転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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「えっ!? アレク様ってクリスティン嬢とお知り合いなのですか!?」

「まぁね、高位貴族の令嬢なら顔を合わす機会も多いから自然にね」

「あぁ、確かにそうですよね...」

 公爵令嬢なのにずっと領地で引き籠ってた私の方が稀有な例か。高位貴族の令嬢なら、お茶会やお食事会なんかに精を出すのが普通だわな。

 私が転生者だって気付くキッカケとなった、王家主宰のお茶会とかにも呼ばれたりするんだろうな。もしかしたら、あの会場に幼い日のクリスティン嬢が居たのかも知れないね。

 私の、というかベアトリーチェの記憶には全く残ってないけど。恐らく、アレクサンドル王子以外には目もくれなかったんだろうな。

 ともあれ、クリスティン嬢とアレクサンドル王子が既知の関係であるということは良く分かった。ただ私がちょっと気になったのは、

「それにしても、随分と気の置けないような関係であるとお見受けしましたが?」

 クリスティン嬢のことをクリスって愛称呼びにしたり、ヤツとか言ったりしてたもんね。

 まさかとは思うが...浮気とかしてんじゃねぇだろうな? もしそうだったりしたらタダじゃおかない!

 マルガリータというお相手が居るにも関わらず、今の内から浮気なんかしようもんなら断固として婚約を認めんぞ!

「あぁ、そうかもね。クリスってさ、外見は儚げな深窓のお嬢様って感じだけど、実は話してみると案外サバサバしていてね? 逆にちょっと男っぽい感じなんだよ。そのギャップが面白くてさ。お茶会なんかで会う度に良く話してたよ。僕がまだ道化を演じていて、出来の悪い王子だって評判になっていたにも関わらず、僕に話し掛けてくれたのは彼女くらいのもんだったから。そういうのを気にしないところも好感が持てたよ。こう言っちゃさすがに失礼かも知れないけど、男友達みたいな感覚っていうのかな? そんな感じ」

「なるほど...」

 好感...ね...浮気かどうかは微妙なラインだな...そこから好きに発展する可能性だってある訳だから。男と女の間に友情は成立しないと昔から良く言われてるしね。

「それと、間違っても彼女は僕の婚約者候補にすら上がらないという気安さも手伝って、尚更遠慮なく接することが出来たのかもしれないな」

「えっ!? それってどうしてですか?」

 クリスティン嬢の実家は裕福な侯爵家だし、家格も申し分ないはず。家格に拘る王妃様なら、すぐに食い付くような優良物件じゃないのかな?

「ウチの母親とオールトン侯爵が仲悪いからだよ」

「あぁ、なるほど...」

 そういやウチの母親がそんなこと言ってたっけな。思い出したよ。
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