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第22話 賞金掛け
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「魔物というのはもしかしてドラゴンのことですか?」
「ドラゴン? いやいや、そんな大物じゃのうて、ゴブリンやコボルトのことじゃよ」
「そうでしたか...」
ユウはホッと胸を撫で下ろした。もしかして自分達が追い払ったドラゴンが、村に迷惑を掛けたのかと思ったからだ。もっとも、そうだったとしてもユウ達が責任を感じる必要はどこにもないのだが、要は気分の問題である。後味の悪さを感じなくて良かったということだ。
「そもそも、ドラゴンなんざ出て来られても、儂らじゃ討伐なんぞとても無理じゃわい。それこそ領主様の軍でもなければ到底太刀打ち出来んわ」
領主様と聞いて、リオの体がビクッと反応した。ユウは優しくリオの肩を抱きながら、
「そうなんですね。ええとこの辺りの領主様というと...」
「ガイエル様じゃ」
ガイエルね。コイツがリオの村を襲った張本人か。ユウは頭の中にメモった。
「そのガイエル様が討伐に出向いて来られたんですか?」
「まさか! こんな田舎の村になぞ間違っても来んよ。そういうお方じゃ。それに今は別件で忙しいみたいじゃからな。尚更じゃ」
「別件ですか?」
「あぁ、なんでも獣人の子供が逃げ出したとかでな。探し回っておるという話じゃ。見付けた者には賞金を払うとまで言っとるそうじゃよ? お前さん方も探してみたらどうじゃ?」
そう言って老人はリオに目を止めた。心なしか目の奥が光っているように見える。リオはガタガタ震えている。アリィはさりげなくリオの前に出て、老人の視線を遮った。
「なるほど...状況は良く分かりました。色々と教えて頂きありがとうございます。ではこれで」
「まぁ、待ちなされ。直に暗くなる。今夜は儂の家に泊まりなされ。なんもないとこじゃが、お前さん方を泊めるくらいは出来るぞい」
「ありがたいお言葉ですか、先を急ぎますので。では失礼します」
「あ、ちょっと...」
そう言ってユウは老人の言葉を遮って身を翻した。リオとアリィの肩をしっかりと抱きながら。
「あ、あの、ユウ...」
リオが恐る恐る話し出すのをユウが制する。
「シッ! 今はまだ喋るな」
こうして三人は村を後にした。その後ろ姿を老人は厳しい目付きで睨んでいた。
◇◇◇
村から完全に見えなくなる所まで移動した三人は、平らな所に家を出して休むことにした。リビングに腰を下ろして一息つく。すっかり落ち込んでしまったリオは、申し訳なさそうに呟いた。
「ユウ、アリィ、二人ともゴメンね...リオのせいで...」
「何言ってんだ。悪いのはガイエルとかいうクソ領主だろ?」
「そうですよ。リオちゃんはなんにも悪くありません」
「心配するな。賞金欲しさの野郎どもにリオを渡したりなんかしないから」
「リオちゃんは私達が守ります!」
「二人ともありがとう...」
感極まったリオはついに泣き出してしまった。それをアリィが優しく抱き締める。
「恐らくだが、あの爺さんは気付いてる。村の者を集めてリオを拐いに来るかも知れない。家の周りを囲うようにバリヤを張ったから入って来れないと思うが、念のため今夜は全員リビングで寝よう」
「分かりました」「うん、分かった」
「ドラゴン? いやいや、そんな大物じゃのうて、ゴブリンやコボルトのことじゃよ」
「そうでしたか...」
ユウはホッと胸を撫で下ろした。もしかして自分達が追い払ったドラゴンが、村に迷惑を掛けたのかと思ったからだ。もっとも、そうだったとしてもユウ達が責任を感じる必要はどこにもないのだが、要は気分の問題である。後味の悪さを感じなくて良かったということだ。
「そもそも、ドラゴンなんざ出て来られても、儂らじゃ討伐なんぞとても無理じゃわい。それこそ領主様の軍でもなければ到底太刀打ち出来んわ」
領主様と聞いて、リオの体がビクッと反応した。ユウは優しくリオの肩を抱きながら、
「そうなんですね。ええとこの辺りの領主様というと...」
「ガイエル様じゃ」
ガイエルね。コイツがリオの村を襲った張本人か。ユウは頭の中にメモった。
「そのガイエル様が討伐に出向いて来られたんですか?」
「まさか! こんな田舎の村になぞ間違っても来んよ。そういうお方じゃ。それに今は別件で忙しいみたいじゃからな。尚更じゃ」
「別件ですか?」
「あぁ、なんでも獣人の子供が逃げ出したとかでな。探し回っておるという話じゃ。見付けた者には賞金を払うとまで言っとるそうじゃよ? お前さん方も探してみたらどうじゃ?」
そう言って老人はリオに目を止めた。心なしか目の奥が光っているように見える。リオはガタガタ震えている。アリィはさりげなくリオの前に出て、老人の視線を遮った。
「なるほど...状況は良く分かりました。色々と教えて頂きありがとうございます。ではこれで」
「まぁ、待ちなされ。直に暗くなる。今夜は儂の家に泊まりなされ。なんもないとこじゃが、お前さん方を泊めるくらいは出来るぞい」
「ありがたいお言葉ですか、先を急ぎますので。では失礼します」
「あ、ちょっと...」
そう言ってユウは老人の言葉を遮って身を翻した。リオとアリィの肩をしっかりと抱きながら。
「あ、あの、ユウ...」
リオが恐る恐る話し出すのをユウが制する。
「シッ! 今はまだ喋るな」
こうして三人は村を後にした。その後ろ姿を老人は厳しい目付きで睨んでいた。
◇◇◇
村から完全に見えなくなる所まで移動した三人は、平らな所に家を出して休むことにした。リビングに腰を下ろして一息つく。すっかり落ち込んでしまったリオは、申し訳なさそうに呟いた。
「ユウ、アリィ、二人ともゴメンね...リオのせいで...」
「何言ってんだ。悪いのはガイエルとかいうクソ領主だろ?」
「そうですよ。リオちゃんはなんにも悪くありません」
「心配するな。賞金欲しさの野郎どもにリオを渡したりなんかしないから」
「リオちゃんは私達が守ります!」
「二人ともありがとう...」
感極まったリオはついに泣き出してしまった。それをアリィが優しく抱き締める。
「恐らくだが、あの爺さんは気付いてる。村の者を集めてリオを拐いに来るかも知れない。家の周りを囲うようにバリヤを張ったから入って来れないと思うが、念のため今夜は全員リビングで寝よう」
「分かりました」「うん、分かった」
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