王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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「諸君、良く聞いてくれ。非常事態だ。全員自分の部屋に戻って鍵を閉め、一歩も外に出歩かないように」

 ミハエルは重々しい口調でそう言った。

「で、でも...ミハエル殿下、ライラさんが...ライラさんが...」

 床にへたり込んだままのファリスが悲痛な声を上げる。

「ライラのことは僕達に任せて欲しい。必ず見つけ出すから安心してくれ」

 ミハエルがそう言うと、三人は渋々従って自分の部屋に戻って行った。

「ライラ...どこに行ったんだ...一体なにがあったんだ...必ず...必ず見付けるからな...どうか無事でいてくれ...」

 一人になったミハエルは拳を握り締めてそう呟いた後、足早に騎士団の詰め所へと向かった。


◇◇◇


「う、うーん...あれ!?...ここは!?...」

 その頃、ライラはようやく目を覚ました。辺りは真っ暗で自分がどこにいるのか分からないが、どうやら固い床の上に寝転がっているようだ。

「あ、痛っ!」

 起き上がろうとしたが後頭部に鈍い痛みが走り、顔を顰めてまた寝転がってしまった。

「うぅ...」

 やがて暗闇に目が慣れてきたのか、薄らぼんやりではあるが少しずつ辺りが見えてきた。

「ここは...牢屋!?」

 頭を揺らさないよう慎重に体を起こすと、目の前に鉄格子が嵌まっているのが見えた。

「あ、そうか...私、後ろから殴られて気絶したんだ...」

 ようやく記憶が戻ってきた。ミハエルの秘書官に殴られた記憶が。

「あんの秘書官め! 良くもやりやがったな! 今度会ったらただじゃおかない!」

 記憶と共に怒りがフツフツと湧いてきた。

「それにしても...ここどこよ?」

 ライラは鉄格子を掴んで力を入れてみたが、当然ながらびくともしない。どうやら自分は拉致られたようだ。秘書官の秘密を握ってしまったために。

「とにかく、なんとかしてここから逃げ出さなきゃ! って、あ痛たたたた!」

 ちょっと力を入れると後頭部が痛む。ライラはそっと後頭部を擦ってみた。どうやらかなり出血したようで、擦った手には血がべっとりと付いた。

「うぅ...頭がくらくらする...」

 ライラは鉄格子に凭れながらまた気を失った。


◇◇◇


「騎士団長! 大変だ! ライラが拐われた!」

 騎士団の詰め所に着くなり、ミハエルは大声で叫んだ。

「な、なんですとぉ~!?」

「只今より厳戒態勢に移行する! 誰もこの後宮から外に出すな!」

「わ、分かりました! 直ちに!」

 詰め所に緊迫感が漂う。騎士団員達が慌ただしく動き回った。

「ルイス! ルイスはいるか?」

「はい、こちらに」
 
 ルイスはシレッとミハエルの前に顔を出した。

「王宮に行って国王陛下に伝えろ! 王都に外出禁止令及び出入禁止令を出すようにと!」

「はい、直ちに」

 あくまでも冷静にルイスは命令に従うふりをした。
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