【完結】君が教えてくれたモノ

pino

文字の大きさ
21 / 43
4章 通い妻

20.鼻が高い

しおりを挟む

 学校の食堂でハラリとランチしてたら飯野さんからメッセージが来ている事に気付いた。
 飯野さんからとか珍しいー。なんだろ?


「ハラリ、飯野さんからなんか来たー」

「おー何て?」


 ラーメンを啜るハラリは軽い感じで聞いて来た。
 もう慣れたけど、こうしてる間にもハラリは他の学生達からかなり注目されていた。普段見掛けない人がいるからじゃない。独特のオーラを放っていたからだ。ただでさえ目立つ外見なのに、ただこうしてラーメンを食べてるだけなのに、その姿が美しくてテレビのCMを見ているような気にさえなれた。

 俺は内容を読み上げる事にした。


「えっとね……お前今週シフト入れてないのか?だって」

「バイトか?」

「そう。今週はちょっと学校が忙しいから入れて無かったんだ」


 それとハラリの事が心配だったからだ。なるべく側にいてあげた方がいいかなとも思ったんだよね。


「ふーん。学生も大変だな。比良里には何て返すんだ?」

「普通に学校が忙しいって返す~。でもこんな事をわざわざ聞いてくるとか飯野さんて彼女みてぇ♪」

「ん?奏多が彼女じゃなくて?」

「えー、どちらかと言えば俺のが彼氏だろ」

「見た目だけで言ったら逆だけどな。お前女みてぇに可愛い顔してんじゃん」

「そうなんだよな~。俺もハラリや飯野さんみたいにかっこよかったら良かったのに。整形でもするか!」

「余計な事すんなって。比良里が悲しむから」

「何で俺が整形すると飯野さんが悲しむんだよ?」

「そりゃお前の顔がタイプだからだよ。あ?本人から聞かされてねぇの?」

「えー!タイプって好きな子とかのタイプ!?何それ!飯野さんって俺の顔が好きなのか!?」

「俺が可愛いと思うんだから比良里もそうだろうよ。てかお前ら付き合ってんだよな?」

「付き合ってないって!そんな事言ったら飯野さんに怒られるって!」


 そっかぁ、俺の顔って飯野さんのタイプなのか~。これはからかうネタが出来たな♪
 それにしても俺と飯野さんが付き合うって、どうしてそうなるんだ?そりゃ最近仲良くなったけど、お互い付き合いましょうなんて話はしてないし、飯野さんが俺の事をそう言う意味で好きなのかも知らない。
 少なくとも俺は飯野さんに対して付き合いたいとかは思ってない。
 ただバイト先の先輩後輩としてこれからも仲良くやって行けたらとは思ってるけどな。


「奏多、お前は比良里と付き合いたいと思わないのか?」

「うん。十分仲良いと思ってるし、別にそこまでじゃないかな~」

「……ふーん」

「それに今の俺はハラリの面倒見なきゃで恋愛どころじゃねぇんだわ♪今日帰りに夕飯の買い物して行こうぜ~」

「俺の面倒ね~」

「昼間はこうして大勢の人がいる所にいれば安全だけど、やっぱり夜はそう言う訳にはいかないじゃん?」

「それって比良里より俺を優先してくれてるって事だろ?嬉しいぞ♡」


 ハラリは食べ終わった後、テーブルに肘をつきながらジッと俺の話を聞いていたけど、嬉しそうにニッコリ笑う姿を見て俺はキュン♡とした。
 だってさ、こんなにかっこいい奴に笑い掛けられてみろよ?誰だってときめくだろうよ。
 あー、ほらあそこの女子なんか勝手に写メなんか撮ってるしー。
 ハラリを連れて歩いてると、友達からも聞かれるけど、ハラリの事を「凄い」とか「かっこいい」とか言われるので俺は気分が良かった。

 ちなみにハラリの事は飯野さんに言ったように、親戚って事になっている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?

cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき) ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。 「そうだ、バイトをしよう!」 一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。 教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった! なんで元カレがここにいるんだよ! 俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。 「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」 「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」 なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ! もう一度期待したら、また傷つく? あの時、俺たちが別れた本当の理由は──? 「そろそろ我慢の限界かも」

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

【完結】アイドルは親友への片思いを卒業し、イケメン俳優に溺愛され本当の笑顔になる <TOMARIGIシリーズ>

はなたろう
BL
TOMARIGIシリーズ② 人気アイドル、片倉理久は、同じグループの伊勢に片思いしている。高校生の頃に事務所に入所してからずっと、2人で切磋琢磨し念願のデビュー。苦楽を共にしたが、いつしか友情以上になっていった。 そんな伊勢は、マネージャーの湊とラブラブで、幸せを喜んであげたいが複雑で苦しい毎日。 そんなとき、俳優の桐生が現れる。飄々とした桐生の存在に戸惑いながらも、片倉は次第に彼の魅力に引き寄せられていく。 友情と恋心の狭間で揺れる心――片倉は新しい関係に踏み出せるのか。 人気アイドル<TOMARIGI>シリーズ新章、開幕!

かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐
BL
過保護なかわいい系美形の後輩。 たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡ そんなお話。 【攻め】 雨宮千冬(あめみや・ちふゆ) 大学1年。法学部。 淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。 甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。 【受け】 睦月伊織(むつき・いおり) 大学2年。工学部。 黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。

追放された味見係、【神の舌】で冷徹皇帝と聖獣の胃袋を掴んで溺愛される

水凪しおん
BL
「無能」と罵られ、故郷の王宮を追放された「味見係」のリオ。 行き場を失った彼を拾ったのは、氷のような美貌を持つ隣国の冷徹皇帝アレスだった。 「聖獣に何か食わせろ」という無理難題に対し、リオが作ったのは素朴な野菜スープ。しかしその料理には、食べた者を癒やす伝説のスキル【神の舌】の力が宿っていた! 聖獣を元気にし、皇帝の凍てついた心をも溶かしていくリオ。 「君は俺の宝だ」 冷酷だと思われていた皇帝からの、不器用で真っ直ぐな溺愛。 これは、捨てられた料理人が温かいご飯で居場所を作り、最高にハッピーになる物語。

握るのはおにぎりだけじゃない

箱月 透
BL
完結済みです。 芝崎康介は大学の入学試験のとき、落とした参考書を拾ってくれた男子生徒に一目惚れをした。想いを募らせつつ迎えた春休み、新居となるアパートに引っ越した康介が隣人を訪ねると、そこにいたのは一目惚れした彼だった。 彼こと高倉涼は「仲良くしてくれる?」と康介に言う。けれど涼はどこか訳アリな雰囲気で……。 少しずつ距離が縮まるたび、ふわりと膨れていく想い。こんなに知りたいと思うのは、近づきたいと思うのは、全部ぜんぶ────。 もどかしくてあたたかい、純粋な愛の物語。

【完結】口遊むのはいつもブルージー 〜双子の兄に惚れている後輩から、弟の俺が迫られています〜

星寝むぎ
BL
お気に入りやハートを押してくださって本当にありがとうございます! 心から嬉しいです( ; ; ) ――ただ幸せを願うことが美しい愛なら、これはみっともない恋だ―― “隠しごとありの年下イケメン攻め×双子の兄に劣等感を持つ年上受け” 音楽が好きで、SNSにひっそりと歌ってみた動画を投稿している桃輔。ある日、新入生から唐突な告白を受ける。学校説明会の時に一目惚れされたらしいが、出席した覚えはない。なるほど双子の兄のことか。人違いだと一蹴したが、その新入生・瀬名はめげずに毎日桃輔の元へやってくる。 イタズラ心で兄のことを隠した桃輔は、次第に瀬名と過ごす時間が楽しくなっていく――

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

処理中です...