頭にきたから異世界潰す

ネルノスキー

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第3章

第42話ーーその頃の転移者たちーー③

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「あ~……もう、なんでこうも頭痛の種ばっか増えてくんのよ」

 さながらストレス社会を生きる疲れ切ったサラリーマンのような重々しい溜息と共に愚痴を溢すのは、談話室から自室へと戻ってきた枢木 飛鳥だった。

 あの後。茫然自失となったアキラを何とか立たせて今は休ませるように彼の付き人となったアイリスと同様の傭兵団に所属するメイドに引き渡すと、自分も精神的に疲れていることもあって自室に戻ろうとしたのだが……何故か部屋に戻るまでの僅かな距離で幾人ものクラスの女子達に捕まっては煮え切らない相談を持ちかけられたり、先生の手厳しいスピーチを聞いた事で動揺を露わにするものを宥めたりと無駄に疲れて戻ってくることとなった。

 はっきり言ってしまえば、相談を持ちかけてきた人たちには悪いが“自分たちはどうすれば良いか”なんて自分で決めてほしいの一言だ。
 
 そりゃ不安になるのも分かるし、後ろ盾……ではないけれど、心の中で安心して頼れた人からの拒絶とも取れる辛辣な言葉の数々を聞かされたら動揺をするのも分かる。
 けれど、だからといってその不満やら不安を私に訴えに来るのは正直どうなの?と言いたい。

 私だって先生があんな事を言う人だとは思っても見なかったのだ。
 先生が自分たちの為に日々東奔西走しながらも回復薬などをせっせと作ってくれていたのは知っていたし、勿論その事を当たり前などとは思わず感謝していた。

 長旅や遠征から帰ってくると必ず“おかえりなさい、無事で良かった”と声をかけてくれた。
 その事にどれだけ心が安らいだことか……だからこそ、岡田くん達の主張も分かってしまう。

 あんなに優しい人が辛辣な言葉の数々を上げることがどれだけ彼女を傷つけたことか。どれだけ気の病む思いだったのか。

 私たちは知らず知らずの内に彼女に甘え過ぎていたのだ。
 先生なら何だかんだと言っても自分たちの事を見守ってくれると、勝手に勘違いしていたのだ。
 彼女の……先生という立場を利用して、子供が大人に甘えるように。疲れた時に慰めてもらう為に先生に寄りかかっていた。

 彼女の心労など知りもしないで好き勝手やってきてしまった。

 何をやるにしても、何処へいくにしても、先生には事後承諾で相談など一切してこなかった。それは相談したところで単に反対意見を言ってくるだけでアドバイスをくれるわけではないと思っていたからだ。

 何せ、先生は最初から私たちが戦うという事に忌避感を持っていたし、この世界に関する知識など私たちと同じで全くないのだから相談したところで無意味だと思っていたからだ。

 だから基本的方針はこの国の人間であるマルビネス司教が提案して、オルグド団長がアドバイスを。そしてアキラが決定権を握っていた。
 その間のやり取りを先生が耳にする事はなかった。

 自分たちの事を心の底から心配してくれていたのに、私たちはその事に見向きもしないまま過ごして、いつの日にかそれが当たり前となっていた。

 今思うと本当にどうしてそんな事をしてしまっていたのか不思議に思うほど、自分たちのやっていた行為は最低だった。

(先生は私たちの事をただ心配してくれていただけなのに、私たちは……)

 そう考えずにはいられなかった。
 自分たちのやっていた行いがどれだけ愚かで先生に心配をかけ続けていたのかを、今更ながら後悔していた。

「はぁ……」
「余り溜息ばかり付いていると辛気臭いと言われますよ」

 そう言ってスッと淹れたての紅茶を差し出してきたのは昨日から側付きメイドとして働いているアイリスだった。

「言われても仕方ないわ。実際に頭の痛い問題だらけでヤケになりう……あ、美味しい」
「恐縮です。それで、何をそんなに悩んでいるのです?」
「そうね、主には自分たちの不甲斐なさ。というよりも、心配してくれてた人に心配だけさせて勝手に好き勝手やってたことへの後悔と、そのせいで私たちがバラバラになりかけてるって事かしらね」
「つまりは自業自得というやつですね」
「……ストレートな意見ありがとう」
「恐縮です」

 昨日と今日でアイリスについて分かったこと。
 それは見た目とは裏腹に意外と毒舌家だったということ。
 それもただ罵倒や卑下するだけの言動ではなくサラリと息を吐くように自然な流れで事実という毒を突きつけてくる、非常に嫌なタイプ。

