16 / 45
2章 大切な友達
15.大切な人の寝顔
しおりを挟む俺は眠る伊吹さんをソファに横にして寝かせ、何か掛ける物は無いかと周りを探す。
リビングにそれらしき物は無い。やっぱり寝室かなぁ。でも伊吹さんが寝てるのに勝手に入る訳にはいかないよなぁ。でもこのままじゃ伊吹さんが風邪引いちゃうよなぁ。
伊吹さんの心配をしながらも大我くんの事も考える。
連絡が遅れたのは予定があったから仕方ないとして、気付いたのならなるべく早く返したい。
俺は意を決して伊吹さんを寝室まで運ぶ事にした。
先に寝室のドアを開けて置こうと廊下へ向かい、前に教えてくれたペンギンのぬいぐるみがいる寝室のドアを開ける。
「失礼します!」
ドアを開けただけなのに、部屋の中が直視出来ない!でも伊吹さんに落ち着いて寝てもらえるようにしないとと思って、頑張って寝室の中に入る。
リビング同様、綺麗に片付けられている寝室の中は本当に寝るだけと言う感じでベッドと簡単な棚があるだけだった。そしてクローゼットの扉。服などが壁に掛けられていないから、伊吹さんはキチンとしまうタイプなんだなと分かった。
そしてベッドにはお揃いで買ったペンギンのぬいぐるみがいた。それを見て俺は胸がキュッとなる。伊吹さんも一緒に寝てるって本当だったんだ。
嬉しさを感じながらも伊吹さんを迎えられるように掛け布団を開けて準備を進めた。
リビングに戻り、スヤスヤ寝ている伊吹さんをソファから持ち上げてみる。細いだけじゃなく体重も軽かった。うん、俺でも持ち上げられそうだ。
両腕で上半身と足の部分をしっかりと抱えてヒョイっと持ち上げる。こ、これはお姫様抱っこってやつだ!伊吹さんをお姫様抱っこ出来る日が来るなんて!
俺は幸せを噛み締めつつも伊吹さんを大事に抱えて準備を整えた寝室まで運ぶ。
無事に伊吹さんをベッドに寝かせる事が出来て俺はホッとする。
俺が運ぶ間も全く起きる気配が無かったな。他の人の前でもこうなのかと考えたら少し心配だな。
仮に今伊吹さんを運んだのが大我くんだったら、この後どうしていただろう。あの時の大我くんを思い出すと嫌な気持ちになった。
むしろ寝室になんか運ばないでソファでそのまま伊吹さんを襲いそうだ。
いくら大我くんでもそんなのは許せないよ。
俺は伊吹さんの寝顔を見てから心を落ち着かせて寝室を出た。
「はぁ、帰ろう……」
ここのマンションはセキュリティがしっかりしていると思う。さすが人気No. 1の伊吹さんだと言わんばかりの綺麗で良いマンションだ。
だから俺がこのまま出て行ってもオートロックによってこの部屋の安全は確保されるだろう。そして伊吹さんが対応しない限りは誰も入っては来れない。
俺は安心して伊吹さんの部屋を出る事が出来た。
マンションのから出た後に、大我くんに電話を掛け直そうとスマホを取り出す。
時間は22時。普段俺は勉強している時間だけど、大我くんからは普通に電話やメッセージなど来ていたからきっと起きてるだろう。
もしかしたら土曜日だしバイトかもしれない。でも、それなら着信を入れておけばまた掛け直してくれるよな。
スマホを耳に当てて応答を待つ。
するとすぐに大我くんの声がした。
『もし~?ナオキング~?』
「あ、うん!電話出れなくてごめんね」
『ああ、今何してる?ちょっと話したい事があんだけど』
大我くんの声はいつも通りだった。と思う。
話したい事がある。そう言われてドキッとするけど、俺も伊吹さんとの事をちゃんと話そうと思い、しっかり気を持って対応する事にした。
「今出掛けてて外だよ。俺も大我くんと話したいんだ」
『それなら俺んちまで来れるか?待ってるから』
「うん。行くよ」
ここで電話は切れた。
ここから大我くんちは少し距離があるけど、タクシーを使えばそんなに掛からないだろう。
俺は大切な友達の為に伊吹さんとのデートの余韻を隠して移動を開始した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
完結|好きから一番遠いはずだった
七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。
しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。
なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。
…はずだった。
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい
日向汐
BL
過保護なかわいい系美形の後輩。
たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡
そんなお話。
【攻め】
雨宮千冬(あめみや・ちふゆ)
大学1年。法学部。
淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。
甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。
【受け】
睦月伊織(むつき・いおり)
大学2年。工学部。
黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
恋をあきらめた美人上司、年下部下に“推し”認定されて逃げ場がない~「主任が笑うと、世界が綺麗になるんです」…やめて、好きになっちゃうから!
中岡 始
BL
30歳、広告代理店の主任・安藤理玖。
仕事は真面目に、私生活は質素に。美人系と言われても、恋愛はもう卒業した。
──そう、あの過去の失恋以来、自分の心は二度と動かないと決めていた。
そんな理玖の前に現れたのは、地方支社から異動してきた新入部下、中村大樹(25)。
高身長、高スペック、爽やかイケメン……だけど妙に距離が近い。
「主任って、本当に綺麗ですね」
「僕だけが気づいてるって、ちょっと嬉しいんです」
冗談でしょ。部下だし、年下だし──
なのに、毎日まっすぐに“推し活”みたいな視線で見つめられて、
いつの間にか平穏だったはずの心がざわつきはじめる。
手が触れたとき、雨の日の相合い傘、
ふと見せる優しい笑顔──
「安藤主任が笑ってくれれば、それでいいんです」
「でも…もし、少しでも僕を見てくれるなら──もっと、近づきたい」
これは恋?それともただの憧れ?
諦めたはずの心が、また熱を持ちはじめる。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した
あと
BL
「また物が置かれてる!」
最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…?
⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。
攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。
ちょっと怖い場面が含まれています。
ミステリー要素があります。
一応ハピエンです。
主人公:七瀬明
幼馴染:月城颯
ストーカー:不明
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる