446 / 462
預託
しおりを挟む
「げ、現地調達!? こ、この白馬をですか!?」
職員の男の人は目を丸くしている。そりゃそうだよね。まず有り得ないような話してんだから。無理もないわな。
「ま、まぁその...詳しい話は置いておくとして...あのですね...この馬をこちらで預かって貰うなんてことは可能でしょうか?」
「あ、ウチは馬の預託もやってますんで可能っちゃ可能なんですが...」
男の人はユニコーンに近付いて繁々とその姿を眺めた挙げ句、
「そもそもですが...これって本当に馬なんですか?」
決定的な一言を口にした。うん、疑う気持ちは良く分かる。角が生えた馬なんて見たことないだろうしね。牛じゃねぇんだから。
「え、えぇまぁ...ちょっと変わってはいますが、馬なのは間違いないですよ?」
ウソは吐いてない。ただ全てを明かしてないだけで。
「本当ですかぁ? 魔物の類いなんてことは?」
男の人の目が疑いの眼差しになった。
「ほ、本当ですって...ほ、ほら、こんなに大人しいでしょ?」
私はユニコーンの首元をポンポンと叩いて見せた。実際、この子本当に大人しいんだよね。手綱付けても嫌がらないし。だからこれもウソじゃない。
「魔物だったらこんな風に懐いたり、人の言うこと聞いたりしないでしょ?」
「まぁ、確かに...」
男の人は渋々といった体だったが、なんとか納得してくれたようだ。
「如何でしょうか? 預かって貰えますか?」
「そうですねぇ...」
男の人はまだ渋ってる。なので、
「なんなら預託料を二倍払ってもいいです。預かって貰えないでしょうか?」
私は切り札を切ることにした。
「フゥ...分かりましたよ...お引き受け致しましょう...」
「あ、ありがとうございますぅ~♪」
やったね♪
「ただし! なにかあったらすぐに引き取って貰いますからね! 緊急連絡先をちゃんと教えといてくださいよ!」
「畏まり~♪」
預かってくれるんならなんだっていいや。
◇◇◇
「いやぁ、やってみるもんですね~♪」
契約を無事交わし終えて、レンタル業者の事務所を出た私は、清々しい気分で背伸びをしながらそう言った。
「ちょっと騙したようで心苦しいがな」
ラウムさんは苦笑している。
「大丈夫でしょう。普段は大人しい馬なんだから」
ステラさんは楽観的だ。
「ルキノは残念がるかも知れませんが」
アスカさんも苦笑している。ルキノちゃん、草むしり面倒がってたもんね。
「...」
そんな中、セリカさんだけは浮かない顔をしていた。私は敢えて見ないようにして、レンタル業者の馬房内に繋がれたユニコーンの方に向かった。
「ここで大人しく良い子にしてるんだよ? たまには会いに来るからね?」
ユニコーンは聞いているのかいないのか、こちらを見ることもなくずっと飼い葉を食んでいた。
職員の男の人は目を丸くしている。そりゃそうだよね。まず有り得ないような話してんだから。無理もないわな。
「ま、まぁその...詳しい話は置いておくとして...あのですね...この馬をこちらで預かって貰うなんてことは可能でしょうか?」
「あ、ウチは馬の預託もやってますんで可能っちゃ可能なんですが...」
男の人はユニコーンに近付いて繁々とその姿を眺めた挙げ句、
「そもそもですが...これって本当に馬なんですか?」
決定的な一言を口にした。うん、疑う気持ちは良く分かる。角が生えた馬なんて見たことないだろうしね。牛じゃねぇんだから。
「え、えぇまぁ...ちょっと変わってはいますが、馬なのは間違いないですよ?」
ウソは吐いてない。ただ全てを明かしてないだけで。
「本当ですかぁ? 魔物の類いなんてことは?」
男の人の目が疑いの眼差しになった。
「ほ、本当ですって...ほ、ほら、こんなに大人しいでしょ?」
私はユニコーンの首元をポンポンと叩いて見せた。実際、この子本当に大人しいんだよね。手綱付けても嫌がらないし。だからこれもウソじゃない。
「魔物だったらこんな風に懐いたり、人の言うこと聞いたりしないでしょ?」
「まぁ、確かに...」
男の人は渋々といった体だったが、なんとか納得してくれたようだ。
「如何でしょうか? 預かって貰えますか?」
「そうですねぇ...」
男の人はまだ渋ってる。なので、
「なんなら預託料を二倍払ってもいいです。預かって貰えないでしょうか?」
私は切り札を切ることにした。
「フゥ...分かりましたよ...お引き受け致しましょう...」
「あ、ありがとうございますぅ~♪」
やったね♪
「ただし! なにかあったらすぐに引き取って貰いますからね! 緊急連絡先をちゃんと教えといてくださいよ!」
「畏まり~♪」
預かってくれるんならなんだっていいや。
◇◇◇
「いやぁ、やってみるもんですね~♪」
契約を無事交わし終えて、レンタル業者の事務所を出た私は、清々しい気分で背伸びをしながらそう言った。
「ちょっと騙したようで心苦しいがな」
ラウムさんは苦笑している。
「大丈夫でしょう。普段は大人しい馬なんだから」
ステラさんは楽観的だ。
「ルキノは残念がるかも知れませんが」
アスカさんも苦笑している。ルキノちゃん、草むしり面倒がってたもんね。
「...」
そんな中、セリカさんだけは浮かない顔をしていた。私は敢えて見ないようにして、レンタル業者の馬房内に繋がれたユニコーンの方に向かった。
「ここで大人しく良い子にしてるんだよ? たまには会いに来るからね?」
ユニコーンは聞いているのかいないのか、こちらを見ることもなくずっと飼い葉を食んでいた。
24
あなたにおすすめの小説
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる