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第十一話・お父さんが考えた灼熱怪獣25トン
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その日は朝から気温25度の日だった──気温は午前中グングンと上昇して、昼には真夏日に到達した。
「あじぃぃ……なんだ、この異常な猛暑は」
パンツ一丁で、タライに入れた水に両足を入れて、溶けかけのアイスキャンデーをしゃぶりながらオレは暑さに敗北してダウンしていた。
オレが冷房もあまり効果がない部屋で、ボンネットの上で焼けた半熟目玉焼き状態になっていると、涼しい顔で瞬間移動してきたマヤが言った。
「お父さん、だらしないよ……娘の前で」
「そんなコト言っても……この警報級の暑さなら、仕方がないだろう……マナは平気なのか?」
「こんなもん、宇宙の暑さに比べれば屁のカッパ……表面温度が二万五千度の青色恒星に比べれば、この程度の暑さヌルいよ」
「そりゃそうだけれど」
オレとマヤがそんな会話をしていると、ビキニ水着姿の月影さんが勝手に家に入ってきた。
「サルいるぅ……あっ、いたいた」
「月影さん、あなたまでマヤの真似してサルだなんて」
「別にいいじゃない、あたしマヤさまと契約結んだから」
「契約?」
「地球を侵略できたら、マンコ・カパック星人の仲間に加えてくれるんだって……それまでは、マヤさまの言葉に従って、お父さんの補佐はするけれど……本心は地球侵略」
「それでいいのか……地球人としてのプライドは無いのか!」
「んなもん、最初から無い……侵略できたら、名前も月影・マンコに改名する」
オレは水着の胸を張る月影さんを眺めて「コイツ、マヤに洗脳でもされているんじゃねぇ?」と、思った。
月影さんが言った。
「ところで、空に二つの太陽が出ているんだけれど……アレなに?」
「なにぃぃぃ?」
オレは急いで窓から空を見た、いつもの太陽と並んで顔がある奇妙な太陽が浮かんでいた。
西洋絵画に描かれているような、濃い顔の太陽がそこにあった。
オレには、その太陽に見覚えがある。
「灼熱恒星魔獣『ソル』……この暑さはアイツのせいだったのか」
灼熱恒星魔獣『ソル』──炎の魔獣、いずれは太陽を呑み込んで、太陽そのものになることを望んでいる、体重設定は子供の発想で、よくわからない25トン。
マヤが言った。
「う~ん、あの怪獣で世界を焼き尽くしてもいいんだけれど……それだと、侵略後の損失が大きすぎるね」
時々オレは、娘のマヤは本気で地球侵略をしたいのか……したくないのか悩むようになった。
マヤがブツブツと呟く声が聞こえた。
「焼け跡から文明を地球のサルに再建させないといけないから、動植物の被害はできる限り避けたい」
その時──マヤの腹から着信を知らせるメロディーが鳴って、マヤは腹の袋からトランシーバーのような機器を取り出した。
「もしもし、異次元の怪獣工場の責任者さん……何かありましたか……えっ、災害怪獣が数体逃げ出して、こっちに向かっている……了解しました」
トランシーバーを、ヘソ出し腹の袋に収納してマヤがオレに言った。
「お父さん、子供の時に灼熱怪獣以外にも、災害怪獣シリーズ描いたでしょう」
オレは、うなづく。
描いた……妖怪シリーズとか、おとぎ話シリーズとか、季節イベントシリーズでいろいろ描いた。
「その怪獣たちが、こちらに向っているらしいよ……お父さん変身だ! 灼熱恒星魔獣を倒せ!」
オレはマヤの言葉に条件反射で家から、パンツ一丁で飛び出すと巨大ヒーローに変身した。
◇◇◇◇◇◇
空に浮かぶ灼熱恒星魔獣『ソル』の笑い声が響き渡る。
「ワハハハハハハッ」
笑うたびに気温が上昇していく。
オレは暑さに頭がクラクラした。
(み、水……水くれ)
巨大ヒーローのマスクは脱げない、すでに立っているのがやっとだった。
家の方を見ると月影さんが、暑さで倒れていた。
(使えねぁ)
月影さんを日陰で介抱しているマヤが言った。
