転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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「お嬢様、寿命が縮む思いでしたよ...だから言ったじゃありませんか...ご無理なさいませんようにと...」

「ごめんなさいね、エドワード。あなたの言う通りだったわ。これからは適度に休息を取ることを約束するから許してちょうだい」

 そう、私は完全に楽観視していた。前世のハードワークに比べたら、こんなもん屁でもないとずっとそう思い込んでいたんだ。

 だが私は、この身がまだ僅か10歳児の体なんだということを完璧に失念していた。

 心は既に成熟した大人ではあるが、体はまだまだ子供のままなのだ。そんな体に無茶をさせたらこうなるのは自明の理で、心と体のバランスが上手く取れていなかったということが原因となるのだろう。

 なのでこれからは体を適度に労ろうと心に決めた。

「手始めに、今日は丸一日お休みにしようと思うの」

「それが良うございます」

「そういうことだから、ラインハルト。今日はずっと一緒よ? なにかしたいこととかある?」

「そうですね...」

 ラインハルトはしばし考え込んだ後、

「僕、お姉様とお出掛けしたいです。この間お伝えしました人気の料理店やスイーツのお店なんかを食べ歩きしたいです」

「いいわね。そうしましょうか」

 こうしてラインハルト、そしてシンシアとの食べ物屋さん巡りが決まった。


◇◇◇


「ウップ...も、もう無理ぃ~...ゲップ...」

「お姉様...食べ歩きなんですから、全ての店で完食しなくでも...」

「お嬢様、行儀悪いですよ?」

 三軒回った辺りでこうなった私のことを、ラインハルトが醒めた目で見詰めて来る。シンシアは呆れたような目付きだ。

 だって仕方ないじゃないか! 前世の私に取ってみたら、食べ物を残すなんてことは絶対に有り得ない行為なんだから! 出された物は無理してでも食べる! 吐く寸前まで! でも勿体ないから、一度食べた物は意地でも吐いたりしない! 貧乏人ってのはこうやって逞しく生きて行くもんなんだよ!

 という私の心の叫びはともかく、

「ちょっと休憩しましょうか。あ、お姉様。お芝居をやってるみたいですよ?」

 そう言われてラインハルトの指差す方を見ると、確かに芝居小屋らしき建物の前に幟が立っているのが見えた。

「ちょうど良かった。観て行きましょう。どんなお芝居をするのか知っておく必要あるものね」

「そうですね」

 私達は芝居小屋に向かった。シンシアが入場券を買っている間、物珍しそうに辺りを見回している私達に声を掛けて来た人物が居た。

「これはこれはベアトリーチェお嬢様。ようこそお越し下さいました」

 その人は例の劇団関係者を集めた説明会で、劇団関係者側の代表みたいな立場にあった人だ。確かへルマンさんって言ったっけ。

 どうやらここはへルマンさんの劇団らしい。
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