 よく言えば裏表なく、ストレートな意見を言ってくれる人。悪く言えば気にしている事をズカズカと言ってくる無神経な人間。

 綺麗な花には棘があるとはよく聞くけれど、彼女ほどそれを体現した人もそうはいない。それも棘ではなく毒という意味で。

 若干そんなアイリスからの言葉に胸を痛めながら私は淹れてくれた紅茶を再び口に含んだ。
 ハーブティーとは少し違うけれど、ほんのり甘くて癖のない香りが心地いい。
 お陰で少し荒んでいた気持ちが和らいでく気がした。

「そういえばアキラに付いてたメイドも貴女と同じ傭兵なのよね?」
「ハイネという私と同格のメイドですね」
「へぇ~」
「気になりますか?」

 気の無い返事をしたせいかアイリスに余計な気を遣わせてしまったらしい。

「別に、ただあの様子じゃアキラの奴何かと荒れそうだから、普通の人が近くにいない方がいいんじゃないかなって思ってね……アイツだいぶ富田くん達の言葉に反応してたからさ。でも貴女と同格っていうなら腕も立つだろうから大丈夫かな」
「……」
「どうかしたの?」

 急に黙り込んだアイリスが気になり顔を覗き込むと、悩む様な何ともいえない訝しんだ表情をしていた。
 ニッコリスマイルばかりかと思えばそういう顔もするのかと思い、少し意外に思いながらも問いかけてみる。

「いえ、申し訳ございません。私には勇者様方が何をそんなに悩んでおられているのか分からないのです」
「……あー、それもそっか。それは仕方ないよ」

 アイリスの率直な疑問に私は苦笑を浮かべながら答えていく。

「物の見方というか、私たちと貴女達とじゃ元々持ってる価値観が違いすぎるから分からなくても仕方と思うよ」
「と言いますと?」
「そうね……例えば目の前に暴漢がいて自分が襲われそうになってたらどうする?」
「勿論、排除致します」
「でしょうね。でも、私たちはその暴漢を捕まえて然るべき場所に送ろうとするの」
「?それは私の答えとは違いますけど、普通ではないですか?」
「えぇ、そうね。普通だと私も思う。でも実際は違うの。例え力があって、殺した方が早くて確実であっても詰所なりお役所なりに出そうとする。
 それは罪人を捕まえて法の裁きの元に引きずり出そうなんて崇高な目的じゃない。単に自分の手で殺したくないからよ」
「……よく分かりません。それもまた一般人なら普通の考えだと思います」
「そう?ならもしもその暴漢が自分の愛する家族や恋人に手をかけていたならどうする?」
「間違いなく誰もが殺しますね」
「でしょうね。でも私たちはそれでも殺せないのよ。例え目の前で大切な仲間が危険な目に遭っていても躊躇ってしまう」
「どうしてそこまで拒むのですか?」
「さぁねぇ……それだけ私たちのいた世界が平和だったってことかしら」

 実際。そこまでされたらいくら私でも立ち向かってしまうかもしれないが、やはりイメージが湧かないし、人を殺す事への躊躇いは拭えない。

 ただそこまで考えた時、一人の男子が脳裏を過ってしまった。そしてそれが顔に出ていたらしく「どうしました?」とアイリスに心配されてしまった。

「いえ、ひょっとしたら皆んなの中にはそうじゃない人もいるかもって思ってね。それにアイツなら何の躊躇いもなくやってのけるかもってね」
「アイツ?」
「葉山 弓弦っていう私たちと同じ召喚者よ。最も、この世界に来てすぐにいなくなっちゃったし、生きてる可能性も殆どない奴だけど」
「……ハヤマ・ユヅル」
「どうかした?」
「いえ、何でもございません」

 一瞬アイリスがピクリと反応したような気がしたが、すぐに元の表情に戻ってしまったので差して気にする事でもないかと思いきを取り直すことにした。
 
……ただ私はこの時に気づくべきだったと後々になって後悔した。
 何せ葉山 弓弦・雲仙 菜倉・浜屋 庄吾の三人は本来なら秘匿されて一般人どころか外部の人間には知らされていない存在なのだから、アイリスが反応する事などあり得ない筈なのだから。





 翌々日。
 一昨日の夏菜子先生からの話を聞いて昨日は一日各々が今後のことについて考えることとなった。
 
 遠征に出向いてレベリングを行い強くなるのは良い。
 強くなった分生き残れる可能性が高くなってくるのだから問題があるわけじゃない。
 だからクラスの大多数は遠征に出向くことには賛成した。
 けれど、その後の魔王軍との戦争についてはここに来て難色を示すものが出てきたのも確かだ。

