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第51話 冒険者登録
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翌朝になると雨はすっかり上がった。
今夜には領都に移動できそうだなと思っていたユウにラキが尋ねる。
「そう言えばお主ら、領都に入るためのパスを持っておるのか?」
「いや、持ってないが、ベントの町みたいに通行税を払って通行証を貰えばいいんだろ?」
「この辺りの田舎町ならそれでいいが、領都はちと面倒じゃぞ? 犯罪歴の有無を調べられたりするからの」
「なに!? どうやって調べるんだ!?」
「魔力じゃよ」
「魔力!?」
「あぁ、犯罪を犯した者は魔力を記録されるから、その記録と照合して犯罪歴の有無を調べるんじゃ。過去に犯罪を犯した者はその時点で跳ねられる場合もあると聞く」
要はこっちの世界では、魔力を指紋の代わりにしてチェックするってことか。
「それじゃ過去に一度でも犯罪を犯した者は、二度と町に入れないってことか?」
「犯罪の程度によるらしいの。軽犯罪程度ならまだしも、重犯罪ならアウトとかの。要は身分証を持ってないと、そのチェックを受けるのに時間が掛かるということじゃ」
「身分証というと?」
するとラキは自分のリュックを漁って何かを取り出した。
「これじゃ。冒険者カード。これを持っておればスムーズにチェックを受けられる。お主ら、冒険者ギルドにおったじゃろ? 妾の牙を売った時。作っておらんかったのか?」
「あぁ、そう言えば...作りますか? って言われて断った記憶が...」
「そうだったのか? 作っておけば良かったのに。なんなら今からでも作りに行くか? どうせ夜まで暇じゃしの」
「そうだな。そうするか」
「作って貰うのに1人10万ディナル掛かるが、一度作ってしまえばどこの町に行こうとも通行税は掛からんぞ?」
「そうなのか?」
「もっとも通行税なんぞ昔は無かったがの。今の領主はとことん腐っておるな」
「確かにな」
ユウとラキは揃って苦笑した。
「ベントの町に戻るの?」
リオが尋ねる。
「あぁ、また子犬になってくれるか?」
「分かった!」
それを聞いてラキが目を見張る。
「なんと! あの子犬はリオだったのか!? ずっとアリィが抱いておったよな?」
「そうだよ~!」
「たまげたな...大きさを変えられるとは...」
「ラキは変えられないのか?」
「人間の姿なら出来るが、本体の姿では無理じゃよ。というか、他の獣人でも無理なんじゃないか? 聞いたことないぞ?」
「そうなのか? リオ?」
「う~ん...分かんない!」
異世界の謎がまた一つ増えた。
「ところで、なぜ子犬になっていたんじゃ?」
「獣人とバレないためだよ。最初に立ち寄った村で、フードを深く被っていたら怪しまれてな」
「なるほどな。バンダナやカチューシャだと獣の耳が潰れて気の毒じゃしな」
「そういうこと。じゃあ早速行くとするか」
◇◇◇
「アリィ、重くないか? なんなら妾が代わっても」
「ダメです! これは私の役割なんです!」
今はベントの町への移動中。子犬モードのリオの可愛さにやられたのか、ラキが抱っこしたがっている。だがアリィは譲らない。
「じゃあ帰りに」
「ダメです! リオちゃんは私のなんです!」
『あ、あの、リオはどっちでも...』
「何か言いましたか?」
アリィがとっても良い笑顔で返す。
『なんでもないです...』
◇◇◇
冒険者ギルドは朝から賑わっていた。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「冒険者登録をしたいんだ。俺とこの娘だ」
そう言ってユウはアリィを指差す。ちなみに受付嬢はこの間と同じ人だった。
「畏まりました。ではこちらの用紙に必要事項を記入して下さい」
記入するため、泣く泣くリオをラキに渡すアリィ。ラキは満面の笑みだ。
「記入しましたら、こちらの水晶にタッチして下さい。魔力を登録します」
ユウとアリィの順で水晶にタッチする。
「カードが出来上がるまで1時間くらい掛かります。ここでお待ちになりますか?」
「外に出てもいいのか?」
「構いません。こちらの番号札をお持ち下さい」