「仕方ない……こんな方法はチートで使いたくないけれど緊急事態だから……復活させる、甦れ『キング・コロネ』」
正義の顔をしたロボット侵略怪獣、キング・コロネが甦り。
太陽に向って弓を引く、キング・コロネが放った矢は灼熱恒星魔獣の横を通過して、太陽に向って飛んでいった。
オレが叫ぶ。
「狙うのはそっちじゃない!」
ソルが笑う。
「ワハハハハハハッ」
暑さでキング・コロネが溶けはじめて、機械生命体怪獣は沈黙した。
「使えねぇ」
オレも限界だった、一刻も早くマスクを脱いで水分補給をしたかった。
その時──オレは背後からの冷気を感じて振り返る。
異次元から建物の空間を突き破って、白毛のマンモス魔獣が現れた。
マンモス魔獣の額には、雪女が帆船のフィギュアのように付いている。
名無しの冷凍凍結魔獣だった。
さらにオレは、左右から風圧と豪雨を感じて見た。
右側に四枚の翼を生やした、ウロコに覆われた翼竜型の名無しの台風竜巻魔獣。
左側には顔が魚類のカジキに似た、名無しの豪雨魔獣が雨の中に立っていた。
(やべぇ、四体の厄災魔獣が一度に⁉)
オレが、どの魔獣から倒せばいいのか困惑していると魔獣たちは、勝手にバトルをはじめてしまった。
「ワハハハハハハッ」
灼熱恒星魔獣に、冷凍凍結魔獣の冷凍波が炸裂する。
台風竜巻魔獣と豪雨魔獣が激突する。
25分を待たずして、四体の魔獣は互いに潰しあって自滅した。
石化して転がる魔獣たち、オレは安堵する。
「良かった四体が一度に攻撃してきたら、どうなったコトか……んッ、待てよあと三体災害魔獣を描いたような? 夫婦魔獣と仲が良いもう一体を」
オレがそう思った時──大地が割れて、倒れている四体の魔獣を亀裂に呑み込んで閉じた。
名無しの大地激震魔獣──描いた直後に大きな地震があったので、怖くなって消しゴムで消してエンピツの線しか残っていない魔獣だった。
そして、あと二体──稲妻落雷魔獣のメスと津波高波魔獣のオス……あの二体も怖くなって消しゴムで消した。
(消しゴムで強く消した怪獣は現れないのか……それとも見えないだけで)
オレは災害の怪獣はできるなら、出現しないコトを祈った。
「あじぃぃ……なんだ、この異常な猛暑は」
パンツ一丁で、タライに入れた水に両足を入れて、溶けかけのアイスキャンデーをしゃぶりながらオレは暑さに敗北してダウンしていた。
オレが冷房もあまり効果がない部屋で、ボンネットの上で焼けた半熟目玉焼き状態になっていると、涼しい顔で瞬間移動してきたマヤが言った。
「お父さん、だらしないよ……娘の前で」
「そんなコト言っても……この警報級の暑さなら、仕方がないだろう……マナは平気なのか?」
「こんなもん、宇宙の暑さに比べれば屁のカッパ……表面温度が二万五千度の青色恒星に比べれば、この程度の暑さヌルいよ」
「そりゃそうだけれど」
オレとマヤがそんな会話をしていると、ビキニ水着姿の月影さんが勝手に家に入ってきた。
「サルいるぅ……あっ、いたいた」
「月影さん、あなたまでマヤの真似してサルだなんて」
「別にいいじゃない、あたしマヤさまと契約結んだから」
「契約?」
「地球を侵略できたら、マンコ・カパック星人の仲間に加えてくれるんだって……それまでは、マヤさまの言葉に従って、お父さんの補佐はするけれど……本心は地球侵略」
「それでいいのか……地球人としてのプライドは無いのか!」
「んなもん、最初から無い……侵略できたら、名前も月影・マンコに改名する」
オレは水着の胸を張る月影さんを眺めて「コイツ、マヤに洗脳でもされているんじゃねぇ?」と、思った。
月影さんが言った。
「ところで、空に二つの太陽が出ているんだけれど……アレなに?」
「なにぃぃぃ?」
オレは急いで窓から空を見た、いつもの太陽と並んで顔がある奇妙な太陽が浮かんでいた。
西洋絵画に描かれているような、濃い顔の太陽がそこにあった。
オレには、その太陽に見覚えがある。
「灼熱恒星魔獣『ソル』……この暑さはアイツのせいだったのか」
灼熱恒星魔獣『ソル』──炎の魔獣、いずれは太陽を呑み込んで、太陽そのものになることを望んでいる、体重設定は子供の発想で、よくわからない25トン。
マヤが言った。
「う~ん、あの怪獣で世界を焼き尽くしてもいいんだけれど……それだと、侵略後の損失が大きすぎるね」
時々オレは、娘のマヤは本気で地球侵略をしたいのか……したくないのか悩むようになった。
マヤがブツブツと呟く声が聞こえた。
「焼け跡から文明を地球のサルに再建させないといけないから、動植物の被害はできる限り避けたい」
その時──マヤの腹から着信を知らせるメロディーが鳴って、マヤは腹の袋からトランシーバーのような機器を取り出した。
「もしもし、異次元の怪獣工場の責任者さん……何かありましたか……えっ、災害怪獣が数体逃げ出して、こっちに向かっている……了解しました」
トランシーバーを、ヘソ出し腹の袋に収納してマヤがオレに言った。
「お父さん、子供の時に灼熱怪獣以外にも、災害怪獣シリーズ描いたでしょう」
オレは、うなづく。
描いた……妖怪シリーズとか、おとぎ話シリーズとか、季節イベントシリーズでいろいろ描いた。
「その怪獣たちが、こちらに向っているらしいよ……お父さん変身だ! 灼熱恒星魔獣を倒せ!」
オレはマヤの言葉に条件反射で家から、パンツ一丁で飛び出すと巨大ヒーローに変身した。
◇◇◇◇◇◇
空に浮かぶ灼熱恒星魔獣『ソル』の笑い声が響き渡る。
「ワハハハハハハッ」
笑うたびに気温が上昇していく。
オレは暑さに頭がクラクラした。
(み、水……水くれ)
巨大ヒーローのマスクは脱げない、すでに立っているのがやっとだった。
家の方を見ると月影さんが、暑さで倒れていた。
(使えねぁ)
月影さんを日陰で介抱しているマヤが言った。
「仕方ない……こんな方法はチートで使いたくないけれど緊急事態だから……復活させる、甦れ『キング・コロネ』」
正義の顔をしたロボット侵略怪獣、キング・コロネが甦り。
太陽に向って弓を引く、キング・コロネが放った矢は灼熱恒星魔獣の横を通過して、太陽に向って飛んでいった。
オレが叫ぶ。
「狙うのはそっちじゃない!」
ソルが笑う。
「ワハハハハハハッ」
暑さでキング・コロネが溶けはじめて、機械生命体怪獣は沈黙した。
「使えねぇ」
オレも限界だった、一刻も早くマスクを脱いで水分補給をしたかった。
その時──オレは背後からの冷気を感じて振り返る。
異次元から建物の空間を突き破って、白毛のマンモス魔獣が現れた。
マンモス魔獣の額には、雪女が帆船のフィギュアのように付いている。
名無しの冷凍凍結魔獣だった。
さらにオレは、左右から風圧と豪雨を感じて見た。
右側に四枚の翼を生やした、ウロコに覆われた翼竜型の名無しの台風竜巻魔獣。
左側には顔が魚類のカジキに似た、名無しの豪雨魔獣が雨の中に立っていた。
(やべぇ、四体の厄災魔獣が一度に⁉)
オレが、どの魔獣から倒せばいいのか困惑していると魔獣たちは、勝手にバトルをはじめてしまった。
「ワハハハハハハッ」
灼熱恒星魔獣に、冷凍凍結魔獣の冷凍波が炸裂する。
台風竜巻魔獣と豪雨魔獣が激突する。
25分を待たずして、四体の魔獣は互いに潰しあって自滅した。
石化して転がる魔獣たち、オレは安堵する。
「良かった四体が一度に攻撃してきたら、どうなったコトか……んッ、待てよあと三体災害魔獣を描いたような? 夫婦魔獣と仲が良いもう一体を」
オレがそう思った時──大地が割れて、倒れている四体の魔獣を亀裂に呑み込んで閉じた。
名無しの大地激震魔獣──描いた直後に大きな地震があったので、怖くなって消しゴムで消してエンピツの線しか残っていない魔獣だった。
そして、あと二体──稲妻落雷魔獣のメスと津波高波魔獣のオス……あの二体も怖くなって消しゴムで消した。
(消しゴムで強く消した怪獣は現れないのか……それとも見えないだけで)
オレは災害の怪獣はできるなら、出現しないコトを祈った。
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