【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ6th season

pino

文字の大きさ
115 / 156
7章

分かった。一緒に行こう

しおりを挟む

 俺は空の母ちゃんである陽子さんに、付き合ってる事を話そうと姿勢を正して表情も真顔を意識してみた。いざ母親ってなると雪兄ん時とは違う緊張感があるな。てか雪兄ん時はあんま緊張しなかったか。空が話してたからもう知ってる状態だったし。
 でも陽子さんは俺と空が友達なのも今さっき初めて知ったぐらいだ。息子が男と付き合ってるって知ったらどう思うんかな?俺の母ちゃんは全然気にしてねぇけど、やっぱり男と男ってだけであんま良いようには思われねぇかなぁ?
 いや、そんな事考えるのは辞めよう。
 たとえ陽子さんが反対しても俺は空とこのまま付き合っていくつもりだし、手放すつもりはねぇからな。下手に隠すよりも言っちまった方が楽だわ。


「陽子さん、大事なお話があります」

「いきなり改まっちゃってどうしたのー?」

「実は、俺……空くんと真剣にお付き合いさせてもらってます」

「……お付き合いって、あのお付き合い?」

「そうです。あのお付き合いです」


 陽子さんは指を顎に当てて首を傾げて聞いて来た。


「嘘ー!空と貴哉くんがー?そうなんだぁ~」

「だから同棲ってのは間違えてないんだわ」

「あ、だからさっき私の事俺の母ちゃんも同然って言ってたの?何言ってるんだろうって思ってたけど、そう言う事だったのか~」


 驚いてはいたけど、思ったよりも嫌がられてない感じ?ここで認めてもらえれば俺と空って親も認める公認カップルじゃねぇか♪


「そうなんだよ。俺は空とは結婚したいぐらいなんだ。陽子さんは息子が男と付き合ってるのって嫌か?」

「そうだな~、嫌じゃないかな?ビックリはしたけど、空が幸せならいいんじゃないかな?」

「すげぇ!俺の母ちゃんもだけど、陽子さんもすげぇな!」

「凄いだなんて、あ、ほら私って夜の仕事してるから同性愛者とかの知り合いも多いんだよ。だからそういうのには抵抗はないよ。て言うか、私が空のやる事に口出しなんて出来ないしさ~、あはは~」

「そんな事ねぇだろ。ちゃんと話し合ってわかり合って、そしたらこれからは口出ししてやってよ。ダメな事はダメって教えてやって。そんで良い事は一緒になって喜んでやってよ」

「うん。私も貴哉くんみたいに強く言えるようになるね!」

「はは、すっかり元気だな♪てか空の奴おせぇな。何してんだよ」


 俺はスマホを見るけど空からは何も来てない。
 もう時間も20時になろうとしていた。


「面会時間過ぎてるからそろそろ来ないと会えなくなっちゃうよ。空はどこに行ったの?」

「えっ!面会時間って何?ここ制限時間あんの?」

「どこの病院にもあるものだよ?ここは19時30分まで。そろそろ貴哉くんも帰らないと声掛けられるよきっと」

「マジかよっ!あいつ何してんだ!」

「貴哉くん、今日はありがとうね。空の事よろしくね」

「えっと、こちらこそよろしくお願いしますっ!あそだ!空は自分の名前気に入ってるって言ってたんだ。理由は母さんが付けてくれた名前だからって言ってた!じゃあまたな~」

「……ふふ♪またね~」


 どうりで人気が無い訳だ!
 俺は陽子さんに挨拶をしてから、空を呼びに向かう。あいつせっかく母ちゃんに会いに来たのに会わずに帰る気かよ。
 そんなに父ちゃんと積もる話でもあったのか?
 空と父ちゃんが話してる待合室まで行くと、二人はまだそこにいて話していた。
 俺が姿を現すと、父ちゃんの方が気付いて立ち上がっていた。


