【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ6th season

pino

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6章

貯めてた金全部なくなった

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 空と待ち合わせしたのは駅前にあるカフェ。俺はカフェに来る前に寄った店で少し時間が掛かったから、空のが先に到着してて席を取っといてくれた。
 着替えて来た空は青いセーターにベージュのロングコート、黒いストレートジーンズに黒い底の低いブーツ姿で、大人っぽくていつもの制服姿とは違って見えた。髪もキチンとセットされていて、前髪をセンター分けにし、サイドを少し跳ねさせていた。かっけー。


「貴哉♪てっきり貴哉の方が先にいると思ったよ。何かあったのか?」

「あ、うん。ちょっとな!空は電車で来たのか?」

「ちょうどいいバスの時間なかったから電車で来たよ。何があったんだ?」

「それは……えっと、とりあえず飲み物買ってくる!」

「……?」


 やべー緊張して来た!
 普通に話せてたかなぁ?変に思われたかなぁ?

 実はここに来る前にとあるアクセサリーショップに寄って来た俺。今日はクリスマスってのもあって空にプレゼントを用意したかったんだ。さっきまた傷付けちまったからそのお詫びも兼ねてだけど、今回用意したプレゼントは前から考えていた事でもある。次に付き合うのは空だと思ってたからそん時に告るのと同時に渡せたらかっこいいかなとか思ってたんだけど、まさかこんなに急になるとはな。
 サプライズってか、こう言うのってやった事ないからどのタイミングで出せばいいのか分かんねぇんだよなぁ。この後飯食うし、ここには長居しないだろうし、じゃあ飯食った後か?それとも雰囲気の良くなる夜まで待つのか?

 飲み物のアイスティーを買って空が待つ席まで戻ると、心配そうな顔で待っていた。ああ、好きだ!


「空ぁ♡お前の事好き過ぎるんだけど♡」

「え!?嬉しいけど、唐突だから素直に喜べねぇよ!」

「普通に喜べよ。あー、喉乾いた」


 緊張したからな。俺はアイスティーをゴクゴク飲んで一旦落ち着いてみる。
 空はまだ心配そうに見てた。
 あ、やっぱ今の俺っておかしいか?うーん、もう渡しちゃおうかなー?その方がこの後も変に緊張しなくて済むしな!よし!決めた!今渡そう!


「空!俺が遅れた理由だけどよ!」

「うん、どうしたんだ?」

「実はこれを買ってました……」


 ショルダーバッグから青い包装紙で綺麗にラッピングされた小さな箱を取り出してテーブルに置いて空に渡す。察したのか空は驚いた顔をしていた。


「嘘!?貴哉が俺に!?」

「もっとかっこよく渡したかったんだけど、ごめん!メリークリスマス!そんでさっきは悪かったな」


 言い訳を添えて謝ると、空は嬉しそうな笑顔を見せてくれた。ここで俺はやっとホッとする事が出来た。
 空はプレゼントを手に取ってパシャっと写メった後、キラキラ笑顔で俺を見て来た。


「開けてもいい!?」

「今ですか!?いいですけどっ!」


 やべー、気に入ってくれるか分からないんだよなぁ~。俺の好みで選んだのもあるから、それにもう二つ不安要素もあるんだよなぁ。
 空はそんな俺の気も知らずにワクワクしながら綺麗に包装を解いて出て来た箱をパカっと開いた。
 そこにはさっき買ったばかりのシルバーリングがキラキラと輝いていた。おー、こうして見てもかっこいいな♪俺が選んだデザインは何も柄の無いシンプルなやつ。でも少し太めで存在感はバッチリだ。


「すげぇ!かっこいい!しかもシルバーじゃんっ、あ、何か彫ってある?」


 さすがお洒落大好き空さんだ。指輪を手に取って内側にある文字を読んでシルバーだとすぐに確認してるとこが空らしいなと思った。俺だったら全然気にせず「かっけーじゃん。サンキュー」で終わってただろうな。
 そして他にも彫ってある事にも気付いてくれた。そう、もう二つの不安要素の一つ!時間が掛かったのはこの刻印作業をしてもらっていたからだ。作業時間も含めて刻印する文字にもすげぇ悩んだんだ。女の店員さんだったから、いろいろアドバイスしてもらって決めた言葉なんだけど……


「……貴哉、これって貴哉が指定したの?」

「ま、まぁな!英語は分からないから店員に聞いて一番しっくり来るのを選んだんだ」


 店員さんに初めて恋人に渡すと伝えていくつか候補を出してもらった中の一つだ。
"Always With You"
"いつもあなたのそばに"らしい。
 他にも愛とか好きとかそう言うのあったけど、今の俺と空にはこれが一番響く気がしたんだ。


「すげぇ嬉しい……俺、泣きそう……」

「ま、待て!まだ泣くな!その、勝手に指輪をプレゼントに選んだ俺が悪いんだけど、サイズが分からなかったんだ」


 そう、もう一つの不安要素は一番大事な指輪のサイズだ。勿論付けてもらうからには薬指が良い。だけど、俺は空の指のサイズを知らない。
 大分細いから伊織と同じって事は無いと思って、結局俺と同じサイズにしちまったんだ。
 空なら俺とあんま変わらねぇだろ?最悪合う指に付けられればいいしな!
 
 空は笑顔のまま指輪を左の薬指に嵌め出した。そんな躊躇もなく嵌めたりして取れなくなったらどーすんだ!?


「見て、ピッタリ♡」

「本当だ!良かった~♡」


 空の綺麗な左手の薬指に輝く指輪を見て俺は心から安心していた。急な思い付きだったからいろいろ準備不足でどうなるかと思ったけど、結果オーライってやつだな。
 俺は残りのアイスティーを一気に飲んで上機嫌になっていた。
 空は嬉しそうにまだ指輪を眺めながら聞いて来た。


「なぁ、これ高かっただろ?」

「俺にしては奮発した。貯めてた金全部なくなった」

「はぁ!?どんなけしたのこれ!」

「あー、実は空と同棲する貯金なんだけどよ、お前と別れてからちまちま使ってたら結構減っててさ、残りのでそれ買った♡」

「嘘だろ……貴哉ってばまったく……」

「また貯めりゃいいだろ?卒業までまだ二年近くあるんだし~」

「今回は嬉しいサプライズだったから気にしないようにするけど!次からは相談してよな!でも、本当にありがとう。大事にする♡」

「おう。そうするわ~」


 ちょっと叱られたけど、喜んで貰えて良かったですっと!
 その後俺と空は遅めの昼飯を食ってから、映画を観る予定だったけど時間の都合で無しになり、そのままイルミネーションを見る為に電車で移動する事にした。

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