 聖王教会の人や国の人間がいくら慰め、取り繕った言葉を並べようとも種族が違うだけで戦う相手は同じ人なのだ。
 いくら教会の人たちが彼らは人ではないと訴えたところで、それは彼らの価値観であって私たち転移者の価値観ではない。

 私たちからしたら見た目だけが違うだけで、同じ人でしかなく。そんな人たちをいくら大層な大義名分があろうとも躊躇いもなく戦うこともましてや殺すことなど出来ようはずがない。

 平時に人を殺せば罪に問われるが、戦時に多くの敵を殺せば英雄となる……なんてのは都合のいい解釈でしかない。
 例え戦争が絶えない乱世であろうと殺しは殺しでしかなく罪に問われる謂れがないというだけで、猟奇殺人者と何ら変わらない。

「ってのが、私の解釈なんだけど。貴女はどう思う?」

 自室で紅茶を飲みながら側に立っているアイリスに先程までの考えを訪ねてみると、彼女は考える素ぶりすら見せずに淡々と答えてくれた。

「間違いではないと思います。ただ私からしたら“何を当たり前な”と言わざる得ない話ですが」
「辛辣ねぇ。これでも私たちからしたら結構なことなのよ?」
「……お忘れかもしれませんが、私は傭兵ですよ?そんな人間に命どうこう、人殺しどうこうなどという質問は無意味に等しいものです」

 金で雇われ、戦争に参加することに何の躊躇いもない傭兵にとって人の命など金を稼ぐ為の手段でしかない。
 そんな人間に人道や道徳を説いたところで一体どれほどの意味があることか……図らずともそれが分からない飛鳥ではない。
 だから飛鳥は「確かにそうかもね」と若干寂しそうに答えるしかなかった。

どうしてこんな話をしているかというと、アイリスから改めて戦争に参加するかどうかを聞かれたからだ。
 私個人の答えとしては正直言ってまだ迷ってる。
 魔物を倒すのに躊躇いはもうないが、それでも魔族といえど、同じ“人”を相手にする事を考えると二の足を踏んでしまうのだ。
 だからこうして手近に相談できるアイリスに相談を持ちかけたのだが、やはり余り良い答えが出てこなかった。

 そんな様子を見かねてか、アイリスは溜息を一つ交えると口を開いた。

「確かに黒姫様や他の使徒様にとって、元いた世界が違うのですから殺しに躊躇いを覚えてしまう感情は理解出来ないものでもありません。
私も初めて人を殺した時の感触は今も鮮明に覚えていますから……けれど、そんな事に捉われる段階は遠に過ぎているのもまた事実です。ならば黒姫様達は選ばなければなりません」
「選ぶ?」
「無意味に無残に殺されるか、足掻き無慈悲に殺して生きていくかをです」
「ッ!」

 結局のところ、そういうことである。
 飛鳥達が何をどう迷っていようとも、この世界に召喚されてしまった時点でその選択は避けられない運命にあった。

 ここは平和な日本でも地球でもない。
 世界観こそ中世のヨーロッパを彷彿とさせる作りではあるが、実際はそんな時代よりも危険に溢れた異世界だ。

 安全な王都から出たら魔物や魔獣は勿論のこと、それ以外にも己が利益ばかりを優先する愚か者といった危険に満ち満ちている。
 
 飛鳥達は強くなる為に様々な迷宮がある土地を巡って旅をしてきた。
 その道中に野盗や盗賊といった一団から襲撃を受けてきた事も度々あった。けれど、そんな連中を飛鳥達は殺すでも逃すでもなく無力化させ近くの詰所に運び込むという手段をとっていた。

 普通、野盗などに遭遇したら襲ってくる連中を殺すか、逃げるかの選択しかない。
 何故ならそういった犯罪者達は街への立ち入りが出来ない代わりにそこら中で魔物や魔獣だけでなく戦う術を持たない一般人などを殺して強くなってきたからだ。

 だから余程の力量差がない限り襲撃してきた野盗を捉えようなどとは考えない。
 確実性を期す為に多くの者は殺す事を前提に戦うか、生きる為に逃げる事を選択する。
 
 確かに野盗を無力化して捉えればそのまま犯罪奴隷として報奨金を得られるが、そんなものは戦闘とのリスクを考えれば端金でしかないし、報奨金だけなら首だけ持って行けば良い。

 わざわざ輸送しようなどとする者は滅多にいない。
 
 それでも飛鳥達は殺さず無力化するという選択を取ってきた。
 理由は簡単。殺したくないからだ。

 人は人を殺す事に躊躇い覚える。
 例え自分に全く関係ない人間であろうとも、極悪非道な大罪人であっても、憎むべき怨敵であっても、人は人を殺す事に躊躇ってしまう。

 だから飛鳥達は出くわした野盗達を殺さなかった。殺せなかった。それをしてしまえば自分たちは一線を超えてしまい二度と元の自分たちには戻れないし、永遠に背負う罪悪感に押しつぶされるのではと思ったからだ。

