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「あ~ら、お姉様。ご機嫌悪そうね?」
グレイが帰った後、入れ違うようにコリンナが戻って来た。
「当たり前でしょう? アンタ良くもやってくれたわなね? これまでは『物』だったから、アンタの欲しがる物はなんでも与えて来たけど、さすがに『者』までは許容できないわよ? 覚えてなさい。今にしっぺ返し食らうことになるから」
「ふふふん! そんな訳無いじゃない! お父様もお母様も私の言うことはなんでも聞いてくれるんだから! 誰かさんと違って愛されてるもの!」
コリンナは自信タップリにそう言い切ったが、いくら妹に甘い両親でもさすがに今回は許さないだろうなとサブリナは思ったが、
「そう。せいぜい後悔しないことね」
どうせこれ以上はなにを言っても無駄だと判断し、ハリーに謝罪するため家を出たのだった。
◇◇◇
ちょうど同じ頃、ミシェルも同じような目に遭っていた。
「済まないな、ミシェル。俺はカミラを愛してしまったんだ。お前との婚約は破棄したい。分かってくれるな?」
いきなり訪ねて来た婚約者であるアレックスから一方的にそう告げられた。アレックスは伯爵令息なのでミシェルは逆らうことが出来ない。
「そうですか...分かりました...」
ここ最近、姉がアレックスに付き纏っていたのは知っていたが、まさか妹の婚約者に手を出すとは思わなかった。見通しが甘かったということだろう。ついに「物」だけじゃ飽き足らず「者」までも自分から奪うつもりらしい。
ミシェルは大きなため息を一つ吐いて、なにやら熱っぽくカミラのことを「心から愛してる」だの「世界で一番好き」だの語っているアレックスを冷めた目で眺めていた。
そしてふと思った。姉の婚約者である伯爵令息のイアンはこのことを知っているのだろうかと。高飛車で傲慢な姉の相手をするのはさぞや大変だろうと同情したミシェルは、事ある毎にイアンの元を訪れ愚痴を聞いてやっていた。
そしていつしかミシェルはアレックスよりもイアンの方に惹かれて行くようになった。だからアレックスにフラれても別にどうでも良かった。
言うだけ言ってアレックスが帰った後、入れ違うようにしてカミラが入って来た。
「あぁ、ミシェル。ゴメンなさいね? アレックス様がどうしてもと言うもんだから。私の美しさが罪なのね~」
口では謝罪しているが、全く悪びれた様子が無いのは態度を見ても明らかだ。
「お姉様、イアン様にはちゃんとお伝えしたのですか?」
「まだよ。これから言うつもり」
「そうですか...では私が今から行って来ます」
「あらそう? 悪いわね」
グレイが帰った後、入れ違うようにコリンナが戻って来た。
「当たり前でしょう? アンタ良くもやってくれたわなね? これまでは『物』だったから、アンタの欲しがる物はなんでも与えて来たけど、さすがに『者』までは許容できないわよ? 覚えてなさい。今にしっぺ返し食らうことになるから」
「ふふふん! そんな訳無いじゃない! お父様もお母様も私の言うことはなんでも聞いてくれるんだから! 誰かさんと違って愛されてるもの!」
コリンナは自信タップリにそう言い切ったが、いくら妹に甘い両親でもさすがに今回は許さないだろうなとサブリナは思ったが、
「そう。せいぜい後悔しないことね」
どうせこれ以上はなにを言っても無駄だと判断し、ハリーに謝罪するため家を出たのだった。
◇◇◇
ちょうど同じ頃、ミシェルも同じような目に遭っていた。
「済まないな、ミシェル。俺はカミラを愛してしまったんだ。お前との婚約は破棄したい。分かってくれるな?」
いきなり訪ねて来た婚約者であるアレックスから一方的にそう告げられた。アレックスは伯爵令息なのでミシェルは逆らうことが出来ない。
「そうですか...分かりました...」
ここ最近、姉がアレックスに付き纏っていたのは知っていたが、まさか妹の婚約者に手を出すとは思わなかった。見通しが甘かったということだろう。ついに「物」だけじゃ飽き足らず「者」までも自分から奪うつもりらしい。
ミシェルは大きなため息を一つ吐いて、なにやら熱っぽくカミラのことを「心から愛してる」だの「世界で一番好き」だの語っているアレックスを冷めた目で眺めていた。
そしてふと思った。姉の婚約者である伯爵令息のイアンはこのことを知っているのだろうかと。高飛車で傲慢な姉の相手をするのはさぞや大変だろうと同情したミシェルは、事ある毎にイアンの元を訪れ愚痴を聞いてやっていた。
そしていつしかミシェルはアレックスよりもイアンの方に惹かれて行くようになった。だからアレックスにフラれても別にどうでも良かった。
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「あぁ、ミシェル。ゴメンなさいね? アレックス様がどうしてもと言うもんだから。私の美しさが罪なのね~」
口では謝罪しているが、全く悪びれた様子が無いのは態度を見ても明らかだ。
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「まだよ。これから言うつもり」
「そうですか...では私が今から行って来ます」
「あらそう? 悪いわね」
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