「そろそろ俺は行くよ。空、元気でな」

「うん……」


 空の父ちゃんは苦笑いを浮かべて俺に頭を下げてそのまま廊下を歩いて行った。
 あんま良い雰囲気じゃなさそうだなオイ。

 俺が空に近付くと、座ったまま見上げて来た。
 不安そうな悲しそうな顔してて、思わず俺は空を抱き締めていた。


「貴哉……」

「もー、本当にほっとけねぇなお前は。父ちゃんとは話せたか?面会時間終わるって、陽子さんお前の事待ってるぞ」

「話せたよ。いろいろ知らない事ばかりで少し動揺してる。てか陽子さんって……仲良くなってるし」

「おう、思ってた母ちゃんと違って結構話しやすかったぜ♪なぁ、少しだけでも顔見せてやれよ。俺ここで待ってるからよ」

「貴哉も来てよ。俺、今貴哉と離れたくない」

「何言ってんだよ……分かった。一緒に行こう」


 父ちゃんと何を話したのかは分からないけど、とにかく空はダメージ受けてるみてぇだ。
 俺は空にキスをして手を繋いでやる。
 空がそう言うならどこまでも一緒にいてやるよ。ここまで頑張ったんだ。もう一人にはしねぇからな。

 俺と空はそのまま手を繋ぎながら陽子さんの病室まで向かった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ3rd season

pino
BL
秋山貴哉の頭悪し口悪しのヤンキーは今回も健在だ。今までいろんな面倒な事にぶつかって来た貴哉は、馬鹿なりに持ち前の天然さと適当さで周りの協力もあって無事解決?して来た。 もう無遅刻無欠席を維持しなくてはならないのは当たり前。それに加え、今度はどうしようもない成績面をカバーする為に、夏休み中も部活に参加して、担任が認めるような功績を残さなくてはいけない事になり!? 夏休み編突入! こちらはいつもより貴哉総受けが強くなっております。 青春ドタバタラブコメディ。 BLです。 基本コメディ多めですが、性的描写も有ります。 今回の表紙は、学校一のモテ男、スーパー高校生の桐原伊織です。 こちらは3rd seasonとなっております。 前作の続きとなっておりますので、より楽しみたい方は、完結している『どいつもこいつもかかって来やがれ』と『どいつもこいつもかかって来やがれ2nd season』を先にお読み下さい。 貴哉視点の話です。 ※印がついている話は貴哉以外の視点での話になってます。

【完結】僕は、メタルスライムに転生しちゃった。2

そば太郎
BL
僕は、平凡な男子高校生だったんだ。あの日までは・・・。 気がついたら、森の中にいて、何故かメタルスライムになっていた・・・。 え? そんな僕が、三白眼のガチムチな冒険者のお嫁さんを手に入れた!さぁ、頑張って、可愛がるぞぉ♡♡♡⬅️今は、ここから少し先に進んだ未来♡♡ぐへへ、赤ちゃん出来ちゃった♡♡もちろん、スライム♡♡ ※メタルスライムとは、攻撃が1しか入らず、しかもヒットの確率は限りなく低い。運良く倒すと。経験値が爆上がり!なスライム。しかし、主人公はちょっと特殊みたいで・・・。 ⚠️赤ちゃんスライム産みましたし、現在進行形で孕んでいます♡♡ ⚠️スライム×ガチムチ冒険者 ムーンさんでも投稿しています。少し題名変えてますけど。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? 夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)は、見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良ワーウルフの悪友(同級生)まで……なぜかイケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、異世界学園BLラブコメディ! 毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ 5thのその後

pino
BL
どいつもこいつもかかって来やがれ5th seasonのその後の話です。 秋山貴哉は口悪し頭悪しのヤンキーだ。無事文化祭をやり遂げたけど、実はまだやり残した事があった。 二年でフェミニンな男、小平七海との約束を果たす為に遊ぶ約束をするが、やはりここでも貴哉は遅刻をする事に。寝坊しながらも約束通りに七海と会うが、途中で貴哉の親友で真面目な性格の二之宮茜と、貴哉の元彼であり元チャラ男の早川空も合流する事になって異色のメンバーが揃う。 他にも貴哉の彼氏?桐原伊織の話や元チャラ男の早川空の話もあります。 5thの新キャラ、石原類、浅野双葉も登場! BLです。 今回の表紙は褐色肌キャラの浅野双葉くんです。 こちらは5th seasonのその後となっております。 前作の続きとなっておりますので、より楽しみたい方は、完結している『どいつもこいつもかかって来やがれ』から『どいつもこいつもかかって来やがれ5th season』までを先にお読み下さい。 貴哉視点の話です。 ※印がついている話は貴哉以外の視点での話になってます。

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

処理中です...