「ありがとう。じゃあみんな、出来上がるまで町をブラブラするか?」
「「『 賛成~! 』」」
今夜には領都に移動できそうだなと思っていたユウにラキが尋ねる。
「そう言えばお主ら、領都に入るためのパスを持っておるのか?」
「いや、持ってないが、ベントの町みたいに通行税を払って通行証を貰えばいいんだろ?」
「この辺りの田舎町ならそれでいいが、領都はちと面倒じゃぞ? 犯罪歴の有無を調べられたりするからの」
「なに!? どうやって調べるんだ!?」
「魔力じゃよ」
「魔力!?」
「あぁ、犯罪を犯した者は魔力を記録されるから、その記録と照合して犯罪歴の有無を調べるんじゃ。過去に犯罪を犯した者はその時点で跳ねられる場合もあると聞く」
要はこっちの世界では、魔力を指紋の代わりにしてチェックするってことか。
「それじゃ過去に一度でも犯罪を犯した者は、二度と町に入れないってことか?」
「犯罪の程度によるらしいの。軽犯罪程度ならまだしも、重犯罪ならアウトとかの。要は身分証を持ってないと、そのチェックを受けるのに時間が掛かるということじゃ」
「身分証というと?」
するとラキは自分のリュックを漁って何かを取り出した。
「これじゃ。冒険者カード。これを持っておればスムーズにチェックを受けられる。お主ら、冒険者ギルドにおったじゃろ? 妾の牙を売った時。作っておらんかったのか?」
「あぁ、そう言えば...作りますか? って言われて断った記憶が...」
「そうだったのか? 作っておけば良かったのに。なんなら今からでも作りに行くか? どうせ夜まで暇じゃしの」
「そうだな。そうするか」
「作って貰うのに1人10万ディナル掛かるが、一度作ってしまえばどこの町に行こうとも通行税は掛からんぞ?」
「そうなのか?」
「もっとも通行税なんぞ昔は無かったがの。今の領主はとことん腐っておるな」
「確かにな」
ユウとラキは揃って苦笑した。
「ベントの町に戻るの?」
リオが尋ねる。
「あぁ、また子犬になってくれるか?」
「分かった!」
それを聞いてラキが目を見張る。
「なんと! あの子犬はリオだったのか!? ずっとアリィが抱いておったよな?」
「そうだよ~!」
「たまげたな...大きさを変えられるとは...」
「ラキは変えられないのか?」
「人間の姿なら出来るが、本体の姿では無理じゃよ。というか、他の獣人でも無理なんじゃないか? 聞いたことないぞ?」
「そうなのか? リオ?」
「う~ん...分かんない!」
異世界の謎がまた一つ増えた。
「ところで、なぜ子犬になっていたんじゃ?」
「獣人とバレないためだよ。最初に立ち寄った村で、フードを深く被っていたら怪しまれてな」
「なるほどな。バンダナやカチューシャだと獣の耳が潰れて気の毒じゃしな」
「そういうこと。じゃあ早速行くとするか」
◇◇◇
「アリィ、重くないか? なんなら妾が代わっても」
「ダメです! これは私の役割なんです!」
今はベントの町への移動中。子犬モードのリオの可愛さにやられたのか、ラキが抱っこしたがっている。だがアリィは譲らない。
「じゃあ帰りに」
「ダメです! リオちゃんは私のなんです!」
『あ、あの、リオはどっちでも...』
「何か言いましたか?」
アリィがとっても良い笑顔で返す。
『なんでもないです...』
◇◇◇
冒険者ギルドは朝から賑わっていた。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「冒険者登録をしたいんだ。俺とこの娘だ」
そう言ってユウはアリィを指差す。ちなみに受付嬢はこの間と同じ人だった。
「畏まりました。ではこちらの用紙に必要事項を記入して下さい」
記入するため、泣く泣くリオをラキに渡すアリィ。ラキは満面の笑みだ。
「記入しましたら、こちらの水晶にタッチして下さい。魔力を登録します」
ユウとアリィの順で水晶にタッチする。
「カードが出来上がるまで1時間くらい掛かります。ここでお待ちになりますか?」
「外に出てもいいのか?」
「構いません。こちらの番号札をお持ち下さい」
「ありがとう。じゃあみんな、出来上がるまで町をブラブラするか?」
「「『 賛成~! 』」」
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