絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

第27話 カロリー補給

　どのくらい走ったのだろうか?

　かなり長い間だったような気がするし、あっという間だったような気もする。とにかく必死でリオフェンリルにしがみ付いていたユウとアリィには、時間の感覚がなくなったように感じられた。やがて...

『ユウ、アリィ...ゴメン...もう限界...お腹空いた...』

　そんな声と共に、リオフェンリルのスピードが落ちて行って、止まったと思ったら、その場に寝そべってしまった。　

　二人は慌ててリオフェンリルから下りる。膝がガクガク震えていて、足元が覚束ない。

「り、リオ、大丈夫か!?」

「リオちゃん、しっかり!」

　するとリオフェンリルの巨体が眩しい光に包まれ、やがて光が消え去った後には...

「ユウ!　あっち向いて!」

「は、はいぃ!」

　全裸姿のリオが横たわっていた。すかさずアリィが毛布を出してリオをくるむ。

「お、お腹空いた...」

「待っててね、リオちゃん。すぐご飯にするから」　　

　ユウは辺りを見回す。街道の真ん中にずっと居る訳にもいかない。誰に見られるか分かったものではない。幸いなことに、ここまで走って来た間は、馬車にも人にも会わなかった。　

「あの茂みの中に移動しよう。木で隠れるから街道からは見えない」

　そう言ってユウは、リオを毛布ごと抱き上げて移動した。茂みの奥の平らになっている所に、アリィがレジャーシートを広げて、そこにそっとリオを下ろす。

「お疲れ様、リオ。頑張ってくれてありがとな」

　そう言ってユウはリオの頭を優しく撫でる。

「えへへ♪　お安いご用だよ～♪　でも...お腹空いた...」

「リオちゃん、何が食べたいですか?　言ってくれれば何でも出しますよ?」

「う～んと、じゃあねぇ...ダブルチーズバーガーのセット、ポテト大盛、ドリンクはオレンジジュースで!　あと、牛丼特盛で!」

「すっかりジャンクフードが好物になっちゃったな。注文の仕方が板に付いてる。しかも凄いカロリーの組み合わせだ」

「ま、まぁ、それだけ頑張って走ってくれたってことですよ。きっと失ったカロリーを補給しようとしてるんです」

　二人揃って苦笑した。


◇◇◇


「いただきま～す♪」

　幸せそうに食べるリオを微笑ましく見守りながら、ユウが立ち上がった。

「アリィ、双眼鏡を出してくれるか?　この先にちょっとした丘があるんだ。その上から周りが見渡せるかも知れない」

「分かりました」

「念のため、二人の周りにバリヤを張っておくから注意してくれ」

「は～い、いってらっしゃい～ 気を付けてね～」
　
　二人に見送られながら、ユウは丘を登って行った。ちなみにユウから離れていても、バリヤが消えることが無いのは実証済みだったりする。

　丘のてっぺんに辿り着いたユウは、辺りを双眼鏡で見回す。すると割と近くに人里が見えた。
　
「村?...いや、規模が大きいな。町ってとこかな?」

　どうやら次の目的地が決まったようである。