人喰い吸血鬼は恋をした

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「ヴィクトリア!」

草を踏み分ける足音が聞こえて、嬉しくなりすぐ音に駆け寄った。
ヴィアは私をしっかりと抱き止めてくれる。
柔らかい薔薇の匂い...間違いなく大好きなヴィアだ。

「今日は何をするの。」
「わたしね、花冠を作りたいの」
「花冠...?」

早速、お婆ちゃんに貰った本をヴィアに見せてみる。
「自然との遊び方」っていう本らしい。
わたしは読めないけど、ヴィアなら読めるはず。

ヴィアは本を手に取ってくれたようだ。パラパラとページを捲る音がした。

「作れそう?」
「.....」

間が開く。...難しいのかな。

「ヴィア...?」
「ん、ああ、これね。作れるわ」

そう言うなり、ヴィアは私の手を取った。

「少しだけ、日陰に移動しましょう。」
「うん」

今の時期、日向は少し暑い。涼しい木陰の方が居心地良いのは確かだった。

道中ら私のペースに合わせて、ヴィアがゆっくりと歩いてくれる。その気遣いが嬉しくて、ヴィアの手をぎゅうっと握った。



大きな木の下に移動したようだ。
葉っぱがざわめく音と、何羽もの鳥達が羽ばたく音が聞こえた。

それから、ヴィアは近くの花を二本手折った。
「まずね、花をこうするの」

私の手を、ヴィアの手が包み込む。そっと私の指を動かして、花の茎と茎を重ねた。
続けて、花をぐるりと回す。そして端にきゅっと寄せた。
ヴィアは三本目の花を手に取り、また花を重ねてくれる。そして茎を回し、また次の花を重ね...それを繰り返した。

太陽が一番高くなった頃。ヴィアに抱き締められたときみたいに、陽射しが暖かく体を包んでいた。

「如何かしら?」

とうとう、花冠が完成したみたいだ。
ゆっくりと形を確かめてみる。
手触りの良いお花が、ちゃんと輪っかになっていた。お婆ちゃんに聞いていた通りの花冠が出来たんだ。

「すごい...!ほんとに作れちゃうなんて...!」

ヴィアが微笑む気配がした。
持っていた花冠をヴィアがそっと手に取り、私の頭に被せてくれる。

「よく似合っているわ」

優しい声が、耳に柔く響く。今まで感じたことのない胸の高鳴りを覚え、思わず頬が熱くなる。もう、大好きだ。
ヴィアの背中に手を回して、「ありがとう」と伝える。ヴィアはそれに応え、言葉の代わりに強い抱擁で返してくれた。

ああ、ヴィアの体温が心地良い。
もう直ぐ病気で死ぬことでさえ、忘れてしまいそうな程に。

迫り上がる咳を喉の奥に押し込んで、一番大好きなこの瞬間を噛み締めた。

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