プラヴィテル・ヴレーメニ〜異世界召喚された俺は時を支配して神を超える〜

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第一章一部〜異世界へ〜

第九話 光の戦士

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 雨宮はキマイラと睨み合っている。互いに牽制し合っている様子だ。いや、どちらかと言えば、雨宮の方が押しているも気がする。
そして両者の睨み合いは雨宮が先に動いたことによって崩れ落ちる。

「『召喚』!」

 ウィン!!!

 雨宮の叫び声と同時に、雨宮の手に魔法陣が現れる。そこから、光輝く神秘的なオーラを放った剣が現れた。勇者に選ばれし者が持つにふさわしい様な...例えるなら聖剣、だろうか。そんな剣握り締め、雨宮はキマイラに向かって走り出す。

「はあああ!!!!!」

 雨宮は気合いのある斬撃をキマイラに与える。

 ザンッ!!

「ギャァァグヴゥゥ!!」

 キマイラは悲鳴のような雄叫びを上げながら、後退する。よく見ると、肩に大きな傷ができていた。

 な、なんだよ!これ!なんで、雨宮がこんな力……

 俺の頭の中は混濁していた。確かにクラスメイト達はステータス補正という異世界召喚の恩恵を受けていた。しかし、これは明らかに別格。その域を超える凄まじさを肌で感じていた。

「グギャャャウ!!!」

 今度はキマイラが反撃する。キマイラは口から青白い光線を放つ。

「『マジック=シールド』!!」

 雨宮の言葉とともに半透明な膜が現れて、雨宮を覆い、攻撃を防ぐ。まるで夏の花火を見ているようだった。そして、雨宮はキマイラの攻撃を諸共せず、続けて魔法を放つ。

「『フレイム=バースト』!!」

 雨宮が叫びながら手をかざすと、雨宮の手の前に魔法陣が現れて、そこから、渦を巻いた火炎がキマイラを襲った。

「ギャァァグヴゥゥ!!!グギャャャウ!!!」

 雨宮はキマイラに反撃する余地すら与えない。すると雨宮はこちらに向かって

「小鳥遊さん、彼を回復してあげて」

「う、うん」

 小鳥遊に指示をする。
 小鳥遊も目の前で起こっていることが信じられないのか、混乱しているようにも思えた。

「さて、そろそろ終わりにするか」

 雨宮は剣を握り締め、もう一度キマイラに対峙する。見るとキマイラの体全体は黒く焼け焦げていて、もうだいぶ弱っていた。

「『ブースト』!」

 雨宮の体がオレンジに光る。そして、キマイラに向かって走り出した。

「はぁぁぁぁ!!!!」 

 雨宮は飛んで、キマイラの真上まで行く。
 その跳躍はまるで背中に翼でも生えているのではないかと、疑うほどだった。

「『ホーリー・ブラスト』!!!!」

 雨宮が叫ぶと、剣が光を放ち、巨体化する。そしてそのままキマイラに振り下ろす。

「ギャァァァグヴゥギャァァ!!!」

 キマイラは断末魔の叫びとともに真っ二つに引き裂かれる。

 終わったのか?

 そして雨宮はゆっくりとこちらに向かう。その姿は先程までの雨宮とは見違えるほどであった。

「ふぅ、案外弱かったな」

 雨宮の手から剣が消える。雨宮は唖然として腰を抜かしてしまっている俺を見た。

「大丈夫かい?」

 雨宮は俺たちの無事を確認する。

「あ、ああ、大丈夫だ」

ピシッ

 自分が助かっこともそうだが、今の雨宮も中々信じられるものではなかった。そして雨宮は元の髪色に戻り、俺や小鳥遊を手を引っ張り立ち上がらせる。

色々聞きたいこともあったが、今はここから出ることが優先だろう。俺は出口に向かう為、歩き出そうとした。

「うぐっ!……おっふぇぁ」

痛い。お腹が焼けるように痛い。痛い。身体が動かない。いや、動こうとすればお腹を中心に全身に痛みが入る。

「な……にが…?」

「悪いが神谷君、君はここで脱落してもらうよ」

!?

くっ、どういうことだ!?クソッ、痛みで頭が回らねぇ

「ぐふっ!」

更なる痛みが再び全身に響く。俺はその場に倒れ込んだ。雨宮の方を見上げると、血の付いた剣を握り、立っていた。

た、小鳥遊は……。!?

俺は小鳥遊の方に目を向ける。すると小鳥遊はまるで何もないかのように、爪をいじっていた。

「残念だが彼女は君の味方はしてくれないよ。彼女は元々僕の協力者だからね」

コイツらは何を言ってるんだ!?分からない。考える気力も出なくなってきた。

「じゃあ、これでお別れだ。……また会おう」

雨宮はしゃがみ込み、そう告げた後、耳元で小さくそう呟いた。

そして雨宮は、剣を振りかざし、倒れる俺に突き立てる。

ピシッ、ピシピシ!

ドゴンッ!!

その時、突然足場に亀裂が入り、崩れ落ちる。雨宮と小鳥遊はすぐにその場を離れたが、重傷を負った俺は、何もできずただ落ちていくだけ。

……助けて。

痛みを堪えて手を伸ばすも、その手はどこにも誰にも届かなかった。

 ***

「甘いわね。だから取り逃すのよ」

「すみません。まぁでもあの状態で、この高さから落ちては生きてることもないと思いますけど」

「はぁ、それだと回収が面倒になるでしょう?あなた、先に持って回収してきてよ」

「わかってますよ。『プラヴィテル・ヴレーメニ』なんてモノは、この世界にはいらない。そうでしょう?」

「わかっているなら早くやりなさい。あの方が待ちくたびれてしまうわ」

ダンジョンの闇の中、二人の男女の声はモンスターさえ聞く者はいなかった。

 ***

 悠二達が潜入している間、ダンジョン前では騎士団や残ったクラスメイト達が待機していた。

「あいつら遅いなぁ」

「やっぱダンジョンってモンスターがうじゃうじゃいるんだろうか?」

「やだー、気持ち悪ーい」

 待機しているクラスメイト達は各々、これから始まるダンジョンについていろいろなことを思っていた。

「ん?おい、誰か出てきたぞ」

 そして息を切らしながら出てきたのは上島や委員長ら8名だった。

「どうした!?」

 団長のメリアも戻ってきた者たちを見て、駆け寄ってきた。

「バケモノだ………バケモノが出たんだ……俺たちは雨宮と小鳥遊、神谷を残して……」

 上島はまだ状況を上手く整理できていないのか、途切れ途切れに中でのことを伝えた。

「なっ!そんなことが!」

 上島たちを休ませ、メリア達も中に入ろうとする。

 すると中から人が出てきた。雨宮と小鳥遊だった。
 二人は出てきて、その場に崩れ込んでしまった。
 その姿にみんなが駆け寄る。みんなは何があったのか先に出で来た奴らから事情を聞いていたため、心配していた。
 そして雨宮から悠二のことについて告げられる。それを聞いた先生や委員長は涙を流し、上島たちは信じられないといった表情を浮かべる。

「僕は彼に何もしてあげられなかった!」

 雨宮は悔しそうに膝をつけて、泣いていた。その横で小鳥遊も悠二の名前を呼びながら泣いていた。武田と藤堂もそんな小鳥遊に寄り添う。

「こんなことになるなんて…」

 上島は自分の今までのことを後悔していた。

 そしてその日はみんな悠二に対して黙祷捧げた。みんなが辛辣な表情を浮かべる中、一つのが混ざりこんでいた。
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