 故に彼女達はこれまで戦う事はあっても殺しはしなかった。
 そんな後回しにし続けていたツケが今、ようやく避けられない形で生まれようとしていた。
 
「分かってる、わよ。そんなこと……でもどうしようもないじゃないっ」
「なら死にますか?」

 その言葉にぞわりっと背筋に冷たい汗が流れたのを感じた。
 見るとアイリスの瞳からは極寒を思わせる程に冷たい眼差しが向けられており、僅かながらも本物の殺気が込められていた。
 魔物や魔獣から向けられる殺意には慣れきってしまっていたが、同じ人間から向けられたのは初めての事で私は戸惑いを隠しきれずに動揺を露わにしてしまう。

「黒姫様。貴女は分かっている筈です。まだ短い付き合いではございますが、貴女が愚かな人間でないというのは分かります。
 けれど、だからといって私はあなた方の仰る“殺したくない”という甘い考えを許容するわけにはございません。
 私は黒姫様の護衛ではございますが、別に忠義を尽くしているわけではございませんし、あなた方の仰る甘えに沿って動けば何れ命を落とすこととなります。
 故に私は黒姫様ーー飛鳥様に問いかけたいと思います。 死にますか?」

 その瞬間、無意識の内に椅子を蹴り飛ばして背後へと跳躍し武器を取る。
 向けられたのは明確な殺意。熟練の傭兵から放たれた本物の殺気はステータスやレベルの差など関係なく飛鳥に危険だと本能で悟らせて迎撃態勢へと移行させた。が。

「うっ」

 魔弓士である飛鳥が弓の弦を引こうとするが、ピタリとその動きが止まってしまった。
 よく見ると自分の手や足などの可動域の始点となる場所に極細の糸が絡んでいるのが見えた。

「素晴らしい反応です。ですが、気づくのが遅すぎます」

 アイリスは相変わらずティーセットのある場所から動いていない。先程から変わらぬ佇まいのまま冷たい視線を向けてくるだけだ。

「な、何をしたの」
「その糸を辿れば分かります」

 そう言われて飛鳥は視線を糸の繋がる先を見ると、そこには一匹の蜘蛛がいた。大きさは地球でもよくみたイエグモのような脚の長い大きめの蜘蛛だが、その全身は鈍い銀色をしており、八つの黄色い瞳がこちらをみたまま微動だにしていなかった。

「その蜘蛛はスティルスパイダーという私の使い魔でございます。毒はありませんし、然程強い魔物というわけではありませんが、非常に硬い糸を正確に展開する使い勝手のいい私の可愛いペットでざいます。
 さて、飛鳥様は今様々な疑問を浮かべている事でしょうが、まず最初に私が貴女様にこのような事をした理由をお答えしましょう」

 ニコリと微笑みを浮かべて倒れた椅子を元に戻しながらアイリスは拘束された飛鳥の前までやってくる。

「答えは単純明快です。私も死にたくなどありません」
「……どういうこと?」
「先ほども申し上げましたが、私は確かに護衛の任を受けてここにおります。
 ですが、甘い考えのままいられては何れ命を落とすのは明白でございます。
 私はあくまでも依頼によって護衛しているだけですので、忠義を尽くしているわけでも、あなた方勇者様や使徒様に心酔しているわけでもございませんのに、そんな甘い考えのままいられたら正直なところ命がいくつあっても足りません。ですので、危険が訪れる前に、今。ここで、排除しようかと考えてる次第でございます」

 ニコリと微笑むその表情は普段彼女が見せるそれであったが、その瞳の奥には無機質で色のないただただ暗く淀んだものが映し出されていた。

 その事に息を呑みながらも、焦る思考の中で飛鳥は必死に考えを巡らせた。
 彼女の言い分はわかる。
 護衛依頼は受けたが、甘い事ばかりしていてはいずれ自分の命も落としてしまう。そうなる前に護衛対象を消してしまおうという何とも乱暴な考えではあるが、非常に分かりやすいものだ。

 けれど、そこまで考えているのなら自分を殺してしまう事のリスクも考えていないわけではないだろう。
 自分を殺せば間違いなく国は維新にかけて彼女を捉え死ぬより辛い拷問を繰り返し、一族路頭の処刑も厭わないはずだ。

 それでは彼女のいう“死にたくない”という結末を変えることなど出来ない。寧ろそれより悪化させる。
 だから彼女の言動(これ)はハッタリだとすぐにわかった。

(でもどうしてそんなことを?)

