絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

真理亜

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第42話 賑やかな我が家

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「今戻ったぞ」

 ラキはドラゴンの姿で普通に会話して来た。右腕に大きなリュックをぶら下げている。そして一瞬光ったと思ったら、次の瞬間には人間の姿になっていた。もちろん全裸で。

「ユウっ!」

「はいはい...」

 アリィがバスタオルでラキの姿を包む。

「あぁ、済まん。服はリュックの中なんじゃ」

「いえいえ、私が出しますからバスタオルを握ってて下さい」

 そう言ってリュックを開けようとするアリィをユウが止める。

「なぁ、そのままお風呂に入れてあげたらどうだ? 血で汚れてるだろ?」

「それもそうですね。ラキちゃんもそれでいいですか?」

「なんと!? 風呂に入れるのか!? それはありがたい! 是非ともそうさせて貰おう!」

「分かりました。ではこちらに」

「それとちゃん付けは止めてくれんか? 妾は子供じゃないんでな」

 確かに。見た目が幼いからそう思えないが、この中の誰よりも年長であることは間違いない。

「そうでしたね...ではラキ、一緒にお風呂に入りましょう」

「頼む」

 アリィとラキを見送った後、ユウはまだ寝ているリオを抱っこして家の中に運んだ。リオをソファーに寝かせてからフトンも回収しようと思ったが、面倒なんで止めた。後でアリィに消して貰えばいい。

「さてと、あいつらが風呂から上がって来る前になんか作っておいてやるか」

 そう言って冷蔵庫の中身を確認する。

「ひき肉に卵、タマネギもあるのか。ハンバーグでも作るかな。みんな肉好きだしな」

「ハンバーグ!」

 その言葉に反応してリオが飛び起きる。いや、どんだけ食い意地が張ってんだ!?

「ハンバーグ作ってくれるの!?」

 リオが目をキラキラさせている。

「あぁ、作ってやるから、先に風呂入って来い。今、アリィとラキが入ってるから」

「分かった!」

 言うが早いかパッと服を脱いで風呂に飛んで行く。

「なんだか急に娘が三人できたみたいで賑やかだな」

 日本に居た頃、一児の父だったユウはそう言って苦笑した。そして娘に逢いたくなってちょっぴり寂しくなった。

 頭を振り気持ちを切り替えると、まずはひき肉と卵をよく和える。終わったら少し寝かせてその間にタマネギをみじん切りにする。涙を堪えながら切ったタマネギを軽くフライパンで炒める。炒めたタマネギとひき肉をよく和える。

 手の平大の大きさに成形してからフライパンで炒めていると、

「良い匂いじゃな」

 ラキが風呂から上がって来た。リオと違ってちゃんとパジャマを着ている。やはり年の功と言ったところか。

「ハンバーグって言うんだ。ちょうど焼き上がったから食ってみるか? 熱いから気を付けろよ?」

 そう言って皿に載せ、フォークと一緒に渡す。

「あふ...ふぅふぅ...ん!? う、美味い! これも美味いぞ!」

 お気に召したようだ。

「リオも食べる~!」

「もう! リオちゃんったらまた! ちゃんと服を着なさ~い!」

 こちらは相変わらずらしい。二人の異世界娘を風呂に入れたアリィが、ぐったり疲れた様子で戻って来た。疲れを取るはずの風呂で疲れるって一体...

「アリィ、お疲れ様...」

「えぇ、疲れましたとも...」

 アリィのやさぐれ状態はしばらく続いたとさ。
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