【完結】君が教えてくれたモノ

pino

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番外編

ただいま【ハラリside】

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 相馬奏多との出会いは俺にとってかなり大事なモノとなった。
 俺、ハラノハラリは奏多と出会った時は次元を越えながら自分探しの旅をしていた。そう、出会った時はそう思っていた。
 だけど、奏多と出会って共に過ごす度に俺の中にある懐かしい記憶が蘇っていったんだ。
 きっと次元越えをするにあたって記憶障害を起こしていたんだ。パラパラと抜け落ちる記憶にすら気付かない程俺は危険な旅を続けて、当初の目的すら思い出せなくなっていたんだ。そしていつしか旅の意味を勝手に書き換えて、違う次元にいる自分に教えてもらおうと『自分探しの旅』を繰り返していた。
 そんな中辿りついた次元でも出会う人々は俺が求めている人間じゃなかった。数日が経ったある日、道端で力無く倒れている所を奏多に見付けてもらった。この時には既に何度目かの次元越えの反動が体に結構キテた。
 奏多と出会った時、俺の直感が言った。『こいつも違う』と。
 
 だけど、この次元で初めて俺に水を差し出して助けてくれた奏多には何か惹かれるモノがあったんだ。それは既に記憶が抜けている俺には何かは分からなかったけど、どこか懐かしい気持ちになったんだ。それでも俺が捜している人間では無かった。
 もしかしたらこいつなら何か分かるかもと思って俺は逃すまいと必死で奏多に付いて行ったのを良く覚えている。

 そしてその予感は的中した。その時奏多とはまだくっ付いていなかったけど、奏多の事を気に入ってる男がいた。飯野比良里だ。
 奏多から俺に似ていると聞いていたからもしかしたらと思っていたら案の定、俺が探し求めていたもう一人の自分だった。

 と言う事は奏多はやっぱり……

 もう何度目かも忘れるぐらい行き来して来た次元越えも、やっと目的地に辿り着けた感じだ。俺は喜びと共に自分自身の限界にも焦っていた。
 
 俺らの次元では次元越えはタブーだ。つまり俺は犯罪者。死刑レベルの重罪だ。次元越え専属のエリート達が何人も襲いかかって来ていたけど、それを相手にするのも辛くなって来てたんだ。
 元々喧嘩の腕っぷしには自信があったんだけど、奏多と会った時には逃げるのが精一杯だった。
 それでもやっと何かが思い出せそうな所まで来たんだ。最後まで足掻いてやると俺は生きる事を諦めなかった。
 その想いが奏多に通じたのか、絶体絶命の危機に陥った時、見事に見付けてくれたな。あれには感動したぜ。おかげでもう一人の俺にも本性を明かさなくちゃならなくなったけど、んな事ぁ今ではもうどうでもいい。

 俺は比良里を辿って奏多に出会い、忘れていた大事なモノを思い出す事が出来たんだ。

 奏多と比良里。あいつらは一見不釣り合いに見えるが、お互い惹かれ合ってたよ。でもお互いの癖が強過ぎてすれ違いそうになってたんだ。
 俺が奏多達の次元に辿り着くタイミングがズレてたらと思うとゾッとするぜ。少し早くても、少し遅くてもダメだった。ベストのタイミングで二人に会えたから、俺は今めちゃくちゃハッピーな気分でいられた。

 あの二人を見てるとよ、懐かしくて居心地が良かったんだ。だから俺は奏多と比良里の事を心から愛していた。

 そして俺は今から元の次元へ戻る。
 いつも行き先はランダムだと思っていたけど、それも記憶が無くなっていたせいだったようだ。
 次元越えをする時は行きたい場所、人、環境の事を強く想いながらするんだけど、どうやっても帰れなかった訳だぜ。だって、一番想わなきゃいけない奴の事を忘れてたんだからよ。
 だから自分探しをしてたんだけど、そりゃ帰れねぇよな?だって、俺の次元には俺はいねぇんだから。
 そしてより想いを強くする為に、比良里には申し訳ねぇけど奏多にキスをした。

 スラスラと蘇る記憶に楽しささえ覚えて、忘れていた奴の事を思い出す。

 アイツやっぱ怒ってんかなぁ?
 思い出してみたら俺ってこの旅を始めてから数年経ってんだろ?もしかしたら忘れられてるかも?
 そしたらそん時はそん時だ!
 とにかく俺は帰る!
 自分の生きていた次元がどんな風になってるのか胸をワクワクさせながら目を閉じてただアイツの事だけを想って俺は再び次元を越えた。


 次に目を開けた時、アイツが目の前にいる事を祈って……



「ハラリ……?嘘だろ、ハラリなのか!?」


 俺を呼ぶ声がして目を開けると、ピンクの髪色の可愛い顔したアイツがいた。
 場所は見覚えのある綺麗なマンションの部屋。
 ああ、帰って来れたんだ……
 俺はやっと……

 一歩足を踏み出そうとして視界が霞んだ。
 クソ、やっぱりもう限界か。
 数週間前に出来た傷も痛み出す。

 やっと帰って来れたのに……
 やっと会えたのに……


「ハラリ!」


 朦朧とする意識の中、二度目の呼び掛けにハッとする。
 そして俺は何もなかったかのように目の前にいる愛おしい恋人に笑い掛けてこう答えた。


「ただいま。ハルカ」


 ハルカの可愛い顔がくしゃくしゃに歪むのが見えたと思ったらすぐに抱き付かれた。
 おいおい、体ボロボロなんだから優しくしてくれって。
 そう思いつつも俺もやっと会えたハルカを強く大切に抱き締めた。


「おかえり♪ハラリ♪」


 涙を溢しながら満面の笑みを浮かべるハルカは、とても奏多と良く似ていた。





✳︎✳︎✳︎完✳︎✳︎✳︎



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