 ハッタリならそれはそれで良いが向けられる殺意は本物であり、全くの嘘とも思えない。
 何よりやり方こそ強引だが、言ってることは至極まともだ。

 死にたくない、一緒にいたくない、行動を共にしたくないというのなら単純にここを抜け出せばそれで解決する筈。
 それでも悪手には違いないが、生き延びる事が出来るだろう。少なくとも巻き添いという形で死ぬことはなくなる。

 なのにアイリスはわざわざ私を殺そうとこうして対峙することに一体何の意味があるのか。

(もしかして、試されてるの?だとしたら……ううん、仮にそうだったとしても言葉だけじゃ何の意味もないよね)

 私は大きく息を吸ってドクドクと早くなっていた鼓動を落ち着けると、毅然とした態度を持って彼女を見据えた。
 
「その必要はないわ」
「と、申しますと?」
「何だかんだと無意味に悩んでたけどーー私だって死にたくないのよ」
「ッ!」

 言い終えた瞬間。
 私は全身から風の刃を生み出して身体を拘束していた糸を断ち切り、目の前にいたアイリスの足首を狙うように瞬時に屈んで回し蹴りを叩き込むが、アイリスはそれをバックステップで回避してしまう。

 けれどそのことを読んでいた私は回し蹴りの勢いをそのままに旋回してその間に魔弓に魔力で生み出した風の矢をつがえると二射同時に未だ跳躍途中のアイリスに放った。
 
 風の矢は他の属性に比べて目に捉辛い。というか、何もしなければ何も見えない。
 何せ風なのだ。火や水といった視覚的要素が一切存在しない空気そのもの。それを漫画やアニメのように視覚化されるなどあり得ない。

 だが、同じ魔法士や戦闘に特化した者達は空気の流れを肌で感じて避けたり、視界に魔力を通すことで無理矢理可視化させることが出来る。
 それでも完全に捉えるのは至難の業といえよう。

 だがアイリスはそんな視界にも捉え辛い風の矢を膨大な経験則からか目の前にスティルスパイダーを二体。服の裾から投げ飛ばすと風の矢を蜘蛛に受け止めさせて優雅に着地した。

「……ふむ、ギリギリ及第点。といったところでしょうか」

 容赦なく攻撃されたというのにアイリスは投げ飛ばしたスティルスパイダーにチラリと視線を向けた後にそう呟いた。

「大変失礼致しました黒姫様」

 そしてアイリスはそれまでの剣呑な雰囲気を一気に霧散させると深々と頭を下げて謝罪の言葉を口にした。

「必要があった為とはいえ試すような真似をした上に数々の無礼を申し上げましたこと、平にご容赦ください」

 その言葉を聞いて私は内心「やっぱりか」と思いつつ構えていた弓を下げる。

「それはつまり、一応は合格ってことかしら?」
「はい。危機感知意識はまだまだですが、反撃での二射は頭部と心臓を狙ったものであり、威力も調整されていたとはいえ私のスティルスパイダーを行動不能に出来るだけの威力が確認出来ましたのでギリギリ及第点とさせて頂きました」
「……それはどーも」

 厳しい審査結果に渋い表情を浮かべながら元いた席に座り直し、どうして急にこんな事を問いただしたところ、アイリスは飛鳥の覚悟を試したかったらしい。
 
 迷いがある者は戦場でなくとも真っ先に死ぬ。
 今回のことはその事で余りにも飛鳥が思い悩んでいたせいでアイリスの独断で急遽執り行ったらしい。

 仮に飛鳥が何もあのまま行動に移さなかった場合、アイリスも特に手は出さなかっただろうが、その後は正式に護衛依頼を断り去っていただろうと告げた。

 その事でもアイリスからは謝罪の言葉が述べられたが、自分の命もかかっているのだから、アイリスの主張は最もであり、その事にとやかくいうのもお門違いなので、苦笑しながら飛鳥は許してやった。

 まぁそれでも本来の護衛の任務について考えると、それもどうかというところだが、アイリスはあくまでも傭兵でこの国の人間ではない。
 言ってしまえば、城仕えの人間ではないのである程度の自由は効くということだろう。

 ちなみに、殺人について思い悩んでいるアキラや飛鳥を含んだ他のクラスメイト達が正常なだけであって、この世界にやってきて早々に迷惑な貴族や冒険者などを惨殺した弓弦が異常なのだ。
 普通いくら『異世界転移で俺TUEEEEッ!』状態でトリップしていても善悪の区別はつくし、とんでもないクズを見かけても殺すとなると腰が引けて何も出来なくなるのが当然である。

