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第二章 蝿!!!
ラブレター
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携帯を片手にひとり街をゆく、スラっとした背丈の少女がいた、陸海天である。彼女が学校へと向かっていると、不意に後ろから呼び止められた。聞き慣れた声に振り返ると、天の同級生であるおたふく顔で眼の小さい女子、月野光がいた。
「おはー天」
「ああ…」
天はぶっきらぼうに返事すると、また歩くのを再開した。光は彼女の横に並ぶと、携帯の画面を覗き込んで来た。画面には今が旬の、映画やドラマで引っ張りだこな若手の男性アイドルが写っていた。光は顔に似合わない黄色い声を上げた。
「キャー○田君カッコイイ!いいなァ~!ウチも○田君みたいなイケメンとお近づきになりたいなァ~!」
その言葉に、思わず天は鼻で笑った。
フンッ!おかめ納豆のアンタが?天地がひっくり返ってもありえないわよ。現実と鏡でも見たらどうなの?今は平安時代じゃねーのよ。
「あっ、イケメンと言えば天のお兄さんも結構カッコイイよねー、背高いしさー」
天は、信じられないといった様子で首をかしげた。
「…ハァ?マジで言ってんの?あのバカが?あいつトイレは長いし、たまにパンツ1枚で家の中うろつくし、絶対頭ン中空っぽだよ」
「…辛辣ゥ~。そういやこの前、天のお兄さんと女の人が一緒に歩いてるの見たよ、おかっぱのキレイな人」
一呼吸開けて、天は呟いた。
「へぇ…趣味の悪い女もいるもんだね」
「つーか前から気になってたんだけど、お兄さんの髪って、あれ染めてんの?」
「………」
それから二人は学校に着くと玄関に向かった。天が靴箱をおもむろに開けると、中に封筒が一通、置いてあった。
彼女は辟易した様子で無造作にそれを拾い上げると、封を開けて中に入っていた手紙に目を通した。どうやら彼女に対する恋文のようだった。
『拝啓、親愛なる天へ。今、僕は重い病気を患っている。どんな特効薬だろうとこの病は治せやしない。その病名は恋。そう、恋の病だよ、不治のね。君のたおやかに揺れるその黒髪が、ah…僕を狂わせる。その触れれば傷つけてしまいそうな白い柔肌が、woo…僕を虜にさせる。君のせいだよ。oh…このままでは死んでしまいそう、君へのLOVEで。君は天使?それとも悪魔?いや、どっちでも構わない。今の僕は飢えた狼、月に向かって慟哭する哀しき獣だよ。アオーン、アオッアオッアオーン、ガルルル…』
「キショッ」
天は手紙を、鼻をかんだちり紙のようにクシャクシャに丸めた。光がニヤニヤしながら言った。
「なになに~、またラブレター?天、モテるよねー」
「まーね、ブ男どもが毎日毎日ホントウザイ」
「マジ面食いだよねー天って」
近くのゴミ箱に手紙を乱暴にダンクシュートすると、天は気だるげに呟いた。
「だってイケメンじゃない男とかゴミじゃん、ブサイクとか…視界にすら入れたくないんだけど」
「マジ…辛辣ゥ~」
その後、靴を履き替え、二人が階段を上っていると、一人の甘いマスクを持った男子生徒が、数人の女子生徒をはべらせながら降りてきた。
彼の名は羽賀翔(はがかける)、天より1つ先輩で学校一のプレイボーイである。そこらのアイドル顔負けの容姿を持ち、何をせずとも女が寄って来る天性の女たらしだ。
横をすれ違う瞬間、天は彼と一瞬だが眼が合った。
「……」
羽賀は何も言わず爽やかに口角を上げた。彼が去った後、光が上機嫌な様子で言った。
「やだー羽賀先輩ウチの事見てた♡」
「…へぇ」
アンタじゃねーよ、おかめ納豆。
天は心の中でそう、毒づいた。
「おはー天」
「ああ…」
天はぶっきらぼうに返事すると、また歩くのを再開した。光は彼女の横に並ぶと、携帯の画面を覗き込んで来た。画面には今が旬の、映画やドラマで引っ張りだこな若手の男性アイドルが写っていた。光は顔に似合わない黄色い声を上げた。
「キャー○田君カッコイイ!いいなァ~!ウチも○田君みたいなイケメンとお近づきになりたいなァ~!」
その言葉に、思わず天は鼻で笑った。
フンッ!おかめ納豆のアンタが?天地がひっくり返ってもありえないわよ。現実と鏡でも見たらどうなの?今は平安時代じゃねーのよ。
「あっ、イケメンと言えば天のお兄さんも結構カッコイイよねー、背高いしさー」
天は、信じられないといった様子で首をかしげた。
「…ハァ?マジで言ってんの?あのバカが?あいつトイレは長いし、たまにパンツ1枚で家の中うろつくし、絶対頭ン中空っぽだよ」
「…辛辣ゥ~。そういやこの前、天のお兄さんと女の人が一緒に歩いてるの見たよ、おかっぱのキレイな人」
一呼吸開けて、天は呟いた。
「へぇ…趣味の悪い女もいるもんだね」
「つーか前から気になってたんだけど、お兄さんの髪って、あれ染めてんの?」
「………」
それから二人は学校に着くと玄関に向かった。天が靴箱をおもむろに開けると、中に封筒が一通、置いてあった。
彼女は辟易した様子で無造作にそれを拾い上げると、封を開けて中に入っていた手紙に目を通した。どうやら彼女に対する恋文のようだった。
『拝啓、親愛なる天へ。今、僕は重い病気を患っている。どんな特効薬だろうとこの病は治せやしない。その病名は恋。そう、恋の病だよ、不治のね。君のたおやかに揺れるその黒髪が、ah…僕を狂わせる。その触れれば傷つけてしまいそうな白い柔肌が、woo…僕を虜にさせる。君のせいだよ。oh…このままでは死んでしまいそう、君へのLOVEで。君は天使?それとも悪魔?いや、どっちでも構わない。今の僕は飢えた狼、月に向かって慟哭する哀しき獣だよ。アオーン、アオッアオッアオーン、ガルルル…』
「キショッ」
天は手紙を、鼻をかんだちり紙のようにクシャクシャに丸めた。光がニヤニヤしながら言った。
「なになに~、またラブレター?天、モテるよねー」
「まーね、ブ男どもが毎日毎日ホントウザイ」
「マジ面食いだよねー天って」
近くのゴミ箱に手紙を乱暴にダンクシュートすると、天は気だるげに呟いた。
「だってイケメンじゃない男とかゴミじゃん、ブサイクとか…視界にすら入れたくないんだけど」
「マジ…辛辣ゥ~」
その後、靴を履き替え、二人が階段を上っていると、一人の甘いマスクを持った男子生徒が、数人の女子生徒をはべらせながら降りてきた。
彼の名は羽賀翔(はがかける)、天より1つ先輩で学校一のプレイボーイである。そこらのアイドル顔負けの容姿を持ち、何をせずとも女が寄って来る天性の女たらしだ。
横をすれ違う瞬間、天は彼と一瞬だが眼が合った。
「……」
羽賀は何も言わず爽やかに口角を上げた。彼が去った後、光が上機嫌な様子で言った。
「やだー羽賀先輩ウチの事見てた♡」
「…へぇ」
アンタじゃねーよ、おかめ納豆。
天は心の中でそう、毒づいた。
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