絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

真理亜

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第74話 王都ドリス

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 それから3日後、夜陰の中に王都の外壁が薄らと見えて来た。
 
「見えたぞ。あれが王都じゃ」

 ラキの言葉にユウは宵闇の中、目を凝らす。王都をグルっと囲い外敵から守るように聳える外壁は、優に5mを越える高さを誇り、闇の中でも圧倒的な存在感を放っている。

 トリスランド王国の王都ドリスは人口20万人を越える大都市で、都市部中央の小高い丘の上に聳える王城を軸に、東西南北へと放射線状に街路が伸び、それに沿ってキレイに区画整理された街並みが広がっている。

 ラキの背に乗り、上空から魔石灯の灯りが仄かに照らす光景を見たユウは、いっそ幻想的にすら見えるその景色にしばし見惚れた。

「そろそろ降りるぞ? これ以上近付くと視認されるかも知れん」

 そう言ってラキは高度を下げ、リオフェンリルに声を掛ける。

「リオ、スピードを落とせ。今夜はここらで夜営地を探す」

『分かった!』

 やがて近くに良さそうな空き地を見付けたラキは、リオフェンリルをその場所に誘った。

「今夜はここで休むとしよう」

「このまま入らないのか?」

 ユウは早く入りたくウズウズしている様子だ。

「子供連れだということを忘れるな。こんな夜更けに子供をゾロゾロ引き連れて歩いていたら、怪し過ぎる事この上ないじゃろが」

「うっ! た、確かに...」

 ユウは何も言えなくなった。


◇◇◇

 
 翌朝、朝食を取ってから歩いて王都を目指す。リオを含めて獣人の子供達は、念のためフードを深く被りケモ耳を隠すことにした。

 王都には東西南北に4つの通用門が設置されている。ユウ達は王都で一番利用者の多い東の通用門から入ることにしたのだが、既に早朝から長蛇の列だった。

 ちなみに怪しまれないように、大人3人がそれぞれ何人かの子供達を連れるという形にした。ラキは大人モードになりウサ耳少女2人を受け持ち、ユウは猫耳少年達を受け持ち、アリィはウサ耳少女とリオを受け持った。

 それが功を奏したのか、特に誰何されることもなくすんなりと中に入ることが出来た。初めて来た王都は圧巻の一言だった。

 通りを埋め尽くす人の群れ、行き交う荷馬車、軒を連ねる商店からの呼び込みの声、領都ダレスを遥かに上回る喧騒にしばし立ち尽くした。

「凄いな...ここアメ横じゃないよな...」

「私、行ったこと無いんで分かりませんが、こんな感じなんですか?」

 ユウとアリィが異世界組にしか分からない言葉で話していると、

「ほれ、お主ら。ボーッとしとらんでさっさと行くぞ? 獣人街はこっちじゃ」

 そう言ってラキは先導し始めた。



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