 それなのに『世界が違うから』とか『ムカついたから』とかであっさり死体の山を築き上げていく弓弦は十分異常であり、サイコパスと呼ばれても仕方がない精神の持ち主である。
 まぁ彼の場合は割り切り具合が凄まじいからというのもあるが……これ以上はまた別の話。





 その日の昼頃。
私たちは再び談話室へと集まっていた。全員の意見を聞くためだ。そしてこの場にはマルビネス司教とオルグド団長もいる。
 遠征に参加する決意とその後に訪れる戦争に参加する為の決意表明をする為だ。

「それで、本当に良いんだな?」

 オルグドの重々しい確認の言葉にその場に集まった私を含める十六人のクラスメイトが神妙な面持ちで頷いた。
 驚いた事に、当初迷いを見せていた人も覚悟が決まったようで岡田くん達のように夏菜子先生の元へ行く事もなく戦うことを決めたらしい。
 その事にオルグドは悲痛そうな面持ちを浮かべ対するマルビネスは喜ばしいのか柔和な笑みを浮かべている。

「オルグド団長。そしてマルビネス司教。遅くなりましたが、俺たちは元の世界に帰る為にも戦うことを決めました。だから、今一度俺たちに戦い方を教えてください」

 一歩前に出たアキラが力強くそして真っ直ぐな瞳でオルグドにそう進言した。
 アキラのいう戦い方とは即ち対人戦の戦い方ということだ。それはもう人殺しをする事に迷いを見せないと言っているのと同異議である。

 正直なところアキラは直前まで迷っていた。
 自分なんかが他の皆んなの命を預かっても良いのかと、戦争になれば自分も含めて命を落としてしまうかもしれないというのに本当にいいのかと、悩んでいた。
 けれど、蓋を開けてみれば他のクラスメイトはもう全員覚悟を決めており、自分に命を預けるのも厭わないと強い覚悟を言い渡されたのだ。

 その事にアキラの胸の内で熱い何かが込み上げてきて、気がついたら迷いはなくなっていた。
 だからアキラは今こうして決然とした態度でオルグドに向かい合う事ができたのだ。
しかし、対するオルグドは苦々しい表情を浮かべていた。

「アキラ……」
「良いではないですか、オルグド騎士団長殿」

 留めようとしたオルグドにそれまで控えていたマルビネスが変わらず好々爺のような柔和な笑みでオルグドに制止を図る。

「マルビネス司教、しかし」
「団長殿の杞憂も分かります。しかし、こうして勇者殿達が我々に己の覚悟を見せてくれたのです。なれば我々もその覚悟には応えねばなりません。それは団長殿が一番解っている事でしょう?」
「……そうですね。分かりました」

 マルビネスの言葉に納得がいったのかオルグドは先ほどまでの重々しい表情から一変させて声を張り上げて私たち全員へと向き直る。

「聞けっ!遠征に出るまでにはまだ時間がある。だからその間にお前達に対人戦闘の基本を叩き込むっ!弱音は許さんっ逃げ出す事も許さん!何故ならそれが死に直結するからだ!自分だけが生き延びても友を見殺し、死へと追いやる事になるからだ!その事を肝に銘じておけっ!」

「「「「「はいっ!」」」」」

 こうして、私たちは来るべき戦争に備えて戦う為の準備を進める事になった。





ーー数日後。

とある大都市の街はずれにある平原でフードを目深に被った少年とも少女とも取れる人間がすれ違った荷馬車から一通の手紙を受け取る姿があった。
 荷馬車を操る御者はそのまま手紙を渡すと何食わぬ顔のまま通りの先へと進んで行き、手紙を受け取った人間もマントの下に隠すとそのまま暫く先を歩いていくと、途中で道から外れて近くの森の中へと入っていった。

 街道から外れて二十分ほど獣道のような道なき道を進んでいくと、一軒のボロボロになった小さな山小屋の中へと入っていく。

「『マゴ・オルフィス・トルテ』」

 小屋の中に入ると、これまた中性的な声音で何かの呪文を呟くと中心の石畳がバコッと音を立てて浮き上がり、そのまま階下へと進める道が出来た。
 そのまま鼻歌交じりに階段を降りていくと、そこは上にあったボロボロの山小屋とは打って変わって広々とした空間が広がっており、魔道具なのか様々な機材や培養槽のような筒が何本もあった。
 そしてその先には。

