転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

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　稽古が終わったようだ。

「アンドリュー!」

　私は貴賓席から手を振ってアンドリューに呼び掛ける。気付いたアンドリューはビックリした表情を浮かべながらも軽く会釈し、急いでこちらまで駆け上がって来た。

「ベアトリーチェお嬢様!　いらっしゃってたんですね!　もっと早くおっしゃって下されば...」

　そこで私の隣に座っているカルロスさんの姿に気付いたようだ。

「アンドリュー、お節介とは思ったんだけど、成長したあなたの姿をカルロスさんに見て貰いたくてね。こちらにお呼びしたのよ」

「......」

　突然の再会にアンドリューが黙り込んでしまった。まぁそれも無理ないわな。

「私は席を外すからお父さんと良く話し合いなさい。カルロスさん、後は任せますね?」

「ベアトリーチェお嬢様...何から何まで本当にありがとうございます...」

　私は清々しい気分で貴賓席を後にした。


◇◇◇


　先に屋敷に戻った私が寛いでいると、しばらく経ってからカルロスさん親子が私を訪ねて来た。

　どうやら和解に至ったらしい。二人とも穏やかな表情を浮かべている。お節介を焼いた甲斐があったというもんだ。良かった良かった。

「本当にありがとうございました...全てはベアトリーチェお嬢様のお陰にございます...」

「いいえ、あなた方が歩み寄れたからですよ。私はほんのちょっとだけお節介を焼いただけですから。これでやっとマルガリータもホッとすることでしょうね」

「えぇ、あの娘にも苦労を掛けました...親として情けない限りです...」

「その分、これからは甘やかしてあげて下さいね?」

「はい...そうします...」

「アンドリュー、私からはなにも言わないわ。マルガリータが帰って来たらあなたからちゃんと伝えるようにしなさい。いいわね?」

「はい...必ず...」

　二人揃って頭を下げた後、仲良く連れ添って帰って行く二人の姿を、私は見えなくなるまで玄関で見送っていた。


◇◇◇


　約一週間後、マルガリータが帰って来た。

「リーチェ様ぁ～!　ただいま戻りましたぁ～!」

「お帰り。どうだった?」

「はい!　自己採点ではかなりいい線行ってると思います!」

「そう。良かったわ。まぁ、あなたなら心配要らないと信じてたけどね」

「恐れ入ります!」

「合格発表はいつなの?」

「一ヶ月後と聞いてます」

「そう。何はともあれお疲れ様。ラインハルトとシンシアも。ゆっくり休んでちょうだい」

『はい!』

「あ、そうだ。マルガ、お兄さんが心配してたから無事に帰って来たって報告しときなさい」

「分かりました」