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6章
俺らバカップルじゃねぇか!
しおりを挟む電車で移動中に、空が話してくれた。
どうやら空からのクリスマスプレゼントは何個かあるらしく、荷物になるから今は持って来ていないらしい。
「一個は寝る事が好きな貴哉に合いそうな枕。もう一個は安眠効果があるアロマセット。あと、オソロのパジャマも買っちゃった~♡」
「待て待て。枕まではいい。ありがたく使わせてもらう。アロマセットって何だ?それ俺に必要な物か?パジャマもいらなくね?」
「アロマセットはアロマセットだよ。ストーンとオイルの二種類買ってみたんだけど、ストーンは置いておくだけだし、オイルは塗るだけだから楽だろ?パジャマはこれから泊まりが増えるから必要かと思って~♡」
まるで女子のように楽しそうにはしゃいでる空を見て俺はあまり否定的な事を言うのはよそうとニッコリ笑顔を作っておいた。
「……ありがとう。大事に使わせてもらうわ」
「使って使って~♪あー、イルミ楽しみだな~♪」
終始ご満悦な空がイルミネーションの事を話し出して俺は伊織と見たイルミネーションを思い出す。
ついこないだの出来事なのに、何でかとても懐かしく感じた。
ダメだ!今は空とデート中だ!伊織の事は思い出すな!
頭を振って忘れようとするけど、なかなか思うようにいかなかった。それどころか今こうして空と楽しくデートしてる事に罪悪感さえ感じてしまってる。
空に気付かれる前に忘れなきゃ。また空を傷付けちまうよ。
「あ、見えて来た!ほら見てよ貴哉~、人いっぱい~」
「…………」
電車の中から見えるイルミネーションに群がる人々。確かに色とりどりに輝いていて普段は見れない光景だった。
同じイルミネーションなのに、伊織と見た時とは違うように見えた。
そりゃこっちの方が駅のすぐ近くだし、クリスマス当日ってのもあるから盛り上がってるのは分かる。だけど、伊織と見たイルミネーションの方が綺麗に感じた。
「空ごめん……俺……」
「……貴哉」
素直に喜べなくて、嘘でも綺麗だと言えなくて、空に本当の事を打ち明けようと思っていた。
俺の様子を見て空は窓から視線を俺に移してギュッと手を握って来た。
空の温もりが余計に俺の心を苦しめた。
「何も言わないでくれないか?なんとなく貴哉が話そうとしてる事分かるんだ」
「……何で?」
「野崎くんとした事以外にも俺に言えない事があるんだろ?本当になんとなくだけどね、桐原さんが貴哉に何もせずに長期間離れる事は無いと思うし、桃さんが急に貴哉にあんな事するのも変だな~ってそれぐらい。全く違うかも知れないけど、貴哉は何も言わなくていいよ。もし貴哉が話したいなら聞くけどね」
「お前、どうしてそんな強い気持ちでいられるんだ?前だったらそんな余裕なかったじゃん」
「今も余裕ないけどね。本当に今日の桃さんには頭来たよ!でもそうだな~、強いて言うなら貴哉が今俺だけを愛してくれてるから強くいられるのかも♡」
ニコッと笑って俺の手を握ったまま立ち上がる空。そして電車は駅に到着して開いた扉から外へ出る。
たくさんの人々が行き交う中俺と空は手を繋いで人の波に紛れて歩いた。先ほど見えたイルミネーション会場を目指して。
空が思っていた以上に強くなっていた事、俺を責めずにこうして手を握っていてくれてる事、いつも傷付けてばかりの俺を受け入れてくれる事、空の全てが暖かくて俺はずっとこの手を離したくないと思った。
「俺ね、貴哉とクリスマスを過ごせて幸せ♡今年は無理かなって思ってたからさ~」
「俺も、空と過ごせて……」
「貴哉……」
「空!ごめん!俺本当にお前の事を傷付けてばかりだ!でもこれからは傷付けないようにするから!信じられねぇと思うけど、俺はお前をもっと幸せにする!約束する!」
「うん♡期待してる♡」
俺があげた指輪を見せてニッコリ笑う空。
俺は繋いだ手を引き寄せて、昼間桃山が俺にしたみたいに空にキスをする。
当然周りにいる奴らが見て来る。俺はそういうのが嫌いだから外ではこういうのしたくなかったけど、今は違う。
空となら誰に見られてもいい。どんな風に思われようが、言われようが、空は俺ので、空を愛してるんだって言ってやる。
顔を離すと驚いた顔の空がいて、俺はニッと笑ってやった。
「空、愛してる♡ずっと俺のものでいてくれ♡そんでいつか結婚しようぜ♡」
「うわぁぁぁ!貴哉がプ、プロポーズ!?信じられないっ」
「あはは!お前変な顔~!それとそこは喜んで♡って返事するとこだろ~!」
「だって、あの貴哉がだよ!?もしかして同性だと結婚出来ないの知らない!?」
「さすがの俺でもそれぐらい知ってるわアホ!お前とは結婚したいぐらいずっと一緒にいてぇんだクソが!」
「あのさー!良い事言ってるんだからアホとかクソとか言うのやめろよ!台無しじゃんっ!」
「ふん、これが俺だし!てかそんな俺が~?」
「大好き~♡えへへ~♡」
「うわっはず!俺らバカップルじゃねぇか!」
やっぱり空とはいつでもどこでも言い合いになるんだな。でもそれがまた心地良いんだよな。
俺の公開プロポーズの返事は貰えてねぇから、後何年かしたらまたリベンジしてみっか♪
そん時は空を泣かしてやろう。
改めて空と見るイルミネーションはそれはそれは綺麗に輝いていた。
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