「たっだいま~♪ 新しいニュースだよ~!見てみて!」

 薄汚れた白衣のような物を着た男に抱きつきながらそう叫ぶと、それまで被っていたフードが勢いで後ろへと取れてしまう。そうして現れたのは雲仙 菜倉であった。
 そして突然後ろから抱きつかれて若干よろめいてみせたのは浜屋 庄吾その人である。

 振り返りながら庄吾は片手で耳をトントンとジェスチャーを送ると菜倉は以前庄吾から渡されたアイズの改良版であるBluetoothイヤホンのような形状になったアイズ・改に魔力を通して起動させると。

『ナクラさん?仲がよろしいのはいい事ですが、あまりくっつき過ぎてると呪っちゃいますよ?』
「怖ッ!怖いよシャーリーっごめんて!」

 アイズ を起動して早々に聞こえてきたのは呪詛の如く囁かれた嫉妬の言葉だった。
しかもそれを囁いたのは冗談でもなんでもなく本物のガチ幽霊さんであるシャーリーなのでシャレにならない。
 慌てて抱きついていた庄吾から離れると両手をホールドアップ状態にして降参の意思を示す。

『はは。シャーリー、あんまり菜倉をイジメないで下さい』
『むぅ。だって肉体がないんですから仕方ないじゃないですか。嫉妬くらいしますよ』
『もう少しで完成しますから、それまでの辛抱ですよ』
『だから余計にってのもあるんだけどね』

 アイズを起動した事で庄吾が会話に入ってくるが、いきなり形成された桃色空間に若干疎外感を感じつつ菜倉はめげずに持っていた手紙を二人(?)に見せる。

 ちなみにシャーリーは以前まで学園の図書館から出る事が出来なかったが、庄吾が首から下げているネックレスを依り代にする事で解決させる事が出来た。
 勿論ただのネックレスではない。RPGにもよく出てくる呪いの品だ。
 何故か普通の市販されているものやお手製のものでは取り憑くことは出来なかったが、菜倉が持ってきた呪いの品で試したところあっさり憑依する事が出来、今では四六時中。肌身離さず持ち歩いている。

 ……菜倉的にはいくら依り代として憑依してるのが知り合いとはいえ、呪いの品を躊躇いなく身につけている庄吾に若干引いてたりもしたが、なんとなく今更感があったので今では特に何も思っていない。

「はいはい、激甘空間に失礼しますよ~っと。王都からの情報が入ったんだから一緒に見よ!」
『王都から?ってことは無事に種蒔きは済んだんですね』
「そりゃもちろん!なんたってこの菜倉ちゃんが仕込んだんだしね!」
『随分簡単に出来ましね、僕は失敗するとばかり思ってましたよ』
「ふっふーん♪その為にこれまで色んな人を虜にしてきたからね、この程度は簡単なのだよ♪」

 得意げに無い胸を張り上げる菜倉に苦笑を漏らしながら素直に賞賛を送る庄吾を見て、一人取り残されていたシャーリーが声をあげる。

『あの、種蒔きってなんのことですか?』
「あ、そっかまだ話してなかったね。勇者とかクラスメイト……使徒についての動向を知る為にも目を近くに置こうと思って、諜報員を王都に送ってたの。これはその第一報告だね」
『え、そんな事してたの?いつの間に』
「んー、思いつきで先月くらいからやってたんだけど正直上手くいくかは半々だったから黙ってたんだよね~。まぁバレても問題なかったし、機能したらいいなぁ~くらいの気持ちで♪」
『……王都、それもその口ぶりだと王城にですよね?国の最高機密場所にそんな簡単に』
「割り込めちゃうのがこの菜倉ちゃんです!どう、どう?凄いでしょ!」

くるくる~と回りながら自画自賛をしている菜倉を呆然としたまま見つめるシャーリーだったが、すぐに気を取直してどんな内容が書かれているのかを尋ねていく。

「えっとね~……うぁ、今更?こりゃダメかもね」
『どうしました?』
『何が書いてあるの?』

 菜倉の反応に庄吾とシャーリーが興味津々といった様子で問いかける。

「んっとね。要約すると、勇者たちがやっと戦う事に意思を固めたみたいなの。でも全員じゃなくてカナちゃんを含めた四人は戦争の意思なしなんだって~。もう色々と遅いってのに何を渋ってんだろ」
『四人って事は残りの三人は?』
「岡田くんと富田くんそれから天音ちゃんだね。でもこの三人は別方向で何か動いてるみたい」
『というと?』
「どうも他の皆んなと比べて戦闘慣れしてるって書いてある。変なの、戦う意思はないけど他の誰よりも戦い慣れしてるなんて……これじゃ」
『どちらかというと、僕ら寄り。という事ですか』
「だねぇ~、さて一体誰が率先としてるのか、およ?」
『どうしました?』
「いや、ちょっと……ねぇ庄吾、これどう思う?」

