転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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「クンカクンカスーハースーハー♪ う~ん♪ これぞマルガの香り~♪」

「フガフガ~♪」

 身長差的に私が抱き締めると、マルガリータの頭の位置はちょうど私の胸辺りになる。

 マルガリータは少し苦しそうにしているが、私はそんなことお構い無しにギュウギュウとマルガリータを力一杯抱き締め、その香りを十分に満喫していたのだが...

「お、お姉様! ちょ、ちょっと落ち着いて下さい! そ、それじゃマルガリータが呼吸できませんよ! な、なんて羨ましい...じゃなくて! 窒息しちゃいますから!」

 ラインハルトの野郎が私とマルガリータを引き離そうとしやがる! なんて無粋な!

「うっせいわっ! 私は今マルガリータ成分の補給に忙しいんじゃい! 邪魔すんじゃねぇ! おめえはシンシアと乳繰り合っていやがれ!」

「えぇ~...」

「お、お嬢様! な、なんてはしたない!」

 あぁもう! ホントに外野がうるせぇな! 私は一切聞く耳持たず、ただ只管マルガリータを抱き締め続けていたのだが、

「あれ? お~い? どうした? マルガ? マルガリータ?」

 私の腕の中でマルガリータの全身から力が抜けてしまった。慌てて体を支えるが、マルガリータは幸せそうな顔で目をトロンとさせながら、

「柔らか~♪ フワフワ~♪ マシュマロ~♪」

 などと呟いていた。


◇◇◇


「コホン、取り乱しちゃってゴメンね。改めて久し振り、マルガ」

「い、いえ、私の方こそ...お久し振りでございます、リーチェ様」

 ある程度堪能し合って満足し合った私達は、急にお互い恥ずかしくなり、ちょっと余所余所しく挨拶を交わした。

 周りの私達を見る視線がやや冷たく感じるのは気のせいだと思うことにしよう。

「それでどう? 変わりないかしら?」

「はい、今のところ全て順調です。温室の数も更に倍に増やしましたし」

「それは良かったわ」

「これも全てリーチェ様のお陰です!」

「そんなことないわ。私はちょっとお手伝いしただけ。マルガを始めとするブルーローズ村のみんなが頑張ってくれたお陰よ。本当にありがとう」

「そんな...リーチェ様ぁ~♪」

「あ、そうそう。今日はね、珍しいお菓子を持って来たのよ。シンシア」

「はいはい」

「リーチェ様...こ、これは!?」

「ね? キレイでしょう? さつまいもをブルーベリーで色付けして、バラの形にしてみたの。名付けて『スイートブルーローズ』よ」

「リーチェ様ぁ~♪ 素晴らしいですぅ~♪ 食べるのが勿体ないくらい~♪」

「レシピを書いて来たから。この村を訪れた人にお土産として売り出してみてちょうだい。きっと売れるわ」

「バカ売れですよ~♪ リーチェ様ぁ~♪ ありがとうございます~♪」
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