転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

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　次の日、領地経営の講義の前に父親が改まった顔でこう告げた。

「リーチェ、そしてラインハルト。昨夜リーナとよおく話し合ったんだが...非常に心苦しいがお前達二人を領地に行かせることにした...」

「えっ!?　本当ですか、お父様!?　ラインハルトと二人で!?」

「あぁ、苦渋の決断ではあるが...」

「やった～♪　嬉しい～♪　良かったね、ラインハルト♪」

「はい、お姉様!　僕も嬉しいです!」

　私達は手を取り合って喜んだ。本当に良かったよ。これでシンシアとラインハルトが離れ離れにならなくて済む。

「お父様、ありがとうございます!」

「ただし!　近況報告はマメにすること!　具体的には一週間に一度必ず手紙を書くこと!　年に二回、夏と冬には必ず帰省すること!　これが守られなかったら、即刻呼び戻すからその積もりでいるように!　分かったね?」

「分かりました!」

　領地に行かせてくれるんならなんだっていい。アレクサンドル王子と離れられるんならどんなことでもする。私は元気良く返事をしていた。

「リーチェ...なんだか随分嬉しそうだね...私とリーナは寂しくて寂しくて仕方ないというのに...君は寂しくないのかい?」

「ちっとも!　ラインハルトが一緒ですし!　ね～♪」

「ね～♪」

　私達は手を取り合ったまま喜び合った。なんならこのまま踊り出したい気分だよ!

「はぁっ...」

　それを見ていた父親が大きなため息を吐いた。

「親は無くても子は育つというが...リーチェ、僕としては君にもっとゆっくり育って貰いたかったもんだよ...」

「あらやだ、お父様ったら。私はまだ10歳のガキンチョですわよ?　お忘れですか?」

「普通の10歳の子はもっと親に甘えるもんだと思うが...」

「甘えてるじゃありませんか?　領地へ行きたいって駄々を捏ねて」

「それは甘えてるとは言わないよ...」

　父親はなんだか頭を抱えてしまった。どうしたんだろう?　私、なんか間違ったこと言った?

「まぁいい...領地へと旅立つのは一週間後を予定している。準備しておくように」

「分かりました!」

「了解です!」

　私達は二人揃って元気良く返事をした。それを父親は苦笑しながら見守っていた。

「あ、お父様。領地経営の勉強の続きはどうなります?」

「あぁ、その点に関しては心配ない。向こうには先代の頃から仕えてくれている家令のエドワードが居るからな。アイツに教わるといい。一筆書いておくから」

「なるほど...分かりました」

　人見知りする私にとってはちょっぴり不安ではあるが、ラインハルトが一緒ならきっと大丈夫!

　私は念願だった領地生活を手に入れて希望に胸を膨らませていた。

「あ、それとお父様。領地でもなにか気になったことがあったら改革しようと思いますので、そのことに関しても協力するように一筆書いて頂けません?」

「分かった。そうしよう」