 突然神妙な面持ちになった菜倉が庄吾に詰め寄ると持っていた手紙の一枚を手渡す。
 そこに書かれているのを読み進めていくと、庄吾もまた神妙な面持ちへと変貌する。

『逸れた使徒の一人。間宮 結奈の捜索に出た騎士団一個中隊が半壊……ですか。それにグローゲン砦で大量の死者。生存者無し』
「どう思う?」
『……断定は出来ませんが、可能性としては有るかと』
「だよねぇ~」
『どうしたの?さっきから二人して難しい顔して』

 会話についていけてないシャーリーが少し拗ねた口調で問いかけるが、二人の雰囲気からして悪いものではないというのは分かっていた。

『僕らの親友が何かヤラカシたんじゃないかって話です』
『ショウゴ達の親友?ってハヤマ・ユヅルって人?でもその人って……』

 菜倉や庄吾達は独自のルートで弓弦の失踪について調べ上げていた。それに伴ってハルバドという町で滞在してるときに行方不明になったのは既に突き止め、死亡しているだろうことは知っていたが、二人は弓弦が死んだなどとは一切考えていなかった。

 あの男がいくら自分たちよりもずっと弱くなったといってもそれは表面上だけのもので、簡単に死ぬような玉ではない事を二人はよく知っていたからだ。

 それと同時にホルバドで一人の貴族と三人の冒険者が謎の不審死を遂げた事も知っていた。
 余りにも杜撰な死に様に誰かの逆恨みか、逆襲にでもあったのだろうと流されていたのだが、その貴族について調べていくと、弓弦の嫌いなタイプの人間だということがはっきりと分かった。

 それが失踪前なのか、後のことなのかは分からないが、どちらにせよ弓弦がやったのは間違いないだろうとあたりをつけていたのだが、それ以降全くと言っていいほどに弓弦に関する情報は無くなり、本当に死んだのかと思う日もあったが、殺してもゾンビとなって蘇ってきそうな弓弦を思い出すと、そんな考えもどこかへ消し飛んでしまった。

 そして今回の騎士団の半壊とグローゲン砦での大量虐殺。
 騎士団については不明だが、グローゲン砦については菜倉も庄吾もある程度のことは知っていた。

 何せ菜倉の相手をする顧客には奴隷関連のお客も少なくない為、グローゲン砦についての話題は事欠かなかった。庄吾は庄吾で菜倉からの話を聞いてケモ耳ふわふわ尻尾の奴隷がいると聞いて割と本気を出して獣人族について調べていた時期があったからだ。

「まぁ確証があるわけじゃないし、詳しくはこれから調べないとだけど」
『こんな無茶苦茶な事をするのは彼以外考えられませんし』
「一回死んだくらいじゃ復活してそうなバグキャラだしねぇ~アハハッ」
『……私が言うのもなんだけど、普通死んだら終わりだと思うのだけど』

 全くもってその通りである。
それでも弓弦が死ぬ姿など想像出来ないというのが、菜倉と庄吾の共通の認識であるのは間違いなかった。

「普通ならね。でも、なんていうか弓弦はどう見ても異常だから普通なんて枠に入れて考えない方が良いよ♪」
『ですね。生存本能が凄まじいのか適応能力が異常過ぎるというか……兎に角人外レベルなのは間違いないですね。シャーリーもいずれ会う事になるので覚えておいて下さいね』
『本当に人間なの?その子……』
「……」
『……』
『……え?』

 シャーリーの呟きに菜倉と庄吾は二人で顔を見合わせると、苦悶の表情を浮かべて思い悩むだけで何も話してくれない……そんな二人の姿に若干引きながら戸惑うようにユラユラ、オロオロとするが残念ながら肉眼では今のシャーリーを二人は捉える事が出来ていない。

「ま、まぁ兎に角今は情報収集だね!」
『そうですね。移動手段はもうすぐで完成しますので安心して下さい』
「りょーかい!騎士団についても調べておくね♪」
『え?え?え?』

 一人取り残され気味のシャーリーだったが、いつの間にか話の段取りが決まっていってしまい何かを言う前にはそれぞれが自分の持ち場へと戻ってしまった。

『……どんな人なのよ、ユヅルさんって』






投稿が遅くなり大変申し訳ありませんorz
次回からは第4章へと突入し、以前話した通り登場人物の紹介をしていきます!
 
 尚、少し思いついた小説がありますのでまた近いうちに投稿したいと考えていますのでよければそちらもご覧下さい。

これからも『頭にきたから異世界潰す』をよろしくお願い致します。
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