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第39話 竜人の矜持
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しばらくすると、少女が目を開けた
周りをキョロキョロと見回している。そして自分の体の状態を確認した。
「気が付いたか?」
ユウが話し掛けると少女は顔を顰めて、
「妾は負けたんじゃな...」
そう諦観したように呟いた。
妾って...ユウは突っ込みたいのを全力で堪える。
「なぜ妾を助けた?」
「それはこの二人に聞いてくれ」
そう言ってアリィとリオを指差す。アリィが先に応える。
「あなたに聞きたいことがあったからです」
「妾に聞きたいこと?」
「はい、あんなに何度も私達を襲って来たのは何故ですか?」
「知れたことよ。妾は負けることを許されておらん。勝つまで何度でも戦うのみ」
「許されないって...誰にですか?」
「里の掟じゃ」
「里というと?」
「竜人の里じゃ。里の中では強さことが全て。弱い者に里での居場所は無い。修行と称して里を追い出される。妾のようにな...」
そう言って少女は遠い目をした。アリィは少女の置かれた過酷な状況に言葉が出ない。ユウが代わりに質問を続ける。
「修行って具体的には?」
「世界各地におる強い魔物を倒すんじゃ。この近辺に伝説の白い魔物が復活したと聞いてな。妾はそやつと戦うために来たんじゃ」
「伝説の白い魔物?」
「あぁ、なんでも巨大な狼の姿をしていて、凶悪で血も涙も無い卑劣で冷酷な魔物だそうじゃ。お主ら、聞いたことは無いか?」
物凄く心当たりがあるんだが...チラッとリオを見るとポカンと呆けているので、どうやら自分の存在がそんな酷い噂を立てられるているとは露ほども思っていなかったようだ。
リオの正体を明かすと面倒なことになりそうなので、ここは二人にアイコンタクトを送ってしらばっくれることにする。
「い、いや、聞いたことはないな...」
「そうか。まぁ、今となってはもうどうでもいいんじゃがの。お主らに負けるようでは、とてもじゃないが妾に勝ち目は無いじゃろうから...」
「そ、そう...なのか?...」
ユウは微妙な表情を浮かべた。
「聞かれたことには答えた。さぁ、殺せ」
「いやいや、なんでそうなる!?」
そんな覚悟完了したみたいに言われても...
「妾は負けた。お主らは勝った。当然のことじゃろう?」
何を当たり前のことを? と言いたげな少女に、なんと答えるべきか判断に迷って、助けを求めるようにユウは二人に目をやった。
「名前...」
リオが蚊の鳴くような声を出す。
「うん?」
「名前聞いていい?」
「聞いてどうする? どうせもうすぐ死」
「いいから答えて!」
リオが今度は強い口調で少女の言葉を遮った。
「ラキ...妾の名はラキじゃ」
「歳は?」
「覚えとらん。途中から数えるのを止めた」
「じゃあ、リオと同じ10歳で!」
やっぱ竜人って見掛け通りの年齢じゃないんだ。何万歳とかなのかな? なんてことをユウはぼんやりと考えていた。
「お主は何が言いたいんじゃ?」
「ラキ! そんな簡単に死んじゃダメだよ!」
「じゃが、お主らに負けた妾に居場所は無い。里に帰ることも出来ん」
「だったら! リオ達と一緒に来ればいいよ!」
リオの言葉に全員が目を丸くした。
周りをキョロキョロと見回している。そして自分の体の状態を確認した。
「気が付いたか?」
ユウが話し掛けると少女は顔を顰めて、
「妾は負けたんじゃな...」
そう諦観したように呟いた。
妾って...ユウは突っ込みたいのを全力で堪える。
「なぜ妾を助けた?」
「それはこの二人に聞いてくれ」
そう言ってアリィとリオを指差す。アリィが先に応える。
「あなたに聞きたいことがあったからです」
「妾に聞きたいこと?」
「はい、あんなに何度も私達を襲って来たのは何故ですか?」
「知れたことよ。妾は負けることを許されておらん。勝つまで何度でも戦うのみ」
「許されないって...誰にですか?」
「里の掟じゃ」
「里というと?」
「竜人の里じゃ。里の中では強さことが全て。弱い者に里での居場所は無い。修行と称して里を追い出される。妾のようにな...」
そう言って少女は遠い目をした。アリィは少女の置かれた過酷な状況に言葉が出ない。ユウが代わりに質問を続ける。
「修行って具体的には?」
「世界各地におる強い魔物を倒すんじゃ。この近辺に伝説の白い魔物が復活したと聞いてな。妾はそやつと戦うために来たんじゃ」
「伝説の白い魔物?」
「あぁ、なんでも巨大な狼の姿をしていて、凶悪で血も涙も無い卑劣で冷酷な魔物だそうじゃ。お主ら、聞いたことは無いか?」
物凄く心当たりがあるんだが...チラッとリオを見るとポカンと呆けているので、どうやら自分の存在がそんな酷い噂を立てられるているとは露ほども思っていなかったようだ。
リオの正体を明かすと面倒なことになりそうなので、ここは二人にアイコンタクトを送ってしらばっくれることにする。
「い、いや、聞いたことはないな...」
「そうか。まぁ、今となってはもうどうでもいいんじゃがの。お主らに負けるようでは、とてもじゃないが妾に勝ち目は無いじゃろうから...」
「そ、そう...なのか?...」
ユウは微妙な表情を浮かべた。
「聞かれたことには答えた。さぁ、殺せ」
「いやいや、なんでそうなる!?」
そんな覚悟完了したみたいに言われても...
「妾は負けた。お主らは勝った。当然のことじゃろう?」
何を当たり前のことを? と言いたげな少女に、なんと答えるべきか判断に迷って、助けを求めるようにユウは二人に目をやった。
「名前...」
リオが蚊の鳴くような声を出す。
「うん?」
「名前聞いていい?」
「聞いてどうする? どうせもうすぐ死」
「いいから答えて!」
リオが今度は強い口調で少女の言葉を遮った。
「ラキ...妾の名はラキじゃ」
「歳は?」
「覚えとらん。途中から数えるのを止めた」
「じゃあ、リオと同じ10歳で!」
やっぱ竜人って見掛け通りの年齢じゃないんだ。何万歳とかなのかな? なんてことをユウはぼんやりと考えていた。
「お主は何が言いたいんじゃ?」
「ラキ! そんな簡単に死んじゃダメだよ!」
「じゃが、お主らに負けた妾に居場所は無い。里に帰ることも出来ん」
「だったら! リオ達と一緒に来ればいいよ!」
リオの言葉に全員が目を丸くした。
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