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第一章二部〜龍の迷宮編〜
第十話 奈落
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「うっ、」
頭が痛い、それにここはどこだ?
目を覚まし、ゆっくりと体を起こしてから辺りを見回すと、その全貌は薄暗くあまりよく見えなかったが、洞窟のような場所にいることはわかった。
なんでこんなところにいるんだっけ?
俺は頭を打ったせいか記憶が曖昧になっていた。だが、すぐに思い出した。
「ああ、そうか。俺、裏切られたんだったな……」
俺はさっき自分が味わったとてつもない屈辱思い出す。同じクラスメイトに殺されそうになった。
「うぅっ、うぉおぇぇ」
俺はその記憶を思い出すと、吐いてしまった。
「はぁぁ、はぁ」
俺は少し落ち着いてから、仰向けになる。
「なんで生きてんだよ?俺」
俺は天井見ながら、乾いた目で呟いた。
もう、涙すら出ないなんてな
それから俺は起き上がり、自分のステータスでも確認してみる。
しかし、『ステータス』と叫んでも何も起こらなかった。
「ついにステータスまで出なくなったか……」
俺はもう何もする気にならなかったが、ここにいたところでどうなるわけでもないので、行く先も定まらないままボロボロの身体を引きずりながら歩き始めた。
「ん?なんだこれ?」
俺は少し進んだ先で、赤色に光る石を見つけた。この暗い洞窟の中、この石だけは赤だとはっきりわかった。
「………」
俺はその石に強力な引力でもあるかのように石を拾い、ポケットに入れた。それから少し経つと、頭痛も引き始め、辺りの視界が良好になっていく。そこで俺はあることに気づいた。
「…モンスターがいない?」
そう、ここにはモンスターの気配が全くなかったのだ。俺はあの迷宮から落ちてここにいるはず。ならばここも迷宮……。
その不気味さに警戒しながらさらに進む。
「……あれからどのくらい経ったんだ?……そろそろお腹も空いてきたな…」
落ちた場所からそこそこ歩いたところでお腹が鳴り始める。
「…俺の死因は転落死じゃなくて餓死か?…まぁ、死ぬのはどっちも一緒か……」
俺は食料になりそうな物も探しながら、ゆっくりと歩く。少し行くと、何か動く気配がした。何かに対して威圧を放っている様に見える。そして一歩近づくにつれ、威圧感が増していく。その威圧感に俺は覚えがあった。
「…なんだ?」
俺がさらに近づいてみると、そこにいたのは先程と同種のキマイラだった。
「グヴゥゥ」
キマイラはまだこちらに気づいていない様子で、何かのモンスターを食事中だった。俺はその光景を見て、また吐いてしまう。
「グヴゥグゥ」
そのせいで、俺はキマイラに見つかってしまった。
くっ、しまった
俺はすぐに逃げようとした。しかし、キマイラのヘビのような尻尾が俺を薙ぎ払う。
「ぐはっ」
吹き飛ばされた俺の体は、壁にめり込みいくつかの骨を折られ、内臓も少しばかり破裂でもしたのだろう。口から大量の血を吐いた。そして俺は地面に倒れ込み、動かなくなっていた。
早く…早く逃げなきゃ……
痛みでも脳も麻痺しているのか、それとも脊髄でもやられたのか。今の俺の身体は、ピクリとも動かない。
俺はただ悔しかった。非力な自分が、理不尽な世界になすがままにされる自分が、悔しくてたまらなかった。死と隣り合わせになって、初めて人間という存在を理解する。生命を理解する。俺の死は何の犠牲になるのか、俺は何の為に死ななければならないのか。
「………ぐ、ぐやじぃ…うぐっ、死にたくねぇ……」
「グギャャャウ!!」
キマイラの起こした風が俺を持ち上げ、吹き飛ばす。激しく地面に打ち付けられる身体に、保てる意識もないに等しかった。
