145 / 156
9章
おかえり!元気そうじゃん♪
しおりを挟む短い冬休みはあっという間に終わり、とうとう明日からまた学校が始まる。
俺は休みの最終日が近付くにつれて憂鬱で仕方なく、今日という日は思い切り寝て過ごそうと前の日の夜から張り切っていたけど、夜中にゲームをやっている時に伊織からの電話でそうはしていられない状況になってしまった。
とうとう伊織が旅行から帰って来たらしい。
日本に着いてからすぐに連絡をくれたんだけど、今日会いたいと言われたんだ。俺も空との事とか話さなきゃいけない事があるから、勿論会う約束をした。
それに、純粋に伊織に会いたいと思っていたんだ。伊織が旅立ってから二週間ぐらいか。いつも派手でうるさい奴がいないとやっぱり寂しいものだった。
朝早くに待ち合わせ場所の駅前で俺は赤い髪のあいつを探す。メッセージでは到着してるって来てたけど、どこにいるんだ?
俺は一度スマホを確認しようと立ち止まり下を向いた瞬間、後ろから誰かに抱き付かれた。驚いたけど、フワッと香る甘くて爽やかな匂いがして、とても懐かしく思った。
「伊織!」
「よう貴哉♪久しぶりだな♪」
俺をぎゅーっと抱く腕を掴みながら顔だけ振り向くと、そこには変わらない笑顔の赤い髪の伊織がいた。あ、髪が伸びてる。前髪とか横に流してて大人っぽく感じた。
「おかえり!元気そうじゃん♪」
「ただいま♡貴哉も元気そうで良かった」
愛おしそうにそのまま顔を埋めて来る伊織にくすぐったくて離れようとすると、ほっぺにキスをされた。こ、こいつっ!こんな大勢の前で大胆だな!
腕から逃れて向き合うと、伊織の全身が見えて再び懐かしくなり、ちょっと感動しちまった。
相変わらずお洒落だな~。スタイルも良いし、めちゃくちゃ周りが見てんじゃん。
「お前な~!ここ日本なんだからそういうのやめろって」
「あはは♪貴哉は相変わらず人前でこういうのするの嫌がるな~。変わってなくて良かったわ」
「なぁ伊織、話があるんだ」
「そんじゃどっか入って話すか。飯は食った?」
「うん」
「じゃあカフェとかでいっか」
そう言って自然と手を繋いで来る伊織。俺は振り払わなきゃいけないのに、そのまま繋いだまま歩いていた。
正直伊織に会えたのと、またこうして仲良く出来る事が嬉しかった。
近くのカフェに入ってそれぞれ飲み物を頼んで向かい合って座る。伊織はずっとニコニコ機嫌良さそうにしていた。
「伊織、髪伸びたな」
「貴哉は短いのが好きなんだよな。切ろうか?」
「いや、似合ってるしいいんじゃん?」
「そ?あ、これお土産~。凛子さん達にもよろしく言っておいて♪」
「サンキュー。てかどこ行ってたんだっけ?」
「フランス。母さんが住んでる国だよ」
伊織から手渡されたお土産の袋の中を覗くと、菓子っぽい箱と、縦長の重ための箱が入っていた。あ、ワインだ。
それから伊織は更に隣の椅子に置いたバッグから手の平サイズの長方形の箱を出して渡して来た。
「それとこれは貴哉に♪」
「え、何だ?」
「開けてみ♪」
言われて箱を開けてみる。
すると中には大きなレンズのサングラスが入っていた。
かっけぇ!
「すげぇかっこいい!これくれんの!?」
「なんと!俺とお揃いでーす♪そんな濃くないし、ブルー系だからお洒落だろ?」
伊織は、じゃーんとバッグからもう一個同じのを取り出してそれを装着してニヤッと笑った。
俺もすぐに貰ったサングラスをしてニヤッと笑ってやる。
あ、すげぇ楽しい♪
こうやってちゃんとお土産とか用意してくるとことか、ファッション系を選ぶとことか、明るくして楽しませようとするとことかが伊織らしくて安心した。
この時、一瞬でも空の事が頭から離れてしまって俺は一度頼んだアイスティーを飲んで落ち着いてから大事な事を話そう思った。
10
あなたにおすすめの小説
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※この物語はフィクションです。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2025.12.14 285話のタイトルを「おみやげ何にする? Ⅲ」から変更しました。
■2025.11.29 294話のタイトルを「赤い川」から変更しました。
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる