空間魔法って実は凄いんです

真理亜

文字の大きさ
26 / 462

王宮での日常

しおりを挟む
「あの...人間関係は良く分かりました」

 私はなんとかそれだけを口にした。そしてこの重苦しい雰囲気に耐えられず、私は少々強引に話題を変えることにした。

「と、ところで、カイル様とアラン様のお姿をお見掛けしていないのですが、あのお二人は今どちらに?」

「あぁ、あの二人はそもそも近衛騎士なんだ。俺の専属という訳じゃない。王宮から外に出る時には、俺が必ず護衛に指名しているが、普段は王宮の警備を担当しているんだ。今も勤務中だろう。俺の専属はカリナだけだよ」 

「そうだったんですね...それはまた責任重大というかなんというか...」

「そのために俺の隣の部屋を用意したんだからな。しっかり頼むよ?」

「へっ!?」

 思わず目が点になってしまった私は悪くないと思う。だってアクセル様の隣の部屋ってことは...

「そそそそれって王子妃のお部屋じゃないんですか~!?」

「そうだが?」

 そうだがじゃねぇよ! なにサラッと当然みたいな顔して言っちゃってんのこの王子は! 道理でやけに広いと思ったよ! 調度品も豪華だと思ったよ! ベッドがバカでかいはずだよ! お姫様の部屋だったよ!

「わ、私如きが使わして貰うなぞ恐れ多いことではないのでしょうか...」

「カリナが言ったんじゃないか? 俺が側に居ないと守れないって。そうしたまでだが?」

「た、確かにそう言いましたが...」

 クソッ! 反論できねぇ!

「ちなみに扉一枚で俺の部屋と繋がってるから」

 もう勘弁して! 大体どの扉だよ! あの部屋、扉が多くて分かんねぇよ!

 アクセル様との夕食を終えた後、速攻部屋に戻って扉を確かめたのは言うまでもない。


◇◇◇


「おはよう、カリナ。良く眠れたかい?」

「えぇ、まぁ...」

 実際はベッドが大き過ぎて落ち着かなくて良く眠れなかったんだけどね...

「今日は朝一から閣議がある。その間、カリナの護衛の仕事は無いから、今の内に王宮の地理を把握しておくように」

「分かりました」

 閣議とは大臣や閣僚、官僚らが集まって行う、国の重要事項を決定するための会議だ。当然ながらトップシークレットなので、たかが護衛の私は入室を許可されない。

 その間に私は、地図を片手に王宮の地理を頭の中に叩き込んでいく。護衛対象が危険に晒された時、逃がす際の逃走経路を把握しておくためだ。

 もっとも、空間魔法を使える私には必要ないが。ただ、自分が迷ったりしないためにしっかりと覚えていく。図書室、会議室、貴賓室、食堂などを見て回り、中庭に差し掛かった時だった。

 ガッシャーン!

 私がたった今まで立っていた位置に、私の頭より大きな植木鉢が落ちて来たのだ。何事!? って思って上を見上げると、

「キャアアッ! ゴメンなさい! 私ったらついうっかり! お怪我はありませんでしたか?」

 そう言って申し訳なさそうな顔をして謝っているのは、顔に見覚えのない侍女だった。

 頭に直撃していたらヘタすりゃ即死だったろう。仕掛けて来たな。だったら思い知らせてやろう。空間魔法使いにケンカを売った愚かさを。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

処理中です...