カラカラン
吹き飛ばされた衝撃で、ポケットに入れていた赤い石ころが転がる。気づけば俺は、その石を手に取っていた。
【……小僧、その石に強く念じてみろ】
突然どこかから声がした。
「!?」
はっきりとした意識はないが、それでも異様な出来事に驚いてしまう。
【…死にたくないだろう?なら力を貸してやる。その石に強く念じてみろ。『強くなりたい』と】
その声の主が誰かなんて分からない。正直、そんなことを考えてる余裕もない。俺は言われた通り、石に向かって『強くなりたい』と念じてみた。
【はっ、足りねぇな~。…生きたいと、強くなりたいと心の底から願え!じゃねぇと本当に死ぬぞ】
「だ……ま、れ、……お、れは、」
俺は目を瞑り、生きることの意味を考える。クラスメイト達からも浮き、信用できると思った人からも裏切られ、この世界では一人ぼっち、何も残らない。
それだけだろうか。
俺はさらに思い出す。俺の世界はこの世界だけじゃない。父さんも母さんも、おじさんもおばさんも、凛もいる。俺のいるべき世界はここじゃない。
その時、手に握りしめていた赤い石が粉々に砕け散った。
【ふっ、生意気な小僧だ。まぁいい。合格だ。力をくれてやる。】
すると、俺の中から俺を包み込むように白い光が溢れ出てくる。温かく優しい光は、俺の傷を癒し、元気を与えてくれる。
「これは……」
【そいつは魔素、魔力の素だ。もう立ち上がれるな。慣れないかもしれないが、今のお前ならその力ならアレも容易に倒せるだろう】
「お前は一体………」
【俺のことは後だ。それよりアレをまずどうにかしろ】
俺は頷くと、キマイラの方に振り向く。すると、もうすでに目の前までキマイラが迫っていた。そしてキマイラは、振りかぶった前足で俺を殴ろうとする。
「!?」
先程までとは打って変わって、俺の目には、目の前のキマイラの動きが、完全に止まっているように見えていた。
頭が痛い、それにここはどこだ?
目を覚まし、ゆっくりと体を起こしてから辺りを見回すと、その全貌は薄暗くあまりよく見えなかったが、洞窟のような場所にいることはわかった。
なんでこんなところにいるんだっけ?
俺は頭を打ったせいか記憶が曖昧になっていた。だが、すぐに思い出した。
「ああ、そうか。俺、裏切られたんだったな……」
俺はさっき自分が味わったとてつもない屈辱思い出す。同じクラスメイトに殺されそうになった。
「うぅっ、うぉおぇぇ」
俺はその記憶を思い出すと、吐いてしまった。
「はぁぁ、はぁ」
俺は少し落ち着いてから、仰向けになる。
「なんで生きてんだよ?俺」
俺は天井見ながら、乾いた目で呟いた。
もう、涙すら出ないなんてな
それから俺は起き上がり、自分のステータスでも確認してみる。
しかし、『ステータス』と叫んでも何も起こらなかった。
「ついにステータスまで出なくなったか……」
俺はもう何もする気にならなかったが、ここにいたところでどうなるわけでもないので、行く先も定まらないままボロボロの身体を引きずりながら歩き始めた。
「ん?なんだこれ?」
俺は少し進んだ先で、赤色に光る石を見つけた。この暗い洞窟の中、この石だけは赤だとはっきりわかった。
「………」
俺はその石に強力な引力でもあるかのように石を拾い、ポケットに入れた。それから少し経つと、頭痛も引き始め、辺りの視界が良好になっていく。そこで俺はあることに気づいた。
「…モンスターがいない?」
そう、ここにはモンスターの気配が全くなかったのだ。俺はあの迷宮から落ちてここにいるはず。ならばここも迷宮……。
その不気味さに警戒しながらさらに進む。
「……あれからどのくらい経ったんだ?……そろそろお腹も空いてきたな…」
