【完結】君が教えてくれたモノ

pino

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3章 お泊まり

19.同じ人間

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 朝、目が覚めると隣には飯野さんがスヤスヤ寝ていた。うわぁ、寝顔までイケメン!そしてハラリと本当に良く似てる。
 ふと床に敷いた布団で寝てるハラリを見ると、既にもぬけの空だった。
 時計を見るとまだ6時前。どこに行ったんだろうと思い、飯野さんを起こさないようにそーっとベッドから出てリビングへ行ってみる。
 するとカーテンが揺れていて、その奥のベランダにいるハラリの後ろ姿を見付けた。


「ハラリ♪おはよー!」

「おう、おはよ」


 俺が声を掛けると爽やかな笑顔で振り向いて挨拶をしてくれた。
 頬に貼ってあったガーゼを取ったのか、傷と痣が良く見えて痛々しかった。


「傷、痛い?」

「これぐれぇなら平気だ。それよりも比良里とは上手く行ったのか?」

「うん♪大分仲良くなった!」

「みてぇだな。同じベッドで寝てて驚いたわ」

「だろー!?やっぱり飯野さんは俺の事好きなんだって♪」

「そりゃちげぇねぇ。勿論お前も好きなんだろ?」

「うん♪大好き♪あ、ちゃんとハラリの事も好きだぜ」


 ヤキモチ妬かれたら困るから先に言っとこう。俺は飯野さんもハラリも同じぐらい好きだからな。


「はは、そう言ってもらえると嬉しいねぇ。俺も奏多と比良里の事が大好きだぜ♪きっと比良里も同じだろ」

「そうそう、俺が下の名前で呼ぶのはダメだけど、ハラリが呼ぶのはいいんだってさ。随分仲良くなったみたいだけど、昨日何してたんだ?」

「別に特別な事はしてねぇよ。ただ一緒に歩いて飯食って話しただけだ」

「それだけでぇ?あの飯野さんが心開くとは思えないんだけどなぁ」

「奏多、お前には教えておく。俺と比良里は違う次元を生きる同じ人間なんだ」

「んん?同じ人間って、そりゃ二人共似てるけど、クローンか何かって事?」

「ちと違う。元々俺はこの次元の人間じゃねぇ。こことは別の世界からやって来た人間だ。そこはここと大差ねぇよ。街並みや風景、世の中の出来事ですら似たようなもんだ」

「そうなんだ。だからハラリも馴染んでるんだな」

「そ♪同じなのは人間もそうだ。同じ境遇、同じ性別、同じ姿形。俺は自分を探す旅をしている」

「同じ、人間……もしかして飯野さんの事?」

「ビンゴ♪今まで何個も次元を行き来して来たけど初めて会えたぜ♪」

「ハラリと飯野さんは同じ人間……」


 まだピンと来なかったけど、ハラリが言いたい事は分かったつもりだ。
 そういうのって、パラレルワールドとか言われてるけど、きっとその類なんじゃないか?全く別の世界が存在していて、そこでは全く同じ世界が繰り広げられている。そんなとこか?
 つまりハラリと飯野さんは同一人物のようなものか?だから初対面でもすぐに打ち解けて気を許せる仲になったと言う訳か。

 
「そうだ。だからあいつが考えてる事とか何となく分かるんだよな~。あいつ結構辛い思いして生きて来たんじゃん?俺と同じならな」


 確かに、昨日幼い頃に親に捨てられたとか言ってたけど、それはハラリが盗み聞きしてたら分かる事だ。
 まさかハラリまで施設で育てられたとか言うのか?
 でもハラリはモデルで飯野さんはフリーターだ。見た目は似ててもやってる事とか性格が違うのは何でなんだ?


「ハラリと飯野さんが同じ人間だって言うなら、性格が違うのは何でなんだ?同じ生き方をして来たんだろ?」

「微妙な誤差があるからだ。例えば俺は別次元の人間で、この次元には存在しちゃいけない人間だ。そんな俺がこの次元の記憶や歴史に残るような事をしてみろ?元の次元では起こらない事件が出来た事によって誤差どころじゃない大差が出来ちまう。だから俺がやってる事は犯罪なんだ。他の次元には一切関与してはいけない。だから俺と比良里は似てても少し違う部分もある。基本的な性格は同じだけどな。傲慢で野心家。自分の事が大好きで、自信家。でも、誰よりも愛に飢えてる」

「飯野さんも?」


 あの飯野さんが愛に飢えてるなんて思えなくて、聞き返すとハラリは嬉しそうに笑った。


「比良里もだよ。あいつの場合、俺より拗れた生き方して来たみてぇだからちょっと心配。だから目一杯愛してあげてくれよ。俺の出来る事は奏多にそれを託す事だ」

「愛してあげるとか恥ずくね?でもいいよ♪飯野さんが嫌だって言っても毎日愛をくれてやらぁ♪」

「おう、頼んだぞ~」


 そのあとハラリは空を見上げて気持ち良さそうな顔で笑っていた。
 ハラリから聞いた話は初めは信じられなかったし、疑ってる部分もあった。別に嘘でもいいやとか思ってたとこもある。でも今なら受け入れられる。
 ハラリがいたから飯野さんとこんな短期間で親しくなれたのもあるし、きっと何かあるんだと思うからだ。

 俺の次の目標は飯野さんの笑顔を見る事だけど、多分すぐに見られる気がした。

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