絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

第73話 王都への旅路

　子供達はずっと風呂に入れて貰えなかったということなので、取り敢えず、男女に分かれて風呂に入れてあげることにした。

　女の子達はリオが面倒を見て、男の子達はユウが面倒を見ることになった。アン、ドウー、トロウのウサギ獣人三姉妹はそれぞれ１０歳、８歳、６歳で、キャトル、サンク、シスの猫獣人三兄弟はそれぞれ８歳、６歳、５歳とのこと。

　一気に騒がしくなった家の中で、アリィは甲斐甲斐しく全ての子供達の面倒を見ていた。全員分の着替えを用意し、バスタオルや普通のタオルを人数分用意し、風呂上がりには冷たい飲み物を全員に配った。

　その間、ラキだけは我関せずとばかりにソファーで爆睡していた。風呂から上がった子供達も、その側にフトンを並べて夜まで休ませることにした。慣れない牢屋生活で疲れが溜まっているだろうから、その辺りを考慮してあげた。


◇◇◇


　やがて夜になって出発する時間になった。ラキがドラゴンに、リオがフェンリルの姿になると、子供達から「おぉっ!」歓声が上がった。

　ラキに男性陣がリオに女性陣が乗ることになった。

「では行くか。リオよ、疲れたら無理せずにすぐ言うんじゃぞ?　妾も出来るだけゆっくり飛ぶからの?」

『うん、分かった!』

　やがてゆっくり飛び上がったラキの後を、リオが走って付いて行くという形で、王都ドリスへ向けての旅がスタートした。

　ラキはリオに気を使って、なるべく街道沿いを飛んでいる。そうして約３時間くらい進んだ所で、

『ゴメン...もう限界...』

　燃費の悪いリオの燃料が切れたようだ。今夜はここまでということで、辺りに適当な空き地を探す。良さそうな場所を見付けたので、ここを夜営地にすることに決めた。

　アリィが家を出す。腹ペコなリオは食料を補充する。子供達は全員おねむのようなので、リビングにフトンを並べて休ませることにした。

「今夜だけでどれくらい進んだかな?」

　ユウ達大人組は爆食いしているリオの側で、コーヒー片手に語り合っていた。
　
「ん～...どうじゃろ...３分の１くらいかのぅ...」

　ラキがちょっと考えながらそう言った。

「そうか、じゃあ後２、３日は掛かりそうだな。アリィ、食材を多目に出しといてくれるか?」

「分かりました。育ち盛り食べ盛りの子供達ばっかりですもんね」　

　アリィが腕まくりしながら答える。

「肉を多目で!　野菜は少な目で!　いっそ無くてもいいよ!」

　すると食べ続けていたリオが割り込んで来た。

　それを聞いた大人組は揃って苦笑した。