落ちた場所からそこそこ歩いたところでお腹が鳴り始める。
「…俺の死因は転落死じゃなくて餓死か?…まぁ、死ぬのはどっちも一緒か……」
俺は食料になりそうな物も探しながら、ゆっくりと歩く。少し行くと、何か動く気配がした。何かに対して威圧を放っている様に見える。そして一歩近づくにつれ、威圧感が増していく。その威圧感に俺は覚えがあった。
「…なんだ?」
俺がさらに近づいてみると、そこにいたのは先程と同種のキマイラだった。
「グヴゥゥ」
キマイラはまだこちらに気づいていない様子で、何かのモンスターを食事中だった。俺はその光景を見て、また吐いてしまう。
「グヴゥグゥ」
そのせいで、俺はキマイラに見つかってしまった。
くっ、しまった
俺はすぐに逃げようとした。しかし、キマイラのヘビのような尻尾が俺を薙ぎ払う。
「ぐはっ」
吹き飛ばされた俺の体は、壁にめり込みいくつかの骨を折られ、内臓も少しばかり破裂でもしたのだろう。口から大量の血を吐いた。そして俺は地面に倒れ込み、動かなくなっていた。
早く…早く逃げなきゃ……
痛みでも脳も麻痺しているのか、それとも脊髄でもやられたのか。今の俺の身体は、ピクリとも動かない。
俺はただ悔しかった。非力な自分が、理不尽な世界になすがままにされる自分が、悔しくてたまらなかった。死と隣り合わせになって、初めて人間という存在を理解する。生命を理解する。俺の死は何の犠牲になるのか、俺は何の為に死ななければならないのか。
「………ぐ、ぐやじぃ…うぐっ、死にたくねぇ……」
「グギャャャウ!!」
キマイラの起こした風が俺を持ち上げ、吹き飛ばす。激しく地面に打ち付けられる身体に、保てる意識もないに等しかった。
カラカラン
吹き飛ばされた衝撃で、ポケットに入れていた赤い石ころが転がる。気づけば俺は、その石を手に取っていた。
【……小僧、その石に強く念じてみろ】
突然どこかから声がした。
「!?」
はっきりとした意識はないが、それでも異様な出来事に驚いてしまう。
【…死にたくないだろう?なら力を貸してやる。その石に強く念じてみろ。『強くなりたい』と】
その声の主が誰かなんて分からない。正直、そんなことを考えてる余裕もない。俺は言われた通り、石に向かって『強くなりたい』と念じてみた。
【はっ、足りねぇな~。…生きたいと、強くなりたいと心の底から願え!じゃねぇと本当に死ぬぞ】
「だ……ま、れ、……お、れは、」
俺は目を瞑り、生きることの意味を考える。クラスメイト達からも浮き、信用できると思った人からも裏切られ、この世界では一人ぼっち、何も残らない。
それだけだろうか。
俺はさらに思い出す。俺の世界はこの世界だけじゃない。父さんも母さんも、おじさんもおばさんも、凛もいる。俺のいるべき世界はここじゃない。
その時、手に握りしめていた赤い石が粉々に砕け散った。
【ふっ、生意気な小僧だ。まぁいい。合格だ。力をくれてやる。】
すると、俺の中から俺を包み込むように白い光が溢れ出てくる。温かく優しい光は、俺の傷を癒し、元気を与えてくれる。
「これは……」
【そいつは魔素、魔力の素だ。もう立ち上がれるな。慣れないかもしれないが、今のお前ならその力ならアレも容易に倒せるだろう】
「お前は一体………」
【俺のことは後だ。それよりアレをまずどうにかしろ】
俺は頷くと、キマイラの方に振り向く。すると、もうすでに目の前までキマイラが迫っていた。そしてキマイラは、振りかぶった前足で俺を殴ろうとする。
「!?」
先程までとは打って変わって、俺の目には、目の前のキマイラの動きが、完全に止まっているように見えていた。
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