがの貴哉でも今日がイブなの知ってるよな?桐原さんは?」
あれ?俺、楓に言ってなかったっけ?
今は誰とも付き合ってないって。
俺が伊織は今は日本にいない事を伝えると、驚いていた。
「じゃあ早川は?」
「空ぁ?あいつは今日は兄貴の店手伝ってるよ。終わったら会いたがってたから連絡来ると思うけど、寒いし面倒かったらそのまま会わないかもな~」
「はは、お前らしいな。それじゃそれまでフリーなんだ?」
「まぁ、母ちゃんは友達と出掛けたし、父ちゃんは仕事だからフリーだけど」
「じゃあ俺と過ごさないか?家に酒あるから久しぶりに一緒に飲もうぜ」
「酒あるのかー!?行くー♪」
これはラッキーだ♪どん底だと思っていたクリスマスイブに、まさかの大親友の楓と一緒に過ごせる事が出来るなんて♪
良い事がなさ過ぎてブルーだった気分が一気に明るくなった。
10
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