転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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 ヘルマンさんと世間話をしている間にアンドリューが戻って来た。

「ヘルマンさん、ただいま戻りました」

「お疲れ様」

「アンドリュー、お疲れさん」

「えっ!? ベアトリーチェお嬢様!? どうしてここに!?」

 私が居たことにビックリしたのか、アンドリューの目が点になった。

「あなたの様子を見に来たのよ。真面目に働いてるようでなによりだわ」

「そうだったんですね...事前におっしゃって下さればお出迎えしたものを...」

「そんなことしたら抜き打ちじゃなくなっちゃうじゃないのよ?」

「あぁ、そういうことですか...」

 アンドリューが苦笑している。

「これからも抜き打ちチェックは入るからそのつもりでいてね?」

「分かりました。日々精進を怠ることのないように努めます」

「結構、ところであなたの処女作が舞台化されるらしいわね?」

「はい、そうなんです! 嬉しい限りで...」

「良かったわね。今日から稽古が始まるみたいだって言う話だし。楽しみね」

「あ、そうだった! お嬢様、すいません! 僕は稽古を見に行って来ますね!」

「行ってらっしゃい」

 アンドリューは慌ただしく出て行った。

「お嬢様、バタバタと落ち着きがなくて申し訳ございません。後で注意しておきます」

「あぁ、いいんですよ、ヘルマンさん。気にしてませんから。それよりもアンドリューのことをくれぐれもよろしくお願いしますね?」

「畏まりました」


◇◇◇


「お嬢様、お客様がいらしております」

 屋敷に戻った私にエドワードが来客を告げに来た。

「誰?」

「コルツ村のカルロスさんです」

 これはまたタイムリーなタイミングでの来客だと思った。

「そう。客間にお通しして?」

「畏まりました」

 久し振りに会ったカルロスさんは、なんだか少し老けたように見えた。

「ベアトリーチェお嬢様、お久し振りでございます」

「お久し振りです、カルロスさん。今日はどうしました?」

「はい、たまたま領都に来る用がございまして。ついでに娘の顔を拝んで行こうと思った次第です」

「あら...それは残念ですね...マルガリータは今、王都に行っているんですよ」

「王都...ということは...」

「えぇ、王立学園の入学試験を受けに行っているんです」

「なるほど...もうそんな時期でしたか...」

 カルロスさんが遠い目をした。

「タイミングが悪かったですね...」

「ハハハ...どうやらそのようで...」

「ちなみにカルロスさん、すぐに村へお帰りになる予定ですか?」

「いえ、二、三日は滞在する予定ですが?」

「だったら明日、私に付き合って貰えませんか?」

「えぇ、それは構いませんが...」

 お節介だとは思ったが、親子ケンカの仲裁に一肌脱ごうと思った。
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