転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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「お姉様、お疲れ様でした」

「あなたもご苦労様」
 
 今は三者会談が無事終わったので、ラインハルトと二人でお茶...私はいつものようにコーヒーだが...している所だ。

「これで領内のことは粗方片付いたんじゃありませんか?」

「そうね...」

「まだなにかありますか?」

「私が...いえ、私達がこの地を去った後がちょっと心配なのよね...」

「ロジャーさんでは頼りになりませんか?」

「そういう意味じゃなくてね...なんて言うか...ロジャーさんからはカリスマ性みたいなものを感じたりはしないでしょ?」

「あぁ、確かに...どっちかって言えば、ロジャーさんは調整に長けている人ってイメージありますね」

「私も同感よ。安定期に入った時期ならロジャーさんのようなタイプの人は重用されるべきなんだろうけど、まだまだ過渡期である内は強烈なカリスマ性を発揮する人の方が良かったりするのよね」

「なるほど...ではヘルマンさんは如何です?」

「あの人もロジャーさんと似たようなタイプだから無理ね。それに彼には劇団の方に専念して貰いたいし。同じ理由でオットーさんも無理だわね」

「そうなると難しいですね...」

「えぇ、残りあと二年の間に後継者を見付けて更に教育を施すなんて...さすがにちょっと無理があるわよねぇ...」

「そうなると...せめて引き継ぎの資料を充実させるとかしかないですかね...」

「う~ん...消極的だけどそれしかないかしらねぇ...」

 結局その日、結論は出なかった。


◇◇◇


 マルガリータがウチの屋敷にやって来てから早いもので一年が過ぎた。私とマルガリータは14歳、ラインハルトは13歳になった。

 ということはつまり、領地で過ごせる時間は残りあと一年ということになる。

 この一年でマルガリータは目覚ましい成長を遂げた。既に学力ではラインハルトを上回り、どちらが教師か分からなくなる程になっている。

 女としての成長も進んでいる。小柄なのは相変わらずだが、出るべき所は出て引っ込むべき所は引っ込んでおり、ますます女らしさに磨きが掛かった。女の私でさえ、時折見せるマルガリータの色香にドキッとする程だ。

 領地運営の方も順調で、お芝居と芸術の町という認識が徐々に世間に広まりつつある。観光客の数も次第に増え始めた。

 王都での公演も好評で、こちらの目論見通り王子と平民の娘のラブロマンスは話題になっている。

 ブルーローズの売れ行きも好調で、完全に我が領の目玉商品と相成った。後継者の問題以外は全て順調に推移していた。
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