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「...ご自分でもそうおっしゃってましたっけね...」
私は初対面だったあの日のことを思い出しながらそう言った。
「あぁ、でもね? 実際に会ってみてリーチェに心を惹かれたのは紛れもない事実だったんだよ?」
「...そうだったんですか...」
「じゃなきゃ、君のことを追い掛けて君の領地まで行ったりしないって。いくら母に言われたからといってもね」
アレクサンドル王子は自嘲気味にそう言った。
「楽しかったよ? 君にはすげなくあしらわれるだけだとしても、僕の中では結構ワクワクしながら通っていたもんだった」
「...その節は大変失礼をば...」
「あぁ、いやいや。そこら辺はお互い様なんで気にしないで?」
アレクサンドル王子は今度は苦笑しながらそう言った。
「それにね? そのお陰でマルガリータと出会うことが出来たんだから、寧ろ君には感謝しかないんだよ?」
まあね。こちらの全く意図していなかった形だったとはいえ、二人のキューピット役を果たすことが出来たんだから結果オーライなのかも知れないよね。
「殿下、ちょっとよろしいでしょうか?」
するとここまでずっと沈黙していた私の父親が問い掛けた。
「なんだい?」
「経緯は良く分かりましたが、それとこれがどう猫を被ることに繋がるのか? そこら辺がイマイチ良く分からないのですが?」
「あぁ、それは...」
途端にアレクサンドル王子の顔が曇った。
「僕の兄上の性格を良く知るバレンタイン卿なら察しが付くんじゃないのかな?」
「あぁ、なるほど...兄君の...ジークフリート王子殿下のご不興を買わないためですか?」
「まさにその通り。なにせ兄上は癇癪持ちの上に嫉妬深い人だからね...オマケにいつだって自分が一番じゃないと気が済まない性分と来た日にゃ、間違っても僕の方が上だなんて知られる訳にはいかなかった...じゃないと、なにされるか分かったもんじゃない...」
そう言ってアレクサンドル王子は遠い目をした。どうやらこれまでに何度も嫌がらせを受けて来たっポイな...
「そういうことでしたか...」
父親は神妙な顔付きになった。
「殿下、もう一つだけお聞かせください。まだ王位に就くこうというお気持ちにはなれませんか?」
「それは...」
アレクサンドル王子が口籠もった。
「もし殿下が本気で王位をお望みなら、我がバレンタイン公爵家は全面的にバックアップする構えです。私めは今のジークフリート王子殿下が王位に就くよりもアレクサンドル王子殿下、あなた様に王位に就いていただきたく存じます」
私は初対面だったあの日のことを思い出しながらそう言った。
「あぁ、でもね? 実際に会ってみてリーチェに心を惹かれたのは紛れもない事実だったんだよ?」
「...そうだったんですか...」
「じゃなきゃ、君のことを追い掛けて君の領地まで行ったりしないって。いくら母に言われたからといってもね」
アレクサンドル王子は自嘲気味にそう言った。
「楽しかったよ? 君にはすげなくあしらわれるだけだとしても、僕の中では結構ワクワクしながら通っていたもんだった」
「...その節は大変失礼をば...」
「あぁ、いやいや。そこら辺はお互い様なんで気にしないで?」
アレクサンドル王子は今度は苦笑しながらそう言った。
「それにね? そのお陰でマルガリータと出会うことが出来たんだから、寧ろ君には感謝しかないんだよ?」
まあね。こちらの全く意図していなかった形だったとはいえ、二人のキューピット役を果たすことが出来たんだから結果オーライなのかも知れないよね。
「殿下、ちょっとよろしいでしょうか?」
するとここまでずっと沈黙していた私の父親が問い掛けた。
「なんだい?」
「経緯は良く分かりましたが、それとこれがどう猫を被ることに繋がるのか? そこら辺がイマイチ良く分からないのですが?」
「あぁ、それは...」
途端にアレクサンドル王子の顔が曇った。
「僕の兄上の性格を良く知るバレンタイン卿なら察しが付くんじゃないのかな?」
「あぁ、なるほど...兄君の...ジークフリート王子殿下のご不興を買わないためですか?」
「まさにその通り。なにせ兄上は癇癪持ちの上に嫉妬深い人だからね...オマケにいつだって自分が一番じゃないと気が済まない性分と来た日にゃ、間違っても僕の方が上だなんて知られる訳にはいかなかった...じゃないと、なにされるか分かったもんじゃない...」
そう言ってアレクサンドル王子は遠い目をした。どうやらこれまでに何度も嫌がらせを受けて来たっポイな...
「そういうことでしたか...」
父親は神妙な顔付きになった。
「殿下、もう一つだけお聞かせください。まだ王位に就くこうというお気持ちにはなれませんか?」
「それは...」
アレクサンドル王子が口籠もった。
「もし殿下が本気で王位をお望みなら、我がバレンタイン公爵家は全面的にバックアップする構えです。私めは今のジークフリート王子殿下が王位に就くよりもアレクサンドル王子殿下、あなた様に王位に就いていただきたく存じます」
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