転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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「お嬢様、失礼致します」

 そこにセバスチャンがやって来た。

「どうしたの?」

「旦那様と奥様、それとアレクサンドル王子殿下、マルガリータお嬢様が客間にてお待ちです。どうぞラインハルト様と一緒においでください」

「ラインハルトも一緒に?」

「はい、旦那様はそうおっしゃっておられました」

 心当たりが無い私は、思わずラインハルトと目を合わせた。ラインハルトも訝しげな表情になっているので私と同じらしい。

「分かった。なんの用か知らないけど。ラインハルト、行きましょうか」

「はい」

 私達は連れ立って客間に向かった。 

「失礼します」
 
 客間に着くと、四人が和やかに談笑している光景が目に飛び込んで来た。

「あぁ、リーチェ。呼び出してしまって済まない。ラインハルト、久し振り」

 すると、アレクサンドル王子がわざわざ立ち上がって私達を出迎えてくれた。

「ご機嫌よう、アレク様」

「お久し振りでございます、アレク様」

 ちなみにラインハルトも私に倣ってアレク様呼びしている。

「今日は朗報を届けに来たんだ。お待たせして申し訳なかった。明日、ようやく僕とリータとの婚約を正式発表できる運びとなったよ」

「あぁ、そういうことですか」

 私とラインハルトは目を合わせてお互いに頷いた。ということは明日、私達の婚約も正式発表される運びとなる。

「殿下、立ち話もなんですからお座りください」

「あぁ、こりゃ済まない。嬉しかったんでつい」

 父親に突っ込まれたアレクサンドル王子は、照れ笑いを浮かべながら席に戻った。私達も席に着く。

「今、殿下がおっしゃっられた通りだ。明日、お前達は義姉弟の関係から婚約者同士の関係にシフトチェンジする。今まで通りにはいかない点も多々あるだろうが、二人で協力して乗り越えて欲しい」

「はい、分かりました」

「お任せください」

「リータの方はもっと大変だ。なにせ王位継承権実質第一位のアレクサンドル王子殿下が婚約者なんだからな。より一層気を引き締めて臨むように」

「は、はいぃ...が、頑張りますぅ...」

 マルガリータのヤツ、今日は特大の猫を被っていやがるようだな。素を出さないようにせいぜい頑張れや。

「それとリータにはもう一つ、変わるものがあるのよね」

 続けて母親がなにやら急に変なことを言い出したぞ? 一体なんだ? 私が首を捻っていると、

「明日、リータは正式に我が家の一員になるってことよ」

「えっ!? 養女になる件、まだ口外してなかったんですか!?」

 私はビックリして聞き返していた。もうとっくに発表済みだと思ってたからだ。

「えぇ、婚約発表のタイミングに合わせようと思ってね。サプライズは多い方がいいでしょ?」
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